教職員パソコン使用心得
なにやら大げさなタイトルをつけてしまったが、要するに「学校の教職員が職場のパソコンを使うときには、こんなことに気をつけましょう」という内容である。
平成6年4月1日付けで、文部省から「新整備方針に基づく教育用コンピュータの整備について」という通知が出て、「平成11年度までに小学校に22台、中学校・高等学校には44台」という設置計画が発表されたのを受けて、平成7年度頃からほとんどの学校にはコンピュータが導入されている(台数には差があるかもしれないが)
その結果、職員室などでもパソコンを使う先生が増えてきた。これは良い傾向である。ほとんどの場合は、教材作成・事務処理などに活用されているのだが、たまにはゲームや私的な作業などに使われているという話も聞く(私の周辺では見られないが)
ところが職員室の中にいる人すべてがパソコンを使えるわけではなく(最近はそういう人も少なくなってきたが)、特に校長・教頭などの管理職には「パソコンはさっぱりわからなくて‥‥」という人も多いので、職員がパソコンに向かっていれば、いつでも熱心に仕事をしていると思ってしまう傾向もあるようだ。
しかるに、その実態は‥‥というと、息抜きのためにちょっとしたゲームをしたり、インターネットで娯楽ページを見たりということもあるかもしれない。
特にインターネットが普及してからは、「なんとか占い」などのページで興じたり、メールや掲示板で私的な文章を書いたりということも希にあると聞く(^^;)
これは、職場にきちんとした「コンピュータ使用の約束」がないことに起因するのではないだろうか。
既にそれを作成しているという学校では問題がないが、ない場合はきちんとしたものを作って年度始めなどに職員会議等で確認しておいたほうがいいだろう。
実は私の勤務校でもまだ作っていなかったので、以下に書くような内容で作ってみようかと思っている。何かの参考になれば幸いである。
1.パソコンで遊ぶのはやめましょう
もし勤務時間中に将棋や麻雀をしたとしたら、それは「職務専念義務違反」です。パソコンでゲームをやっていても同じこと。Windowsに付属しているカードゲームであっても遊んでいることにかわりはありません。
インターネットで「占いページ」などの遊興的なサイトにアクセスすることも同様です。それは自宅に帰ってから自分のパソコンでやってください。
学校のパソコンには、子供たちが操作に慣れる目的で、ゲーム的なソフトが入っていることもありますが、これはその目的だけに使用してください。必要最小限の児童生徒対象ゲーム以外は、学校のパソコンからゲームソフトを削除しましょう。
2.パソコン画面は子供の目にふれさせないようにしましょう
職員室やパソコン教室で教師が作業をしているパソコン画面は、子供に見えないように配慮しましょう。上記のように遊びで使用しているのを見られてしまっては具合が悪いのはもちろんですが、そうでなくても、成績処理や個人データの処理など、秘密を守るべき作業がたくさんあります。パソコンの画面が子供からは見えないような配置の工夫をしましょう。
そういう配置が無理な場合でもディスプレイの前に座って作業をしていれば、それほど他の人からは見えないものです。問題なのは席を離れるとき。作業が終了したのならソフトも終了させましょう。一時中断する場合には、作業画面を最小化して見えなくしておきましょう。うっかりそのままにする人がいても大丈夫なように、スクリーンセーバーも活用しましょう。
また、校内のパソコンをネットワーク化している場合などは、他に見られたくないデータにアクセスされることがないように、閲覧できるフォルダのアクセス権管理などセキュリティに配慮することも必要です。
3.経済的に使いましょう
職場のパソコンは、全て公費で動いています。「税金の無駄づかい」と非難されないように気をつけましょう。
パソコン作動のための電気代は、ある程度しかたがないにしても(いちいち使用するたびに電源を入れたり切ったりするのは時間がかかって効率的ではないので)、インターネットの接続の場合は、電話等の回線使用料と、プロバイダ(接続業者)接続料という料金がかかっています。
今のところ、一般的な「電話回線接続・一般プロバイダ使用」では1時間で300円程度です。自校にインターネットサーバを持っていたり、専用線接続をしたりしていれば、24時間常時接続をしても料金は同じですが、この場合でもただではなく、1ヶ月で数万円というお金がかかっているのです。
自宅で個人接続をするときと同じように、短時間で効率的なインターネット接続を心がけましょう。
例えば、長い文章のページを、インターネットに接続したまま漫然と読むのではなく、必要なページを全て表示させて、回線を切断し、その後に「戻る・進む(次)」ボタン等を活用して、ゆっくり読むというような方法を身につけましょう。
