やっぱりMS−DOSコマンド



 マックユーザーの方には関係のない話題かもしれないが‥‥



 Windowsも初期の頃からみるとWindows3.1、Windows95、Windows98と進歩してきて、全くの初心者の人にも扱いやすいものになってきた。

 ただ、いざとなると、Windowsの前身のOSであるMS-DOSの知識があったほうが便利ということもある。私が最近体験した3つの事例を紹介しよう。



1.ファイルの修復

 「ワープロの文書を保存しておいたフロッピーディスクが読み込めなくなった!」と相談を受けた。(ワープロ専用機のFDではなく、Windowsパソコンのワープロ文書を保存したFDである)

 「どれどれ」ということでエクスプローラやマイコンピュータで覗いてみたが、ディスクに損傷等があるらしく、フロッピーディスクそのものにアクセスできない。Windowsレベルの操作であれば、「もう、このディスクはダメみたい。あきらめるしかないでしょうね」ということでおしまいなのだが、それでは周囲から「パソコンの上級者」と思われている私の名がすたる(^^;)

 そこで、おもむろに開くのが「MS-DOSプロンプト」である。これはWindowsのスタートメニューから「プログラム」→「MS-DOSプロンプト」をクリックするとよい。

 古くから(といっても5・6年前だろうが)パソコンをやっていた人には懐かしい黒い背景に白文字の画面が開く。ここでキーボードから「CHKDSK A:」(古いNECマシンではC:、ちなみにチェックディスクと読む)と入力する。パソコンによっては次のようなメッセージが出ることもある。

 CHKDSKを実行する代わりに、SCANDISKを使ってみてください。SCANDISKの方がより確実に問題を見つけ、修正できる問題の範囲も広くなります。

 たしかにその通りなのだが、SCANDISK(スキャンディスク)自体はWindows上で働く機能で、様々な設定ができて高性能ではあるのだが、強引にファイルを修復してしまうという点ではCHKDSKの方が強力である。

 私が体験した例では、この壊れたフロッピーディスクの場合、CHKDSKだとディスクの中身を見ることができたが、SCANDISKでは最初のうちはディスクを認識しなかった(一度CHKDSKを実行してからは認識するようになった)

 CHKDSKの使い方については、他のMS-DOSコマンドと同じように「/?」というパラメータをつけると、使用方法が簡単に表示される。その中にあるように、「/F」というパラメータをつけて実行すると(CHKDSK C: /Fのように)ディスクのエラーを修復する。

 いくつかのファイルは復旧できないこともあるが、このコマンドでかなりの数のファイルは使えるようになる。ディスク1枚がまるごとダメになるよりは少しでも使えるファイルが残ったほうがいいのは言うまでもない。なお、このフロッピーディスクには損傷があって不安定な状態なので、復旧したファイルは速やかに他の媒体にコピーしておいたほうがよい。



2.ファイル名の一括変更

 デジタルカメラで撮影した画像ファイルなど、その機種が指定するファイル名になることがある。例えば私がよく使うソニーのデジタルマビカでは次のようになる。

Mvc-001s.jpg  Mvc-002s.jpg  Mvc-003s.jpg ‥‥

これが連番になるわけだが、このままだとファイル名を見ただけでは、いつ撮影したどんな画像なのかはわからない。また、フロッピーディスクに入ったこの画像をハードディスクに移動やコピーをしたりする場合、ファイル名が重複してコピーできないという問題も起きることがある。

 この際に、ファイル名を変えておけば整理するにも都合がよい。私の場合はファイル名の最初の部分を日付に変えている。具体的には、5月7日に撮影した画像であれば、「Mvc-001s.jpg」というファイル名を「0507001s.jpg」に変更するのである。

 このファイル名の変更は、エクスプローラやマイコンピュータで行うのが普通だが、これだとファイル1個ずつの変更しかできない。画像ファイルが40個あったとすれば、40回この作業を行うことになり実に面倒である。

 これも、昔、MS-DOSを使ったことがある人ならば、「MS-DOSコマンドなら一括変換ができたのに‥‥」と感じるであろうが、なんのことはない、MS-DOSプロンプトの画面からだと昔と同じようにできるのである。

 やり方は次の通りである。

 MS-DOSプロンプトの画面に入ったら、一括変換をしたいファイルが置かれてあるフォルダ(MS-DOSの頃はディレクトリと言った)に移る。これはCD(チェンジディレクトリ)コマンドを使う。

(ここからは少々くどいので、余談扱いで読み飛ばしてもかまわない)

