簡単なマジック



 最近は少なくなったが、昔は手品の上手な先生がかなりいた。

 目先の変わったことをやって、子供の気持ちをひきつけるというのは、教育の正道ではないかもしれないが、怖い話面白い話、ゲームの指導など、様々なテクニックを持っていると役立つことも多い。

 道具の必要な手品だと、それを持ち歩かなければならないので不便だ。ここでは、道具の要らない、口先だけでできる(^^;)手品を紹介しよう。


予知能力

 これをやるには、事前に会場(ほとんどの場合は教室だが)に、少々の仕掛けをしておかなければならない。

 具体的には、「1」から「5」までの番号を1枚ずつ書いたカードを作り、それを隠しておく。例えば次のようにする。

 「1」のカード:教室にあるオルガンのフタの中
 「2」のカード:花瓶の下
 「3」のカード:学級文庫の「○○○」という本の目次のページ
 「4」のカード:黒板のチョーク箱の中
 「5」のカード:テレビの下

 教室に誰もいないときにこのカードを隠し、どこにどのカードを隠したかをしっかりと覚えておく。

 さて、いよいよ本番。次のように話す。

 「私には、超能力があります。今からその実験をします。手伝ってくれる人はいませんか?」

 (挙手した子を指名して)
 「では、○○さん、1から5までの数字のうち、好きな数を考えてください。」

 「まだ、誰にもその数字を言ってはいけませんよ。実はあなたが言う数字を、私は分かっています」

 (おごそかに)
 「では、その数字を言ってください!」

 (子供がその数字を言う。ここでは「3」と言ったとしよう)

 「やはり『3』でしたね。」

 「では、学級文庫の『○○○』という本を開いてみてください」

 「私は、あなたの選ぶ数字を予知して、その数字を書いたカードをそこに準備しておいたのです」

 一同「おおーっ!」(^^;)

 ※ ただし番号を間違ってしまうと身も蓋もない。2回やってもいけない。


テレパシー

 これは協力者を必要とする。学級の児童に「先生とテレパシーを通じさせたい人は?」と言って、希望者の中から選ぶ。

 その子と廊下などに出て、打ち合わせをする。仕組みは以下の通りである。


顔の図 自分の顔を縦横にそれぞれ3等分して、1から9までの数字を割り当てる。
 (左の図参照)

 それを相手の子供に覚えさせる。(その子の名前を仮にたけしくんにする)

 教室に戻り、次のようにする。

「私とたけしくんは、今、テレパシーを通じる儀式をしました」

「教室の皆さんに1から9までの好きな数字を選んでもらいます」

(挙手した子供を起立させる)

「ではその数を指で示してください。たけしくんには見えないように後ろを向いていてもらいます」

(ここで出題者の児童が『8』を指定したとする)

「では、たけしくん、こちらを向いてください。今からテレパシーを送ります」


 念を送るために精神を集中させるふりをして、何気なくアゴ(8の位置)を手で触る。これでたけしくんは「8!」と答えるわけである。

 顔のパターンだけだと、他の子供たちに見破られる心配もあるので、バリエーションとして、教室の黒板や教卓でも同じであることを前もって確認しておけば、まずばれることはない。(その場合は、精神集中で悩むふりをして、黒板や教卓に手をかければいいのである。)ただしこの方法は、相手の子供が高学年レベルでないとうまくいかない。


ブラック・マジック

 これも前のテレパシーに似ていて、協力者を必要とする。(協力者選出の方法は同じ)

 今度は「正解は黒い色の物の後に出てくる」というのが仕掛けのタネである。

 相手の子供には目隠しをする。

 出題者の子供に、(声を出さないようにして)会場にある適当な物を選ばせて、それをみんなに見えるように見せる。(ここではコンパスを選んだとしよう)

 目隠しをしている子供に次のように問いかける。

 「それは、三角定規ですか?」

 相手の子供は「いいえ!」と答える。

 「それは、シャープペンシルですか?」 「いいえ!」

 「それは、墨汁ですか?」 「いいえ!」 (墨汁は黒いのでこれがキーワード)

 「それは、コンパスですか?」

 ここで、相手の子供は「はい!そうです!!」と、声高らかに答えるわけである(^^;)


 何度か繰り返していると、「正解の出る順番を決めているんじゃないの?」という疑いを出す子も出てくるので、その場合には、何番目に正解を出すかということまで出題者に決めさせてもよい。(無言で指で示す等の方法で)

 これでも「黒い物の後」という原則があればほぼ対応できるのだが、「1番目に正解を!」と指定されると無理である。それに対応するために、「これはかなり集中しないと難しいですね!」と言ったときには1番目が正解という約束もしておけば万全である(^^;)


 相手の子供を必要とするマジックの場合は、それに選ばれた子供と、妙な連帯感が生まれる効果もあるので(^^;)、ふだん、あまり親しくできない子供などを相手に選べば、それをきっかけに仲良くなれるということもある。

 テレパシーを通じる道具ということで、同じ色のハチマキなどを準備して、それを締めてやるといっそう雰囲気も出るし、そのハチマキを記念にその子にあげるなどというのもおもしろい。 

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