コードマニア
私はコードマニアという種類の人間かもしれない。
コードと言っても、ギターやピアノの「和音」のことではない。オーディオやビデオの電気機器を接続するコードのことである。
自分の部屋にもいろいろな音楽やオーディオの機器がある。普通にCDやカセットを再生する程度なら、既に配線してある状態でよいのだが、ちょっと特殊な使い方で録音をしようなどとなると、いくつかの機器を接続しなければいけなくなる。


これが全て同じ規格のコードならば簡単なのだが、それぞれの機器の端子は実に多様である。
標準プラグ(モノラル&ステレオ)・ミニプラグ(モノラル&ステレオ)、ピン端子、テレビ信号用のRF端子、DIN端子、キャノンプラグ、ワニ口クリップ、光信号端子、Sビデオ端子‥‥
これらにそれぞれオス・メスの形態があり、場合によってはステレオ信号をモノラルに合成したり、反対にモノラルをステレオに分配したりしなければならない。
それぞれの端子の入出力インピーダンスも違うので、途中にアッテネーターをかませなければならないこともある。
例えば、ビデオテープの音声信号だけを取り出し、それにエコー処理をかけて、ヘッドフォン端子しかないCDプレーヤーからの音楽をミックスして、ピン端子しかないカセットデッキに録音するなどというときに必要になるコードの種類というとかなりになってしまう。
信号がステレオの場合には左右それぞれに使うためのコードも必要になるし‥‥などと考えていくと、接続コードや変換コネクタの数は10や20ではとても足りない。そこで機会あるごとに買い求めたそれらのコードやコネクタが私の部屋には50種類以上もある(^^;)
私のような使い方をする人は少ないのかもしれないが、学校の運動会などで、放送設備を配線しようとすると、コードやコネクタが足りないために、どうしても接続できない場合が出てくる。
そんなとき、よく見られるのは、ラジカセなどのスピーカーの前にマイクを置いて、直接に音を拾ってしまうという「掟破りの荒技」である。
こう言っちゃあ失礼かもしれないが、女の先生にはよく見られる現象(^^;)である。(CDやカセットを高性能スピーカーから再生できるオーディオシステムがある音楽室で授業をするときにも、教室で使い慣れたポータブルCDラジカセを持って行って、それを鳴らしている方も多い ^^;)
ちょっと話が横道にそれてしまったが、こういうローファイなオーディオの使い方を見ると、自称「元ミュージシャン」(^^;)の私には辛いものがある。できるものであれば、なるべく良い音質で音楽を聞かせたい。
ところが、意外にも学校には、こうした接続コードやコネクタの類が少ない。アンプにCDラジカセなどをつなごうにも、それができるコードがない。(最近のCDラジカセにはオーディオ用のピン端子がなく、ヘッドフォンジャックしかないものが多い。この場合はヘッドフォン用のステレオミニプラグとステレオピン端子のコードが必要になるし、放送用のアンプがモノラルの標準プラグになっている場合はステレオミニプラグの信号をモノラルに合成して標準プラグに出力するコードが必要になる。)
こうなると面倒なので、私の場合は自分のおびただしいコードが入ったツールボックスを持ち込んで接続することになるのだが、それがなければ、前述の「掟破り」の方法しかなくなるわけである。
本来であれば、全体の接続を考えた上で統一性のある機器の購入をするのが理想的なのだが、細々とした予算で年度ごとに少しずつ機器を揃えていく場合、どうしても統一性に欠けたものになってしまう。
そんな中で、それぞれの機器の性能をじゅうぶんに発揮させ、できるだけ良い音質で鳴らすためには、接続コードやコネクタを多様に揃えることが必要になるのだが、残念なことに、それがわかる人が少なく、コード類の整備は不十分な状態である。
もし、この文章をご覧の、視聴覚担当の先生がいらっしゃったら、ぜひ学校備品としてコード類の充実(と活用)をお願いしたい。コードやコネクタの価格は1,000円前後なのだが、一気にたくさんの種類を揃えるとなると万単位の金額になる。しかし、2万円程度の出費で、学校にある機器の性能をじゅうぶんに発揮させることができるのだから、考えてみれば安いものである。
予算要求で何十万円もする機器を希望するのもよいが、まずは足もとを固めるためにも、こういう、ちょっとしたものを整備していくことが必要かと、私は考える。
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