デジタルハイビジョンレコーダーQ&A


 けっこう面白く使えるAV機器を入手した。まだあまり普及していない種類の機器なので、自分が思っているような使い方が可能かどうか不安だったが、インターネット上で検索しても、自分が知りたい情報をあまり入手できなかった。思い切って購入し、使ってみて、この機器でできることやできないことがわかったのだが、結論としては大いに満足している。

 この手の機器の導入を検討している人には参考になるのではないかと思い、私の使用レポートをまとめてみたい。なお、普通の文章で書くとだらだらしたものになりそうなので、自問自答型(^^;)のQ&A形式にしてみた。



どんな機器を買ったのですか?

 メーカーではデジタルハイビジョンレコーダーと呼んでいるものです。製品名はシャープの「DV−HRD1」です。詳しい仕様はメーカーのホームページや、こちらのページでご覧いただけるので省略しますが、簡単にいうと次の3つの機能を持った製品です。

 BSデジタル放送と110度CSデジタル放送の受信ができるチューナー内蔵
 映像をハードディスクで録画・再生
 映像をDVDディスクで録画・再生

 下のような外見の製品です。(430×250×78mm)





購入のきっかけは?

 最近、宝塚のファンになり、テレビで観たいと思ったのですが地上波や衛星のBSアナログ放送では年に数回しか放送がありません(宝塚に興味を持ったのがBSアナログ放送であるNHKのBS2での番組でしたが)

 調べてみたら、NHKのBSハイビジョンでは月に1・2回は宝塚の舞台放送があるようですし、スカイパーフェクトテレビ!2(スカパー!2)では一日中、宝塚の番組だけをやっている「TAKARAZUKA SKY STAGE」というチャンネルがあるようです。どちらもデジタル放送なので、我が家のテレビでは受信することができませんでした。

 BSやCSのデジタル放送を観るためには、次の3つの方法があるようでした。( )内はそのための必要経費。

(1)外付けのチューナーを買う(5・6万円程度)
(2)チューナー内蔵のハイビジョンテレビを買う(20万円程度)
(3)チューナー内蔵のレコーダーを買う(13万円程度)


 ただ番組を観るだけならば、(1)の外付けチューナーを買うのが手っ取り早い方法なのですが、録画して後で楽しむにはビデオデッキ等に接続しなければならず録画の設定等が面倒そうです。それにハードディスクレコーダーにも興味がありましたし、なによりも自分でDVDディスクを作ることができるという機能に強く惹かれました。

 チューナー機能のない単体のDVDレコーダーやDVD&ハードディスクレコーダーも売られていますが、それらは単体で6〜10数万円もします。チューナーと単体レコーダーを組み合わせるよりも、全ての機能を備えた(3)のチューナー内蔵レコーダーを買うのが使い勝手がよさそうですし、割安感もありましたので、このタイプを購入することにしました。



どこで、いくらで買いましたか?

 近所の大型電器店(電○堂)で、消費税込みの13万円で買いました。(定価は18万3千円です)インターネットの通販では、送料や消費税を加えても11万円程度で販売しているところもありましたが、なにしろ使ったこともない種類の機器なので、アンテナや動作環境の設定で「本当にちゃんと受信や録画ができるのだろうか」という不安がありました。

 ネット通販で購入して、もしもうまく受信ができなかったとしたら心配でしたので、クレームや相談に対応してくれる地元の店を選びました。店頭表示価格は12万8千円でしたので、消費税がかかると13万を超えてしまうのですが、「ネット通販だと11万円ぐらいで売ってましたよ」と値切ったら少々安くしてくれました。実際にはオマケとしてDVD−RWの生ディスク3枚と(なぜか)お醤油もサービスしてくれましたので(^^;)割安感がありました。

 ただ、以下の使用レポートに書くように、私の心配したほとんどのことは問題がなかったので、この文章をお読みの方は、ネット通販で一番価格の安いものを購入しても全く問題ないと思います。(私が買う前に、私のこの文章のようなものがネット上にあれば、私も2万円ぐらい安く入手できたのですが‥‥^^;)



購入前に心配だったこととは?

