ピングといってもペンギンのような人気キャラクター(ピングー)のことではない(^^;)
PING(Packet InterNet Groper)のことである。ネットワークの接続を確認するためのツールで、正式には「ピング」ではなく「ピン」と呼ぶらしいのだが、コンピュータの設置や環境設定をする業者の人たちは「ピング」と言っているようなので、ここでも「ピング」と表現させてもらう。
コンピュータに触るようになって現在17年ほどになるが、スタンドアロンのコンピュータでワープロや表計算だけの作業をやっていた頃にはネットワークの設定等には無縁であった。
その後、パソコン通信やインターネットをやるようになり、自宅でネットワークを組んだり、学校でネットワークの保守を担当するようになると、いろいろな設定をしたり不具合に対応したりしなければならなくなった。参考になる書籍を読んだり、業者の人に聞いたりしながら、見よう見まねで作業をしているのだが、私の場合は本当に「見よう見まね」であり、基礎からきちんと学んだわけではない。
そういうことで、これから書く内容も、見よう見まねの断片的な知識のオンパレードで、情報処理等をきちんと勉強している人から見れば「いいかげんなこと」のようなものなのだが(^^;)、私のように「見よう見まね」でコンピュータをいじってみようという人には何かの参考になるかもしれないので、恥を忍んで書いてみる(^^;)
まず、これから述べる作業をやってみるためには、「MS−DOSプロンプト」(あるいは「コマンドプロンプト」)の画面を表示しないといけない。
Windowsもどんどん進化してきて、コンピュータを管理するほとんどの操作はWindows画面でマウスをクリックするだけでできるようになったが、今でも特殊な作業は「MS−DOS」画面でコマンドを手入力しないとできないものもある。
初期のWindowsはコンピュータでMS−DOSを動かして、その上でWindowsを動かすという仕組みであったが、新しいWindowsはMS−DOSを介しないで直接起動する。しかしWindowsの中からMS−DOSの操作もできるように逆の配慮をしているようだ。
Windowsを使っていてもMS−DOSコマンドを知っていると便利だということについては、うんちく講座No.284「やっぱりMS−DOSコマンド」で触れているのでご参照いただきたい。
MS−DOSコマンドを扱うための画面を出すには、Windowsのバージョンによって手順が異なる。下の一覧表をご参照いただきたい。
Windows95・Windows98
スタート→プログラム→MS-DOSプロンプト
Windows ME
スタート→プログラム→アクセサリ→MS-DOSプロンプト
Windows NT
スタート→プログラム→コマンドプロンプト
Windows2000・Windows XP
スタート→プログラム→アクセサリ→コマンドプロンプト
この操作を行うと、新たな窓が開いて、下のように表示される。
この画像では、表示を簡略化するため「プロパティ」で「ツールバーを表示しない」設定にしてあるが、初期状態ではツールバーが表示されるはずである。またフォントのサイズもこの画像では若干小さめに設定している。
ここでキーボードから様々なコマンドを手入力する。例えば「CLS(clsでもよい)」と入力し、エンターキーを押せば画面に表示されていた文字が消える。この窓を閉じるにはタイトルバー右上の×マークをクリックすればよいのだが、手入力で「exit」と入力してもよい。
前置きが長くなってしまったが‥‥(^^;)
いよいよ本題のピングの使い方に入ろう。
まずは、自宅や職場などでネットワークを組んでいる場合、自分のコンピュータから、ネットワーク上の他のコンピュータにPINGを通してみよう。
対象となるパソコンのIPアドレスが「192.168.1.2」の場合、下の画像のように「ping 192.168.1.2」とキー入力する。
ここでエンターキーを押すと、ネットワークがちゃんとつながっていれば、次のような表示になるはずである。
ここで表示されている「time」とか「TTL」などの数値にはそれぞれ意味があるのだが、それに触れているとくどくなるので今回は省略する。
ちょっと話が横道にそれるが、自分のコンピュータや相手のコンピュータのIPアドレスが分からないこともあるだろう。「コントロールパネル」等の「ネットワークの設定」で確認もできるのだが、そこで「IPアドレスを自動的に取得」という設定になっていると自分でもわからないまま使っているということもある。
そのときに便利なのが「ipconfig」というコマンドである。MS-DOS画面からこのコマンドを実行すると次のようになる。
