変わり種MP3プレーヤ挑戦記



パチンコの景品置き場で


 面白い物を見つけた。

 パチンコの景品は球2500個分までという規制があるらしく現金価格で1万円程度の物までに限られているのだが、この頃は大型家電店だとその価格でCDラジカセとかビデオデッキなども手に入るので、それらもパチンコの景品になっている。最近では安価デジカメなども並んでいる。

 新しくできたパチンコ店だったので、他の店には置いていないような物もあった。

 その中に「MP3プレーヤ」があったのだ。



 一般的なMP3プレーヤは、3〜4万円程度が相場である。1万円程度で手に入るとすればもうけものだと思った。

 外箱の表示を見てみると「コンパクトフラッシュを記憶媒体に用いた画期的製品。USBでパソコンに接続し、音楽プレーヤとしてだけでなくメモリカードリーダーとしても使える。ファイルの転送もパソコンからドラッグ&ドロップで簡単。デジカメの画像も読み込める」といったことが書かれていた。

 その通りだとすると、私にとっては理想的な製品である。

 その日は思ったよりも大勝ちしていたので、まあパチンコの景品で取ったオモチャだと思えばダメでもともとと思い、MP3プレーヤを手に入れて帰宅した。






 この画像の左側が、そのMP3プレーヤである。タバコの箱よりも一回り小さいサイズで、重さは(単4電池2本を入れた状態で)携帯電話よりちょっと重いという程度である。MDやカセット等の携帯オーディオ機よりは、はるかに小さくて軽い。



思わぬ誤算


 家に帰ってすぐにMP3音楽を楽しめるかと思ったのだが、2つの誤算があった。



 まず1つ目は、記憶媒体のコンパクトフラッシュが、このプレーヤに同梱されていなかったこと。

 一般的なMP3プレーヤは本体内にメモリ(64MB程度)を内蔵していたり、スマートメディア等を使ったりしていて、価格が3万円程度。1万円のこのMP3プレーヤに記憶媒体が添付されていないとしても文句は言えない。

 パチンコ店から出て自分の車の中で箱を開けてみて、そのことがわかったので、さっそく電器店に行きコンパクトフラッシュを買った。64MBで約4千円。まあしょうがないだろう。



 で、2つ目の誤算は、そのMP3プレーヤが思うように作動しないことであった‥‥(;_;)

 プレーヤには、USBコードとパソコン接続用のドライバ等が収録されたCDが入っていたのだが、自宅のパソコンでインストールすると最後のところでエラーが発生しフリーズしてしまう。

 製造元のホームページに接続して「トラブルシューティング」等を参照し、何度も試みたのだがうまくいかない。翌日、職場の自分のパソコンでも試してみたが、やはりダメであった。



 原因としては次のようなものが考えられた。

1 添付のCDドライバに不具合がある。

2 私のパソコンに不具合がある。

3 MP3プレーヤ本体が故障している。

4 購入したコンパクトフラッシュが対応していない。

 パチンコに景品になっているのだから、1や3のような不良品であるということは考えられる。私のパソコンはあまり調子はよくないのだが、自宅・職場ともに同じような症状になるというのは考えにくい。MP3プレーヤの製品説明書には「動作確認をしているのは自社製のコンパクトフラッシュだけなので他社製のものを使った場合は保障しません」とあったのでこれも問題かもしれない。



不屈の挑戦(^^;)


 これであきらめてもよかったのだが、景品で取ったMP3プレーヤはゴミになっても、4千円も出して買ったコンパクトフラッシュがもったいない。それにこういうことだけには根性のある私の性格(^^;)が、うまくいかないままにしておくことを許さない。

 そこで、更に出費を重ねて(^^;)、ちゃんとしたカードリーダを購入した。



 これがその製品である。コンパクトフラッシュだけでなくスマートメディアも読み書きできるというスグレモノである。これで約5千円。コンパクトフラッシュ(以下『CF』と記述)やスマートメディア(以下『SM』と記述)だけの専用カードリーダは約3千円程度で買えるが、私のデジカメはSMを使っているのでそれも読み書きできたらと思って両用タイプにした。

 もちろんUSB接続である。



 これが大成功であった。

 カードリーダは私のパソコンに無事インストールされ、パソコンからCFもSMもちゃんと認識できた。ファイルの書き込み・消去・転送も簡単にできた。

 このカードリーダを使って、CFにMP3データを転送し、そのCFをプレーヤに入れて再生してみたら‥‥‥

 見事に音楽が聞こえてきた!!!

