学校ホームページへの新提案



 「オラホだけかな」のNo.26「市町村ホームページの悲劇」で、更新もアクセスもほとんどないホームページについて触れたが、学校ホームページにも似たような傾向がみられる。



 開設した時点では、見栄えもよく内容も充実していて、「おっ!これは!!」と思わせるようなホームページが多いのだが、それから数ヶ月たっても内容に変化がなく、次第にアクセスする人もいなくなるという現象もまた多く見られる。



 そういうことについての詳しい分析は、「市町村ホームページの悲劇」に書いているので、ここでは省略するが、こういう動きのないホームページになってしまう原因は、ホームページ作成にあたる人材が不足しているということにある。

 この頃では「ホームページ作成ソフト」も良いものが多く出てきて、比較的初心者でもホームページを作ることができるようにはなったが、どんな環境で見てもきちんと表示されるようなページを作り、それをサーバにアップロードするということになると、やはりある程度はコンピュータに精通している人でないと難しい。(徹底して勉強すれば、全くの初心者でも数週間で身につくのだが、学校の先生にそれほどの時間はないようだ)

 今のところ、このレベルの技能を持つ教師は少ない。学校に1人もいないということが多いだろうし、運良くいたとしても1人か2人だろう。



 たった1人か2人で学校のホームページを作って運営していくとなると、これは大変である。

 新しくホームページを作るところまでは、なんとか気合いを入れて頑張るだろうが、それが充実して内容豊富なものであればあるほど、更新作業は大変である。

 ホームページを作ることができる技能を持っている人は、個人のホームページを作っている人も多いだろうから、学校と個人のホームページを両方やっていくというのもまた大変である。



 校内研修などで、そういう技能を持つ教師を増やして、学校ホームページの運営を分担してやるのが理想的なのだが、初心者レベルの人をそこまで育て上げるのは簡単ではない。

 ホームページを作る技能がある教師が、他の教師を指導することのほうが、1人でホームページを運営するよりも面倒だということもあるので、なかなか全校の職員が協力して学校ホームページを運営していくというのは難しい。



 そこで、こんなふうにしたら‥‥というアイディアがある。



 それは、掲示板の多用である。



 一般に、学校ホームページでは、掲示板の導入を避ける傾向がある。

 その地区の学校の申し合わせで、「掲示板は使わない」と取り決めているところもあるという。

 これは、子供に有害な書き込みや、アダルトサイトの宣伝などという、いわゆる「イタズラ」をおそれての配慮なのだそうだ。



 たしかに「なるほど」とも思う。

 私の知っている「掲示板を設置している」学校ホームページでも、2例ほど、そういう書き込みを見かけたことがある。



 しかし、よく考えてみると、そういうイタズラは2例しかなかったのだ。しかも2年間で2例だけである。

 掲示板の管理者が気づくのが遅かったので、書き込みを削除するのに若干の日数がかかったようだが、これも(私が担当の方に連絡したら)すぐに削除された。

 掲示板を学校の職員が定期的に見ていて、不正な書き込みを削除する方法をきちんと知っていれば、そんなに怖いことではない。



 掲示板への悪意の書き込みを警戒しなければならないのは、1日に数百ものアクセスがある人気サイトの心配であって、月に数十しかアクセスのないような学校ホームページで、いちいち心配するような問題ではない。

 むしろ心配しなければならないのは、ほとんどアクセスのないようなホームページをだらだらと運営しているということである。(うっ、それってうちの学校のことでは‥‥^^;)



 インターネットもだいぶ普及してきて、私の見る範囲では、最近になって始めたという初級者レベルの先生が増えてきた。

 これらの人は、まだホームページを管理するという域には達していない。しかし、メールのやりとりなどはできるレベルなので、既存の掲示板への書き込みなどは問題なくできるようだ。



 こういう人たちを活用すればよいのである。

 見栄えのよい立派なページを作ることだけが、学校からの情報発信ではない。

 日頃、ちょっと感じたこと(学級だよりなどによく書いているはず)や、地域や保護者の人に知らせたいことなどを、文章にして掲示板に書いてくれればよいのだ。

 掲示板方式なので、学校の先生が書くだけでなく、それを読んだ保護者の人や地域の人、あるいは卒業生なども自由に書き込みができるから、情報交換の場としては最適である。



 学校の概要など、雑誌でいえば巻頭のグラビアのようなページは、これまでのように、ホームページ作りに堪能な教師にやってもらえばよい。こういうページは一度仕上げれば、あまり更新をする必要もない。

 そうでない日常の様子を知らせる部分は、掲示板の文章でじゅうぶんである。要は新しくて、内容が豊富であればよいのだ。

 どうしても写真などを載せたいのであれば、画像表示が可能な掲示板もある。その程度であれば、初心者の人にもちょっとコツを教えるだけで大丈夫だろう。



 掲示板も1つだけでなく、たくさんあっても面白い。学校行事を主にしたもの、子供の学習について保護者からの質問に答えるQ&A、授業への資料や人材の協力を求めるもの、あるいは他校の教師と教材研究についての情報交換をするものなど、いろいろな可能性が考えられる。



 ただ、掲示板が稼働するように設定するには、上級程度のインターネットに関する知識・技能が求められる。これは特定の教師に頑張ってもらうしかない。

 稼働さえしてしまえば、あとは校内の教師にできるだけたくさん書き込んでもらえばよいだけだから、そんなに難しくはない。(学校のコンピュータからだけでなく、教師の自宅からも書き込めるというのも楽である)

 不適切な書き込みがあった場合の削除の方法も、そんなに難しくないので、これは書き込みをする教師全員にやり方を教えておく。(たいていは管理者用のパスワードを入れて、削除ボタンをクリックするだけである)

 うまく削除ができない教師がいたとしても、ほとんどの教師が毎日覗いていれば、不適切な書き込みにすぐ気づくので、その場合は削除ができる教師に知らせてもよい。



 1つだけ問題があるとすれば、プロバイダによっては掲示板を使うことができないサーバの設定になっていることもあるということである。

 こういう場合は、使えるプロバイダに変更するのが手っ取り早い。

 無料あるいは安価で掲示板を提供しているところもあるが、こういう掲示板は自分で管理するのが面倒なことが多いし、5つも6つも掲示板を使うということもできにくい。

 やはり、自分でCGIを設定して使えるようなサーバのほうが具合がよい。この場合は見た目のデザインはもちろん、使用を許可するタグなども自由に設定できるので理想的である。

(CGIの設定は初めての人には難しいが、一度コツがわかれば簡単である。掲示板を多数作るときも同じCGIソースを使えばよいのだから、すぐにたくさん作ることができる)



 学校の中でもインターネットを使える教師が増えているのと同じように、子供の保護者の方にもインターネット使用者が急増している。

 掲示板使用による「学校からの情報発信」および「家庭や地域との情報交換」は、これからの学校ホームページにとって、かなり有益であると思う。

 「不適切な書き込みが怖い」などというのは、かなり昔の発想で、しかも不要な心配である。地区の学校の申し合わせなどという硬直した考え方にとらわれることなく(見直しを提言して)、新しい学校ホームページの可能性を追求していくほうがよいのではないだろうか。

<99.09.01>



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