 2つありました。

 1つは受信用のアンテナのことです。衛星放送とひとくちにいっても、下の図のように電波を送信している衛星はたくさんあります。(ちなみにBSとはブロードキャスティングサテライトの略であり放送専用の衛星。CSはコミュニケーションサテライトの略で、電話等の通信のための衛星を使って放送を行うことをCS放送といいます)



 上の図のうち、東経128度のパーフェクTVサービス衛星と東経124度のスカイサービス衛星の2つを同時に受信して再生するのが「スカイパーフェクトTV!」(スカパー!)です。これを受信するにはNHKのBS−1やBS−2などのBSアナログ放送を受信するのとは別のアンテナを設置しなくてはなりませんでした。

 私が観たいのは「スカパー!」ではなく「スカパー!2」です。これは東経110度にある別の衛星から送信されています。同じ方向(東経110度)に従来のBSアナログ放送(BS−1・BS−2)とBSデジタルハイビジョン放送の電波を発信している衛星があります。

 購入前の時点で我が家ではBSアナログ放送を受信していましたので従来のBS用アンテナは設置していたのですが、ネット上の情報ではBSデジタル放送やCSデジタル放送を受信するには「CS/BS共用アンテナ」を使ったほうがよいとのことでした。「デジタル放送は電波の特性が違うので従来のBSアナログ放送用のアンテナでは受信できない」という記述もネット上でみかけました。

 ところが電器店の店員さんは「これまで使っていたBSアンテナで問題なく受信できますよ」と言います。新たに「CS/BS共用アンテナ」に買い換えるとするとデジタルハイビジョンレコーダーの他にアンテナも買わなくてはいけません。アンテナ自体は1万円以下ですが、設置や調整が自分の手でうまくできるか不安です。(前にBSアナログアンテナを設置したときには業者の人にやってもらいましたので‥‥)

 販売店の店員さんの言葉を信用していいのか、ネット上の情報を信じるべきなのか‥‥大いに迷いました。

 もう1つの心配は、コピープロテクトの問題です。

 ご存知の方も多いかと思いますが、市販のDVDビデオソフトなどはビデオカセットなどに複製ができないようにコピープロテクトがかかっています。(コピーしたものは、画面が明るくなったり暗くなったりするとか、画面に縞が入ったりするとかで、正常な視聴に耐えられない状態になります)

 アナログ放送ではプロテクト情報を入れることができないので全ての放送が「ノンプロテクト状態」ですが、デジタル放送だとプロテクト情報を付加できます。ネット上でデジタル放送局の情報を調べたら「コピー可の番組・1回だけコピー可の番組・コピー不可の番組」の3種類があるとのことでした。

 「TAKARAZUKA SKY STAGE」「よくある質問」のページを見たら、録画については「お客様ご本人でお楽しみいただくという利用に限り、録画は可能です」ということでした。つまり「1回だけコピー可」ということのようです。

 「DV−HRD1」の説明を見たら「デジタル放送を直接DVDに録画することはできない。放送はハードディスクに録画される。ハードディスクに保存された番組をDVDにダビングすることはできる」ということでしたので、「1回だけコピー可」というのが、番組をハードディスクに保存する段階までなのか、それともハードディスクからDVDにダビングする段階までなのかがよくわかりませんでした。

 DVDにダビングすることができれば番組の永久保存ができますが、ハードディスクに保存するだけでDVDダビングができないのであれば、いずれはハードディスクから消去しないといけません。このへんのプロテクトの問題がとても心配でした。



古いアンテナで受信は可能でしたか?

 はい。問題なく受信できました。屋外のBSアンテナから部屋に引き込んである線をテレビから外し、デジタルハイビジョンレコーダーに接続するだけで大丈夫でした。電器店の人の話では、これまでこの種のチューナー等を何台も売ったけれども、アンテナを交換しないと受信ができなかったというのは1件だったそうです。そのときにはBSアンテナがとても旧型だったそうですが、6・7年前に設置したようなアンテナであればほとんど問題がないとのことでした。



購入してすぐに番組を見ることができますか?