 パチンコの景品で取ったMP3プレーヤの謳い文句のように「これ1台で音楽再生だけでなくカードリーダとして使用可能」というわけにはいかなかったが、まずはこのプレーヤを無駄にしなくてもよくなったのである。



これは便利!


 なんとか使えることがわかったので、更に出費を重ね(^^;)、カードリーダをもう1台購入した。自宅と職場の間をカードリーダごと持ち運びをするのも不可能ではないが、いちいち取り外しをしてかさばる本体を持ち運ぶのは面倒である。データは切手サイズのCFやSMに入れて持ち運ぶのがスマートで便利だ(^^;)

 自分のデジカメのSMをカードリーダに入れて読み込んでみたがこれもOKであった。もちろんカードリーダを使って消去もできる。CF使用のデジカメを使っている人からそのCFを借りて読み込んでみたらこれも大丈夫だった。

 自分のパソコンの中の様々なデータをCFに転送してみたが、これも楽勝であった。更に嬉しかったのは、1枚のCFの中に音楽データのMP3ファイルと他のファイル(ワープロ文書・画像・プログラム等)を同居させても、MP3プレーヤの演奏に支障はなかったことである。

 1枚のCFを通勤時の音楽鑑賞用に使いながら、それに仕事用の多種データも入れて持ち運びするという使い方ができるのである。



大容量媒体の魅力


 これまで私は、自宅と職場の間のデータの持ち運びにフロッピーディスクを使っていた。しかし、1.4MB程度の容量のフロッピーディスクだと文書ファイル程度なら問題はないが、画像ファイルやプログラムファイル(インターネットからダウンロードしたもの等)はサイズが大きくて収まらないことも多かった。

 職場から自分宛にファイルを添付したメールを送って自宅で受信するという方法や、プロバイダに置いた自分用のサーバにアップロード・ダウンロードするという方法もあるが、いずれにしても時間がかかるし、大きすぎるファイルだとサーバの容量がパンクする可能性もある。

 これがCFやSMを使うと楽々と持ち運びができる。インターネットからダウンロードしたプログラムファイルなどはフロッピーディスクで数十枚分ということもあるが、CFやSMなら手軽に扱える。

 CD−RWを使ったり、MOでも可能だが、どちらもそのためのドライブがやや高価なので、CFやSMはお勧めである。



プレーヤの音質や操作性


 さて、景品で取ったMP3プレーヤの使用感だが、まずまずというところだった。



 音質は意外に良いという感じだ。遠い昔(30年近く前)、初めてカセットの携帯型ヘッドフォンプレーヤ(いわゆるウォー○マン型)を使って「これはたいしたもんだ」と思った記憶があるが、それに近い感動である。

 CDプレーヤやMDプレーヤよりは音質が落ちる。まあ音のデータを10分の1以下に圧縮しているのだから、それでこの程度の音質ということなら満足度は十分である。画像に例えるとフルカラーで撮った写真画像を256色のGIF画像に圧縮した程度の違いである。

 つまり、細かく気にすれば違いを感じるが(高域の透明感や残響のふわっとした雰囲気のようなところが失われているような気がする)、意識しなければ違いがわからないという程度であった。

 ただし、プレーヤの説明書にはエンコード圧縮率が128kbpsのMP3データのみ再生可能ということであったが、私が使ったのは96kbpsのデータだったので(これでも問題なく再生できた)、正規の128kbpsのデータだともっと良い音質かもしれない。

 音質を調整機能(バス・トレブル・ラウドネス等)は全くついていなかった。そんなに音質は悪くないので調整する必要はないのだが、ちょっと淋しい気もする。まあカードリーダに音楽再生機能を付加した製品だと割り切ればよいのかもしれない。



 操作性については、必要最低限をクリアしているという程度だった。一般的なオーディオ機器にあるリピート再生機能はない。曲は頭から順次再生されるだけである。

 自動バッテリーオフ機能もない。単4電池2本で連続8時間再生可能ということで、使ってみると電池交換なしでけっこう長時間使えるのだが、聴きながら寝てしまったりすると翌朝には電池が使えなくなってしまう。カードリーダとして使う場合にも(私の場合は使えなかったが)電源はUSBから供給されずに電池を使うということなので、まめに使うと電池交換を頻繁におこなわなければならないかもしれない。