専用線接続やルーター等を使った接続の場合は、経済的な心配がいらなかったり、無操作状態が一定時間続けば自動的に回線を切断したりする機能があったりするので、そういうことに気をつかわなくても大丈夫なこともありますが、個人でインターネット接続をするときに経済的な使い方ができるように、手早い処理の方法は身につけておかなければなりません。
4.効率的に使いましょう
「経済的に使う」ことにも似ていますが、インターネット等で入手したデータは、必要に応じて再利用できるようにしましょう。
例えば、インターネットで表示された画像などを授業の資料として印刷したいというときに、ブラウザから「印刷」を指定してプリントすることもできますが、それだとインターネット接続が終わればそれっきりで、手もとには印刷された紙しか残りません。
しかし、画像を(右クリックして)「名前を付けて保存」すれば、ハードディスクの中にファイルとして残りますので、インターネット接続をしなくても何度も使うことができます。
同様に、文書データ等も、画面をそのまま印刷するよりも、文章の中の必要な部分をマウスで範囲指定してコピーし、それをワープロやテキストエディタに貼り付けて、文書ファイルとして保存しておけば、何度でも再利用できます。
パソコンの使いこなしを身につけて、一度入手したデータは効率的に使えるようにしましょう。
5.公私混同しないようにしましょう
職務中は個人的な電話をしないのが常識です。(個人的な電話をしている時間は仕事を離れていることになるので)
しかし、緊急に連絡しなければならないこともあります。その場合は公用の電話機を使わないで、校内の公衆電話とか自分の携帯電話を使うのも常識になっているはずです。
ところが、インターネットの場合、個人的なメールを出したり、掲示板に個人的な書き込みをしたりする場合、学校のパソコンと電話回線を使うことがあるのではないでしょうか。これは全くの公私混同ですので、控えないといけません。
特に配慮が必要なのは、英語の指導助手等で海外から来ている人の扱いです。
全ての人がそうだというわけではないのですが、インターネットが普及している国から来た人などだと、軽い気持ちで友人にメールを出したりすることもあるようです。英字で書いていたりすると何を書いているのかもわかりにくいので、容認することもあるようですが、そのままにしておくと、「これが日本の一般的なやり方で、自分もやってもよいのだ」と勘違いされます。
最初の就労契約を結ぶ時点で、「パーソナル・ユースはダメ!」ということをきちんと確認しておきましょう。
インターネットでホームページにアクセスしたりメールを書いたりするぐらいでは、それほどお金もかからないのですが、インターネットのパソコンに組み込まれているテレビ電話システムを使って膨大な電話料を請求されたという話も聞いたことがあります。(この場合は国際電話料金がかかります)
職員室にいる人たちがパソコンやインターネットに関して全く知識がなくて、パソコンに向かっていれば常に仕事をしているものだと勘違いすると、サボりの温床になってしまう可能性もあるので、校内の職員も外部の人も「個人使用は厳禁」の原則を確認しておきましょう。
同様に、学校のパソコンやプリンタを使って年賀状を作ったりするのも公私混同になります。どうしてもやらなければならない場合は、「勤務時間終了後に」、「必要な経費を自己負担して」行うというのが基本です。
以上が、私の考えた試案である。ちょっとカタイ内容かもしれないが、一般企業であれば当然のことだと思うし、パソコンが得意な先生が、パソコンのできない先生から「あの人はパソコンで仕事をしているのか遊んでいるのかわからない」などと、やっかまれたりしないように、職場のルールはきちんと確認しておくべきだと考え、あらかじめ考えられる問題を上げて書いてみた次第である。
職員室でのパソコン使用で考えられる問題点については、だいたいふれたつもりなのだが、この他にインターネット使用及びホームページ運営についての問題も大切である。
学校ホームページが続々と作られてきているが、中には校長および職員全員の同意を得ていないのではないかと思われるものや、個人情報の保護をほとんど考えていないようなものも見かける。
学校ホームページのあり方には、いろんな考え方があって、私もうんちくのNo.227「学校ホームページへの新提案」などで触れているが、それとは別に各学校できちんとした「ホームページ作成の基本原則」のようなものを確認しておく必要がある。
このことについては、私が作成しなくても(^^;) すでに立派なものが作られている例もあるので、こちらのページをご覧いただきたい。これは単一学校ではなく、市として共通のガイドラインを作成した例なのだが、各校で作る場合にも参考になるにちがいない。
パソコン利用は今後いっそう盛んになるので、それにつれて様々なトラブルが生じることも予想されるが、問題が起きてから対応するのではなく、転ばぬ先の杖として、学校全体で使用原則を共通理解しておくことが必要であろう。
<00.07.16>
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