 はい。一部の番組(放送局)はすぐに見ることができます。

 この機器で受信できるデジタル放送は次の3種類です。(2003年2月現在)

BSデジタル放送NHKBSデジタル無料 ハイビジョン1局 標準2局(3局別内容)
デジタルWOWOW有料  ハイビジョン1局(標準3チャンネルでも同一放送)
スターチャンネルBS有料  標準1局
BS日テレ無料  ハイビジョン1局(標準3チャンネルでも同一放送)
BS朝日無料  ハイビジョン1局(標準3チャンネルでも同一放送)
BS−i無料  ハイビジョン1局(標準3チャンネルでも同一放送)
BSジャパン無料  ハイビジョン1局(標準3チャンネルでも同一放送)
BSフジ無料  ハイビジョン1局(標準3チャンネルでも同一放送)
デジキャス無料  データ放送のみ(BS朝日系)
メディアサーブ無料  データ放送のみ(BS日テレ・BSジャパン系)
110度CSデジタル放送1プラットワン無料放送7チャンネル 有料放送40チャンネル
110度CSデジタル放送2スカパー!2無料放送14チャンネル 有料放送43チャンネル

NHKの衛星受信契約をしている場合。

 無料放送のチャンネルは、設置後すぐに見ることができました。(この時点で、これまで使っていたアンテナが使えることがわかりました)

 衛星デジタル放送の他に、これまで観ていた「VHF・UHF」の放送も、アンテナ線をチューナーにつなげば視聴・録画が可能です。(BSアナログ放送は本機では受信できません)



視聴のためにやらなければならない手続きはありますか?

 デジタル衛星放送を受信するチューナーには「B−CAS(ビーキャス)」というカードが付いてきます。銀行のキャッシュカードのようなものです。これには固有の番号がつけられています。機器の本体にこのカードを挿入するスロットがあります。

 「B−CAS」カードをスロットに挿入しなくても無料放送は視聴できますが(挿入を促す警告が出ます)何らかの有料放送と契約して番組を見るためには「B−CAS」カードの登録をしなければなりません。製品に同封されている登録ハガキを使うのが一般的ですが、インターネットでも登録ができます。インターネット接続ができる方にはこのほうがお勧めです。

 スカパー!2などの有料チャンネルを視聴するには手続きが必要です。製品に同封された文書で申し込みます。私の場合は、投函して2・3日後に手続き完了の連絡が来ました。この連絡は郵便やインターネットのメールではなく、受信機に直接送られてくる方式の「衛星メール」というもので届きます。(B−CASカードの登録が済んでいないといけませんが)

 これで希望のチャンネルを観ることができるようになるのですが、今回はスカパー!2が「2週間無料視聴キャンペーン」というのをやっていまして、電話やインターネットで申し込むとスカパー!2の全チャンネル(有料チャンネルも)を2週間視聴できるということでした。インターネットで申し込んでみましたが(機器設置後すぐにやりました)その24時間後には全てのチャンネルの視聴ができるようになりました。もちろんあこがれの宝塚のチャンネルも大丈夫でした(^^;)



録画はどんなやり方でできますか?

 録画したい素材によって、次のような方法で録画されます。

録画素材の種類録画する媒体
アナログ放送→DVD
→ハードディスク
デジタル放送→ハードディスク→DVD
外部入力映像
(デジタル・アナログ)
→DVD
→ハードディスク

 この表でわかるように、デジタル放送だけはDVDに直接録画することができません。一度ハードディスクに録画してからDVDにダビングするやり方になります。これはデジタル放送が高画質で保存するデータが大きくなるためです。デジタルハイビジョン放送の場合、1時間の録画データが10GB(ギガバイト)以上になります。DVDディスク1枚のの一般的な容量が4.7GBですから直接保存はできません(デジタルのスタンダード画質の場合、1時間の録画データが5GB程度なので、放送時間が1時間弱の場合、DVDにぎりぎり録画できないわけでもないですが)

 デジタル番組の場合、録画の画質は放送された番組の画質(ハイビジョン画質またはスタンダードデジタル画質)のまま保存されます。したがってDVDに直接録画をするならば、ハイビジョン番組だと30分弱、スタンダードデジタル番組だと1時間弱しか録画できませんから、「狙った番組の全体をDVD録画できなかった」という事態を避けるために、DVDへの直接録画をしないようになっているのではないかと思います。