これを見るとわかるように、自分のパソコンのIPアドレスは、上の画像赤線部分のように「192.168.1.1」であることがわかる。また「サブネットマスク」や「デフォルトゲートウェイ」についても知ることができる。
ただし、Windows95の場合は、この「ipconfig」が使えない。その場合には「スタート→ファイル名を指定して実行」から「winipcfg」を起動させると同様の情報を得ることができる。(winipcfgはWindows98とWindowsMEでも使える)
PINGを実行すると次のような表示になることもある。
要するに相手のコンピュータに接続できないということである。この表示が出た場合には、次の3つの理由が考えられる。
- 1) 対象となるコンピュータが、自分の接続しているネットワーク上に存在していない。
- 2) 対象となるコンピュータの電源が入っていない。
- 3) ネットワークの接続(線)がどこかで切れている。
コンピュータ設置業者さんなどが、PINGをいちばん使うのは、この調査をする場合が多いようだ。
私の場合も、職員室の自分のパソコンで作ったデータを、教室で仕事をしている○○先生のパソコンに送るなどという場合、○○先生のパソコンの電源が入っているか・職場のネットワークに接続しているか・途中での断線がないか等を確認するためにPINGで調べてみることがある。
○○先生のパソコンの電源が入っており、しかもネットワークに接続しているのに、PINGが通らなかったとすれば、どこかでネットワークのコードが断線していたり、外れていたり、途中のハブに不具合があったりという理由が考えられる。
職場等でネットワークの設定をして、それがうまくつながっているかどうかをチェックするには、PINGは有効な方法である。
ここまでは、職場や自宅等のLAN(ローカルエリアネットワーク)の話になるので、自宅の1台のコンピュータでインターネットという人には、つまらない話題だったと思うが、ここからは面白いハナシである(^^;)
このPINGコマンド、実はインターネット上でも使える。
インターネットができるコンピュータなら、下の図のように「ping www2.justnet.ne.jp」などのように、インターネット上のホスト名を指定してみる。(ちなみに「www2.justnet.ne.jp」には私のホームページが置かれている。平成16年3月までであるが‥‥)
すると上の画像のような反応が返ってくるはずだ。(ただし、LANを通してインターネット接続をしている場合、プロキシを介している場合やファイヤーウォールの設定がある場合などは、PINGが通らないこともある)
上の表示を詳細に見てみると、「www2.justnet.ne.jp」に接続されたことがわかるだけでなく、「www2.justnet.ne.jp」というホスト名を「210.139.247.36」というIPアドレスに変換していることもわかる。
そこで、PINGの対応先を「www2.justnet.ne.jp」ではなく「210.139.247.36」にしても、下の画像のようにPINGが通る。
この「ホスト名をIPアドレスに変換」という作業は、自分のDNSサーバーが行ってくれるのだが、DNSサーバーに不具合があったり(普通はめったに起こりえないのだが希に自分のパソコンのネットワークケーブルが外れていたり、ネットワークボードが壊れていたりすれば起こる。この場合はインターネットに接続できないので判断できる)、インターネット上に存在しないホスト名を指定すると、次のような表示になることがある。(下の例は存在しないホスト名を指定したもの)
だいたい、この位のチェックを行えば、LANやインターネットへの接続にトラブルがあった場合に、その原因を特定できるのだが、トラブルがなくてもPINGで遊んでみると、いろいろなことが分かって面白い。
面白いといえば、もう一つ楽しいコマンドがある(^^;)
それが「tracert(トレースルートと読むらしい)」である。
PINGと同じように、MS-DOSコマンドで「tracert」の後に調べたいホスト名を入力して実行する。下の図は「www.pref.akita.jp」(秋田県の公式ホームページがあるホスト)に対して実行した結果である。
個々のIPアドレスを露骨に表示してはまずいかと思って、若干、画像をぼかしてあるが(^^;)、この結果を見ると自分のパソコンからルータ(comstarz:192.168.1.254)を通って、目的のホストまでどういう経路で接続しているのかを知ることができる。
PINGにしてもipconfigにしてもtracertにしても、常時使うようなものではなく、何かしらのトラブルがあったときに役に立つものだが、トラブルがないときでも使ってみると、面白いことがわかるし、使い方に慣れておけば、いざトラブルが発生したときに効率的な対応ができるのではないだろうか。
<03.02.12>