流行ってるんで
No.6「おかしな疑問形」、No.28「ダッタンデス語」、No.140「じゃあないです」などの、「最近の言葉づかいにもの申す」系統の文章である。
スポーツ選手がインタビューに答えるときなどに、聞いていて気になるのが、「○○○んで‥」という話し方である。
「今日は負けられない試合なんで、肩の調子もまあまあだったんで、打線も援護してくれたんで、次の試合も頑張るんで‥‥」

これほど極端な例は少ないが、今年のプロ野球新人王の呼び声も高い某投手(大卒のほう)などは、この話法が得意らしく、「○○○んで‥」を連発し、話の最後も「○○です」と言わずに「○○○んで‥」で締めくくるという荒技を使う。
この選手ばかりではなく、お立ち台のインタビューを見ると、若い野球選手にはこの話し方をする人が多い。お相撲さんにもたまに見かける。
スポーツ選手の頭が悪いということはないし、かなり知的な選手も多いと思うのだが、どうもこの「○○んで」話法の選手を見ると、「頭悪いんじゃないの?」という気がする。
そんなことを考えて、世の中を見渡してみたら(^^;)この「○○んで」話法は、別にスポーツ選手に限ったものに気がついた。
若い人全般に見られる傾向のようである。今、流行っている話し方なようだ。
若い人に流行っている話し方なので、若いスポーツ選手もその話し方を使い、それが私の耳に障ったということらしい。
「ダッタンデス語」でも書いたが、「○○なんで」というのは「○○なので」の撥音便(正式にはちょっと違うのだが)的な表現である。
前述の某投手の例なども、きちんと言うとすれば、「今日は負けられない試合なので、肩の調子もまあまあだったので」となるだろう。
まあ、「○○なんで」という言い方自体は、女性の口語では使ってもおかしくない表現だし、会話の途中に少し出てくるのであれば、そんなに問題があるわけでもないだろう。
きちんと話さなければいけない場面で、少しくずれた口語的表現をするわけだから、服装に例えれば、スーツで決めたときにサンダルを履いている程度の違和感である。(かなりおかしいのは事実だが‥‥)
もっと大きな問題は、「○○なんで」(あるいは「○○なので」)で言葉をつなぐべきでないところにも「○○なんで」を使い、それを連発することである。
これを上の例にならって服装に例えると、ネクタイやベルトをしなければいけないはずのところにもサンダルを使って済ましてしまうということになる(下図参照^^;)

この「最近の言葉づかいにもの申す」シリーズ(?)で繰り返し述べているのだが、要は「日本語を使うときのデリカシーの欠如」が問題なのだ。
上の絵の男のような無神経さが、最近の言葉の乱れの原因なのだと思う。しかもそういう言葉を使う本人はそのみっともなさに気づいていないばかりか、カッコイイと思っているというあたりが、無神経の極みである。
ここからはオマケ
「○○なんで」話法は、ただ、聞いていて「こいつ、頭悪いなぁ」と思う程度で、あまり不愉快という感じにまでは至らないが、はっきり不愉快になるのが、「っていうかぁ」の連発。
本来は「あなたは○○と申しますが、私はそれには反対で、次のように考えます」という意味の「と申しますが」「と言いますが」からきているのだろう。
しかし、使っている例を聞くと、そういう場合に使っているのではないようだ。何もないときに話の冒頭に使ったり、自分が話をしている途中で、自分の話題に対して使ったりもするようだ(おいおい自家中毒か!と思ってしまう)
使っている若い人は、流行り言葉として、「それでね」というような感覚で使っているのだろうが、本来の意味を考えてしまう私などにとっては、まるで人の話を頭ごなしに否定しているような感じがして、全く不愉快な言葉である。
一度ぐらいなら我慢もするが、流行り言葉というのは連発されることが多いので、「ってゆうかぁ」の連発を聞くと、つい「ガツン」と一言も言いたくなるのだが、背後からラルク・アン・シエルなんかが睨んでいると怖いので、「うんちく講座」でうっぷんを晴らす程度にしておこう(^^;)
<99.09.20>
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