 デジタル放送をハードディスクに保存した場合は、再生する際に受信したデータと同質の高画質映像を観ることができます(特にハイビジョン放送の場合、ハイビジョン対応ディスプレイだと全く劣化のない画像を観られます)このデータをDVDにダビングする場合、ハイビジョン番組の場合は録画不能なのでスタンダード画質にダウンコンバートされます。

 テレビ番組の録画はかなり簡単にできます。デジタル放送の場合は「電子番組表(EPG)」に対応しているので、下のような画面から希望の番組を指定するだけで録画予約ができます。



 この機能は、手もとに新聞の放送番組一覧などがなくても、放送される番組の情報を得ることができるので大変に便利です。

 地上波の場合(デジタル放送の場合もできますが)、録画開始時刻・終了時刻と受信チャンネルを指定する手動の録画設定もできますが、一般のビデオデッキのようなGコードシステムの録画予約もできます。もちろん、現在視聴中の番組をボタン一発で録画できるリアルタイム録画もできます。



録画可能時間はどれくらいですか?

 ハードディスクの容量は80GBです。ハードディスクへの録画可能時間のめやすは次のようになります。

ソース録画モード録画可能時間
デジタル放送HD(ハイビジョン)約7時間
SD(スタンダード)約14時間
アナログ(VHF/UHF)放送・外部入力FINE(高画質)約19時間
SP(標準)約32時間
LP(2倍)約65時間
EP(3倍)約110時間


 一般のビデオカセットテープでは、標準画質(上の表のSPと同じ)で2時間、3倍モード(上の表のEPと同じ)で6時間の録画しかできませんから、最長で110時間の録画ができるこのレコーダーは驚異的です。旅行などで1週間ほど家をあけるなどというときにも、ハードディスク録画なら思う存分録ることができます。



一般のDVDプレーヤーで再生できるディスクは作れますか?

 一般のDVDプレーヤーというと「DVDビデオプレーヤー」ですね。市販のDVDビデオディスク(「ハリーポッター」とか「千と千尋の神隠し」などのディスク)を再生できる機器で、最近では安価な製品だと1万円程度で購入できるようです。私もパチンコの景品でとった(パチンコの景品は価格の上限が1万円相当に決められています)DVDプレーヤーを愛用しています(^^;)専用のDVDプレーヤーの他にもこの頃のパソコンにはDVDビデオディスクが再生できる機能がついているものも多いようですし、プレイステーション2(ソニーのゲーム機)でも再生できますね。DVDプレーヤーには下のようなロゴがついています。



 私が今回入手した「DV−HRD1」では、このような一般のDVDプレーヤーで再生できるディスクを作ることができます。

 ハードディスクに録画した番組をDVDにダビングするという方法でDVDディスクを作ることができるほか、アナログ放送や外部入力(ビデオデッキやビデオカメラからの入力)ならばハードディスクを介さないで直接DVDにダビングすることができます。ただし、ほとんどのDVDプレーヤーで再生できるDVDビデオディスクを作るには、「DVD-R」用の生ディスクを使うか、「DVD-RW」用の生ディスクを使って「ビデオモード」での録画にしなければいけません。「VRモード」で録画した場合は一般のDVDプレーヤーでは再生できません。



「ビデオモード」・「VRモード」って何ですか?

 DVDの記録方法には「DVD-Video」「DVD-ROM」「DVD-RAM」「DVD-R」「DVD-RW」「DVD+RW」などがあり、あまり規格が統一されているとはいえず、乱立気味です。将来的には青色レーザーを使う「ブルーレイ」方式がDVDの統一規格になるような話もありますが、まだ規格が決まっただけで製品は出ておりませんし、ブルーレイと現在市販されているDVDビデオディスクとの互換性もどうなるかわからない状態です。