 通常、MS-DOSプロンプトの画面に入ると「C:\WINDOWS>」という表示が出て、現在の位置(カレントディレクトリ)が「Cドライブの中のWINDOWSというフォルダの中」ということがわかる。何かのはずみでこの表示が出なくなったら「prompt $p$g」というコマンドを入力すれば出るようになる。この場合、仮に画像ファイルを置いているフォルダが「C:\TEMP」だとすれば、「C:\WINDOWS」から1階層上の「C:\」に移るために「CD..」とキー入力し、表示が「C:\>」となったところで、「CD TEMP」と入力すれば「C:\TEMP」に入ることができる(「CD ..\TEMP」という指定の仕方も可能である)


 うまくカレントディレクトリを変更できたら、そのディレクトリ(フォルダ)の中にあるファイルを確認するには「DIR」というコマンドを使う。すると画面にファイル名が表示される。ディレクトリの中にたくさんのファイルがある場合は、表示されたファイル名がどんどん上にスクロールして見にくい(上にスクロールしたものは戻らない)ので、「/W」(横に複数列表示する)や、「/P」(1画面分だけ表示して、何かのキーが押されるまで停止する)などのパラメータを組み合わせるとよい。この2つは組み合わせて使用も可能。

 目的のファイルがあることを確認できたら、ここで「REN」(リネーム)コマンドを使う。基本的な使い方としては

  REN 古いファイル名 新しいファイル名

という書式なのだが、このときに使えるのがワイルドカードである。

 ワイルドカードについては、「うんちく講座」No.235「ワイルドカードな言葉」で書いているので、そちらをご参照いただきたいが、要するにファイル名の共通な部分を「」や「」という記号を用いて代用し、それに該当するものを一括して指定するというものである。

 例えば、前述したように、デジカメで撮影した次のようなファイル群があったとする。

Mvc-001s.jpg
これをこう変えたい
0507001s.jpg
Mvc-002s.jpg
0507002s.jpg
Mvc-003s.jpg
0507003s.jpg
Mvc-004s.jpg
0507004s.jpg
Mvc-005s.jpg
0507005s.jpg


 この「Mvc-」という部分を全て「0507」に置き換える場合には、次のようにするとよい。

  REN Mvc-*.jpg 0507*.jpg

 これで該当ファイルがどんなにたくさんあったとしても、このコマンド操作一発で全てのファイル名が置き換えられる。(ただし、MS-DOSレベルの操作なので半角8文字をこえる長いファイル名には対応できないようだ)

 これは使ってみないと実感できないかもしれないが、実に便利である。Windows自体にもこの機能はないものかと調べてみたが、どうも見つからない。大量にファイル名を一括変換する場合は、MS-DOSコマンドを使わないと無理なようだ。



3.フォーマット

 MS-DOSからWindowsに切り替えた経験がある人は、Windowsになってからフロッピーディスクの初期化(フォーマット)の速度が遅くなったように感じたかもしれない。実際にそうなのである。

 このフォーマットの作業も、エクスプローラやマイコンピュータから行うようになっているが、これが実にかったるい。クイックフォーマットという方法ならさほど遅さを感じないが、これはすでにフォーマットされてあるディスクを使う場合で、全くフォーマットされていない新しいディスクや、別の形式でフォーマットされているディスクの初期化を行うには「通常のフォーマット」という方法を選ばなければならない。

 私が使っている古いWindowsマシンで実測したら、1枚のフロッピーディスクをフォーマットするのに、約2分(1分55秒)もかかった。

 そこで、MS-DOSプロンプトの画面に入って、コマンドラインから直接「FORMAT」コマンドを実行してみた。するとこちらは44秒で終了した。約2.6倍のスピードである。何枚ものフロッピーディスクを連続してフォーマットしなければならないときなど、絶対にMS-DOSプロンプトから実行したほうが得策である。

 ただし、このフォーマットに関しては、MS-DOSに関して全くの初心者の人には勧めない。ドライブの指定を間違えたりすると、大事なハードディスクの中身を消してしまったりする心配もあるからだ(^^;)



 以上のように、必要に応じてMS-DOSコマンドを使いこなすことは、便利なことが多い。ここにあげたような作業をアプリケーションとして可能にしているソフトもあるかもしれないが(私は使っていない)基本的なMS-DOSの知識と技能があればパソコン本体に標準装備されている機能で十分である。

 若い人だと、Windowsが普及してからパソコンを始めたという人も多いかもしれない。それでもWindowsをバリバリに使いこなして、上級レベルの腕を持っている人もたくさんいるだろうが、ある程度のレベルに到達したら、さらに腕を上げるためには、MS-DOSの世界を学んでみるのもよいことではないかと思う。

<00.05.24>



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