MP3データを作るには


 このMP3プレーヤで音楽を聴くためには、CFにMP3データを転送しなければならないが、そのデータの作り方や入手方法も問題である。

 私が職場で使っている新しいパソコンには最初からデモ演奏のためのMP3データが十数曲収録されていたので、プレーヤの動作チェックにはこれを用いた。エンコードの圧縮率は96kbpsで、プレーヤが推奨する128kbpsではなかったが、前述したように問題なく再生できた。

 自分が持っているCD等からMP3データを作成するには、専用のエンコード・ソフトが必要である。市販のソフト(5千円程度のものからある)を使うのが理想的なのだろうが、手軽にエンコードするには、「Real社」の「RealJukebox」がお勧めである。これは無料でダウンロードできる。(こちらのサイトから

 エンコードの圧縮率は96kbpsまでしか対応していないが、このほうがファイルサイズが小さくなるので、限られた容量のCFやSMには多くの曲数が収録できるし、ハードディスク内に保存しておく場合にも効率がよい。ネット上で扱うデータを作る場合にも96kbps以下の圧縮率が一般的である。

 携帯型MP3プレーヤを使わない場合にも、手持ちのCDの曲をどんどんハードディスクに収録して聴くことができる便利なソフトである。自分のパソコンに組み込んでおくと何かと重宝するだろう。

 市販の曲をMP3データにしてネット上で配信するのは法に触れるので行われていないが、インディーズ・バンドの曲などはネット上で無料配信されているので、これをダウンロードして楽しむのもよいだろう。この場合も圧縮率は96kbps以下が一般的なようだ。



新製品情報


 私がパチンコの景品で手に入れた製品は「グリーンハウス」社の「KANA2000」という製品であった。前述したように思い通りに使えなかったので(たぶん私の使い方の問題かとは思うが)ここでリンク先は紹介しないが、そのバージョンアップ製品を紹介しておこう。

 「KANA21」という製品で、こちらはUSB接続時の電源供給がUSBからできるようになった等、いくつか改善点が見られる。おそらく操作性や音質についても改善されていることだろう。

 電器店等でも売れ筋商品のようだからお求めになってもよいのではないだろうか。製品の特徴である「カードリーダ機能」もたぶん大丈夫だろう。まあ不具合があったとしても、私のようにパチンコ景品で入手したというのではなく、正規に購入したというのであればサポートもしてもらえると思われる。



 この文章を書くためにいろいろと検索していたら、更に魅力的な製品も見つけた。

 マクセル社で販売している「musicBit! CROSSFORM」という製品である。

 これは、MP3データの他、TwinVQ、WMAのデータ形式にも対応したプレーヤで、記憶媒体にSMを使用しており、本当に「カード」といえるような小ささと軽さである。特にTwinVQデータ形式はMP3データ形式と比較して圧縮率・音質ともにはるかに優れているので(私の「Akira's コンサート」でもこのファイル形式を使っている)個人的に音楽データを携帯して楽しむにはこのデータ形式がベストであり、MP3データの他にTwinVQデータにも対応しているというのは理想的である。

 更に、音楽プレーヤとして必須である、リピート再生機能、バッテリーオフ機能、音質調整機能等も備えているので、私にとってはまさに望み通りの製品だと感じた。ネット販売では64MBのSMとカードライタが付属して1万5千円程度だったので、さっそく注文した(^^;)

 音楽鑑賞用としてだけでなく、データ搬送用に使えるかどうかは今のところ不明だが、入手したら試用記を紹介することができるだろう。



という具合で


 ここのところ、CFやSMという超小型記憶媒体の活用にはまっていた次第である。

 Windows98以降、USB接続が一般的になり、それに対応した接続機器が安価で提供されており、パソコンの使い勝手も格段に良くなった感じがする。既に使いこなしている方も多いだろうが、まだの方にはぜひお勧めしたい。1万円札2〜3枚程度で、パソコンライフが大きく広がることは請け合いである(^^;)

<01.12.10>


ホームページに戻る うんちく目次へ