 現在市販されているDVDレコーダーは「DVD-RAM」系と「DVD-RW」系に二分されているようですが、どちらも一般のDVDプレーヤーで再生できる「DVD-R」モードをサポートしている機器が多いようです。「DVD-RAM」はコンピュータの記録媒体として考えられたこともあって、高速(2倍速)での書き込みや10万回の書き換え可能回数などデータ保存には強い面もありますが、映像保存を主として生まれた「DVD-RW」のほうが「DVD-R」とのなじみはよいようです。「DVD+RW」は両方のいいところを集めたような規格で書き込み速度も2.4倍速と最速です。

 「DVD-RAM」「DVD-RW」「DVD+RW」は、どれも「DVDビデオプレーヤー」で再生できる「DVD-R」での保存が可能ですが(その場合は「DVD-R」用ディスクを使用)、その他にそれぞれ独自の記録・再生モードを持っています(その場合はそれぞれの規格に対応したディスクを使用)。そのモードで保存したディスクは「DVDビデオプレーヤー」はもちろん、他の規格のDVDレコーダーでは再生できません。同一規格の機種であっても確実に再生できるという保証もないようです。極端に言えば録画した機器では再生できるが、そのディスクを他の機器で再生できないことが多いといえるかもしれません。

 「DVD-RW」規格の機器の場合、「DVD-R」形式の保存の他に、「DVD-RW」ディスクを使った保存ができますが、その場合、「ビデオモード」「VR(ビデオレコーディング)モード」の2つのモードが使えます。「VRモード」だと、保存したデータの消去や上書き、シーンの部分カット等の多様な編集機能が使えますが、そのモードで記録したディスクは一般のDVDビデオプレーヤーでは再生できません。「ビデオモード」で保存をした場合は細かな編集作業はほとんどできませんが、ファイナライズ処理をすれば一般のDVDビデオプレーヤーでも再生することができます。(全てのDVDビデオプレーヤーでの再生を保証するものではないそうですが)

 購入した「DVD-RW」用の生ディスクを2つのモードで使え、「ビデオモード」で保存すれば、一般のDVDビデオプレーヤーでも再生が可能(なこともある)という点で、「DVD-RW」規格の機種は、一般DVDビデオプレーヤーとの相性がよいといえるかもしれません。



コピープロテクトの問題はどうなりましたか?

 思ったよりも問題はありませんでした。

 プロテクトの話をする前に、機器の接続について触れましょう。取扱説明書に載っている「メーカー推奨の接続法」は下図の上のようなつなぎ方です。一般のAV機器を使い慣れている方ならそれとは別に、下のようなつなぎ方も考えられるのではないでしょうか。



 上と下のつなぎ方を比較してみましょう。

 アンテナからテレビまでの信号の流れ(緑色の線)は同じです。しかし、ハイビジョンレコーダー(DVD・HDレコーダー)からテレビまでのつながり方(赤い線)がちょっと違います。下の接続法だと、ハイビジョンレコーダーの信号がビデオデッキを中継してテレビに届くように接続(赤い線)していますが、メーカー推奨の接続法ではその方法を使わずにハイビジョンレコーダーを直接テレビにつなぐように指示しています。

 これは、デジタル放送の信号やDVDの信号にマクロビジョン等のコピープロテクトが入っていた場合、それにビデオデッキが反応し、テレビに正常な信号が送られないので画像が乱れる可能性があるからです。

 市販のDVDソフトやビデオテープ、あるいはデジタル放送の一部に入っているこのプロテクトは、VHSビデオデッキの中にあるコピー防止回路を作動させることで成立します。したがってVHS方式でないβタイプのビデオデッキや、とても古いVHSビデオデッキではマクロビジョン・コピープロテクトが効かないこともあるそうです。

 コピープロテクトにはマクロビジョン方式だけでなく、いろいろなものがありますし、コピーガードキャンセラーという機器(1999年末からは販売することも使用することも違法になっています)を使ったとしても除去できないプロテクトもありますので、元となるデータにコピープロテクト信号が入っている場合は、メーカー推奨の接続法にするのが無難なようです。本当は下の図の青い線の接続を加えることができればよいのですが、本機の外部出力は1系統しかないので、常時このように接続しておくことはできません。

