通販番組歓声疑惑


 ← このプレイボタンをクリックすると何度でも聞けます。



 今回は、資料を揃えた上ではなく、証拠不十分のうんちくである(^^;)

 ネット上でいろいろ調べたり、情報がありそうな人にメールや電話で聞いたりしてまとめるのが正道だし、時間をかければそれもできないわけではないだろうが、まずは私の推論を公開してみて、皆さんからの情報を待とうという、若干、手を抜いた手法なので、お許しいただくとともに、ご協力(情報提供)をお願いしたい。

 いただいた情報については、この文章の後段で随時紹介させていただくつもりである(^^;)



 私がテレビの通信販売番組のファンであることは、うんちくのNo.228「深夜テレショップに学ぶ」でも書いたが、そういう番組を見ていて(聞いていて)おかしなことに気づいた。

 「聞いていて」と書いたのは、私がこれらの番組を見ているのは、ほとんど深夜か早朝の夢うつつの状態であるからである。もう少し具体的にいうと、深夜の場合はテレビのオフタイマーをかけて眠る直前の状態(夜中の1時〜2時頃)、早朝の場合にはテレビのオンタイマーが作動して目覚めるときの状態(朝の6時前)で、どちらも目をつぶりながら番組を耳で聞いているからである。



 日本版の通販番組でよく見られる光景だが、司会者あるいは販売店の代表者が、商品に関して説明すると、会場のお客さんから「おおー!」という歓声が上がる。

 例えば、「この器具はこういった使い方ができます」(実演などする)と言うと、会場から拍手とともに「おおー!」という歓声。

 さらに、「今回は、この器具に、○○をおまけにつけて、なんと!9,800円!!」と言うと、もっと大きな「おおー!」という歓声という具合である(^^;)



 まじめに目を開けて商品を見ている場合には気づかないかもしれないが、私のように半分寝ながら(^^;) 音だけを聞いていると、この「おおー!」という歓声が不自然に聞こえる。

 どうも本物の歓声らしくないのである。



 私が不自然に感じたのは、次の3つの点である。



1.言葉が明瞭に聞こえない

 毎回上がる歓声が、全て「おおー!」にしか聞こえない。しかし、実際に会場にいて、商品の説明を聞いていたとしたら、反応は「おおー!」だけではないはずである。「便利ねぇ!」とか「まあ安い!」などという言葉を発するのが普通である。けれども、通販番組で聞こえる歓声からは言葉が聞き取れない。全て「おおー!」という曖昧な音にしか聞こえないのである。これは不自然だ。



2.タイミングが良すぎるし、他のノイズがない

 司会者(あるいは販売者)が説明をしている間、会場内の音は全く聞こえない。会場からの音を拾うマイクをカットしておけばそれもできないわけではないが、本当にお客さんを入れた会場で収録した場合、いくらお客さんに向けたマイクを切っておいても、司会者のマイクなどを通じて、会場内のノイズ(椅子がガタガタする音とか、お客の咳払い、おしゃべりなど)が入ってしまうはずである。しかし放送ではそれが全く聞こえない。

 そして、拍手や歓声が必要な場面(商品の素晴らしさを強調した後とか、価格を発表した後)に、実にタイミングよく、大きな歓声が入ってくる。これもかなり不自然である(^^;)



3.番組最後の拍手の音質が違う

 この手の番組だと、最後の「それではまた来週!」などと司会者が言う場面で、会場にいるお客さんが(ほとんど後ろ姿で)画面に出て、拍手をしている様子が映る。

 この時に聞こえる拍手の音が、どうもそれまでの拍手と音質的に違うのである。番組の中で使われた拍手は「ザー」という感じなのだが、最後の部分の拍手は、それより人数が少ない感じの「パチパチ」に聞こえる。それまで聞こえていた拍手の感じよりも若干気合いが抜けた感じの音に聞こえるのである。

 この最後の拍手の音が本物の会場の拍手だとすると、それまで聞こえていた熱気あふれる拍手の音は何だったのだろうか?これも不自然である(^^;)



 これらの点から邪推してみると(^^;)、番組中で聞こえる「おおー!」と拍手は、どうも偽物のような気がする。



 マイクのセッティングを見ても、会場の音をあまりきちんと拾っているようには見えない。客席の上からマイクを吊しているのだろうが、そうやって拾った音とは違った音が放送で使われているように感じる。

 前もってサンプリングした音を、ミキサーが調整して流しているのではないだろうか。そう考えると、上の3つの不自然さも頷ける。



 この頃では、カラオケで歌う場合にも、拍手の音をミックスする機能がある。テレビ番組でも効果音として人工的な拍手や歓声を使うのは、それほど難しいことではないだろう。

 このページでも、(MIDIデータが再生される環境でご覧の方には)冒頭に歓声と拍手が聞こえたはずだ。上のMIDIプレーヤーの再生ボタンをクリックすれば何度でも聞くことができる。この音は生音ではなく、MIDIで作ったものなのでかなり不自然な音だが、ちゃんとした放送局で番組を作る場合には、生音と差のない効果音を使うことができるだろう。



 通販番組の歓声だけでなく、お笑い番組の笑い声(うんちくNo.47「お笑い秘密兵器」参照)なども、放送の小道具として効果的に使われているが、どちらも本物の歓声や笑い声でなく偽物なのではないだろうかというのが、私の感じ方である。



 実際に番組を制作している方や、その様子を知っている方(この手の番組の客席にいたことのある方なども)から、「本当はこうやっているのですよ」という情報をお寄せいただければ嬉しい。

 私宛のメールや(assoonas@chokai.ne.jp)、掲示板「千客万来ルーム」で情報をいただければ、随時、このページで紹介していきたい。

<00.08.11>



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