 しかし、デジタル放送の中で、その手のプロテクトがかかっている番組はそんなに多くないようです。私が見ている「TAKARAZUKA SKY STAGE」には、そのプロテクトはかかっていませんでした。

 前述した「1回だけコピー可」というのは、また別のことでした。それはデジタルデータとしてのコピー(ダビング)が1回だけしかできないということでした。

 この機器には「i.LINK端子」といって、デジタルビデオカメラやD−VHSデッキとデジタル信号を送受信できる端子がついています。このハイビジョンレコーダーの場合は、本体内のハードディスクに保存している録画番組を」D−VHSデッキに録画できないとか、D−VHSデッキから本機のハードディスクに録画できないなどの制限もありますが、デジタルビデオカメラのデータを「i.LINK端子」を使ってDVDに保存するなどの作業はできますので便利です。(ちなみに「i-LINK」とは「IEEE1394」の呼称です)

 「TAKARAZUKA SKY STAGE」をはじめとして、放送番組のデジタル複製が無制限に行われるのを防ぐ目的で、「i.LINK録画は1回だけコピー可」としている番組があります。NHKのBSハイビジョンではその制限がないようですし、「TAKARAZUKA SKY STAGE」チャンネルの中にも制限のない番組が一部あります。

 この制限がある場合には、ハードディスクに保存した番組をDVDディスクにダビングすると、自動的にハードディスクの中のデータが消去されます。私の使っている機器のようにデジタルチューナーとハードディスクレコーダー・DVDレコーダーが一体になったものでは、外からみると「i.LINK接続」はないように見えますが、チューナー、ハードディスクレコーダー、DVDレコーダーがそれぞれ単体の場合には、各機器を「i.LINK接続」することになりますので、ハードディスクからDVDに無制限にダビングすることはできないわけです。

 これは、オーディオ機器である「CD」→「MD」のダビング、あるいは「MD」→「MD」のダビングの制限にも似ています。デジタルデータとしてのダビングは1世代(子の世代)までは許可されていますが、2世代(孫の世代)までのダビングは不可となっています。これの映像版と考えてもよいでしょう。

 MDのダビングがデジタルデータでは制限されていても、アナログデータなら何回もダビングできる(ただしデータの劣化が生じますが)のと同じように、ハイビジョンレコーダーの場合もデジタル接続ではなくアナログ出力であれば、問題なくダビングできます。(番組自体にマクロビジョン等のプロテクトがかかっていればダメですが)

 つまりハードディスクに録画した番組やDVDにダビングした番組は、普通のビデオ出力端子でつなげば、ビデオテープに録画できました。ただその場合には画質が落ちます。といっても、地上波のテレビ番組をビデオテープに録画した程度の画質にはなりますから、画質にこだわらずに番組の中身を楽しむというのであれば、ほとんど問題はありません。



どんな使い方ができますか?

 私が通常使っているような、「テレビ番組をハードディスクに録画し、さらにDVDにダビング」という使い方の他にも、「自分で録画・撮影した映像をハードディスクに保存したり、DVDビデオディスクに保存したりできる」という使い方が可能です。

 昔、録画したテレビの教育番組や、自分で撮影・編集した教材用のビデオを、この機器を使って、一般のDVDビデオプレーヤーで再生できるようなDVDディスクにすることができます。(教材用に限ったわけではありませんが‥‥)

 その場合は、アナログ信号の入力を使いますが、自分の手持ちのビデオデータがデジタルデータの場合、「i.LINK端子」を使うともっと高画質のDVDディスクを作ることができます。自分の子供の運動会や発表会で撮影したビデオをDVDにして、おじいちゃんやおばあちゃんに送るということが簡単にできます。何年も前に作った労作の教材用ビデオを画質を落とさないままDVDにして永久保存したり、知り合いの先生に分けてあげるというようなこともできます。単純にテレビ番組を直接DVDに録画という使い方もありますが、従来のビデオカセットテープに録画するよりも格段に優れた画質で保存できます。

 工夫しだいで、多様な使い方が可能です。



使い勝手は良いですか?

 これにはかなり満足しています。

 高度な編集機能はないので、自作のビデオデータに様々な編集を加えてDVDにしようという人には向かないかもしれませんが、取り扱いは実に簡単です。あまりAV機器の扱いが得意でないうちの妻などでも抵抗なく操作ができるので、手軽にデジタル録画を楽しもうという目的には向いていると思います。リモコンのボタンがたくさんついていて、一見難しそうですが、テレビ画面に表示される操作の指示がわかりやすいので、思ったよりも楽に操作ができます。

 この頃ではパソコンにもDVD−RWドライブを装備している機種も多くなっていますが(私の新しいパソコンもそうです)実際に使うとなると、そのためのソフトの使いこなしを身につけるのに努力がいるようですし、その機能を駆使しても、デジタルテレビ番組をDVDやハードディスクに録画するという機能においては、私が使っている専用機(デジタルハイビジョンレコーダー)よりは使い勝手がよくないようです。

 単体のデジタルチューナーと、DVD&ハードディスクレコーダーを使った方が、より高度な使いこなしができるようにも思いますが、その機能を十分に使い切るには、マニュアル(取り扱い説明書)を熟読して、接続方法やデータの種類等に配慮した扱い方をしなければなりません。

 そうなると、ある程度の知識や技能を持った人でないと使いこなせないような感じもします。

 オーディオ機器の場合も、より高度な音質を求めるのであれば、プリメインアンプ・デッキ・スピーカー等を選んで組み合わせ接続するのが理想的ですが、そういう面倒なことをせずに気軽に音楽を(そこそこの音質で)楽しみたいというのであれば、一体型の「CD・MDラジカセ」のほうが簡単です。(このへんについての私の考え方は、うんちく講座No.148「コードマニア」とか、No.255「信号版情報非公開」で触れていますが、今回の文章はそれに逆行する感じも‥‥)

 私が使っている機種についてのネット上の評判を検索してみると、「発想がユニーク」という好評もあるものの(現在のところ、こういう機能を持つのはこの機種1つだけ)、「編集機能が弱い」とか「他機器との接続の拡張性が低い」等、いわゆる「ハードユーザー」からの悪評もあります。(たしかに外部出力端子が1系統しかないのは、ちょっと不満です)

 しかし、あまりメカに強くないレベルの方が、デジタル放送の映像を楽しみ、それをハードディスクに保存したり、DVDに編集したりするのには最適な、「必要最小限の機能を備え、操作も簡単」という点では、現在市販されている機器ではベストのものではないかと思います。(使いこなし次第では、かなり高度な要求にも応えることもできますし)



で、宝塚は楽しんでいますか?

 その点は100%満足しています(^^;)

 東北地方というと宝塚には縁が遠く、これまでも東北出身の宝塚トップスターというと「杜けあき」さんとか、現在の雪組トップの「朝海ひかる」さんぐらいしかいないのではないでしょうか。秋田あたりに地方公演に来てくれる機会も少なく、かといって関西にある「宝塚大劇場」や東京の「東京宝塚劇場」に出かけて公演を観るとなれば、交通費やら宿泊費やらがかかりますので、秋田県あたりの宝塚ファンは少ないはずです。

 それが、今回の環境を手に入れたことで、朝から晩まで宝塚の世界に浸ることができますし、現在は退団している過去のトップスターの姿も楽しむことができます。「TAKARAZUKA SKY STAGE」を観るようになってまだ1ヶ月程度なのですが、全くの宝塚素人だった私も妻も、ちらっと宝塚スターの画像を見るだけで、「あっ、あれは湖月わたる」「あれは貴城けい」「大鳥れい!」などと言えるようになってしまいました(^^;)



お好みの宝塚スターは?

 現役から退団者まで含めると、「麻路さき」「高嶺ふぶき」「轟悠」がベスト3ですね(^^;)



 最後はしょうもないネタになってしまったが(^^;)以上が「デジタルハイビジョンレコーダー」の使用記である。10万円を超える高価な機器なので、簡単に「皆さんも買ってみたらいかがですか」といえる代物ではないのだが、うちではかなり満足できる買い物であった。

 メーカーからお金をもらって宣伝しているrということなどは全くないのだが、現時点では、かなりスグレモノのAV機器であると太鼓判を押したい。

<03.03.11>

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