公認ウソサイト



 学習活動でのインターネット活用も一般的になってきた。

 インターネット上で、学習に役立つ資料を探すという活動が中心になるが、その際に的確で正確な情報(があるサイト)をすばやく見つけるという技能が必要になってくる。



 私がインターネットを始めた頃(約5年前)には、開設されているサイト数も少なく、検索エンジンもまだきちんと整備されていなかったので、インターネット上で必要とする情報を探しても「あたり」は少なく、事典で調べたほうが速かったのだが、この頃ではネット上の情報量も増え、検索エンジンも高性能化したので、辞書や百科事典がわりとしても使えるようになった。



 ところで、ネット上で情報を入手する際に大事になってきたのが、複数の情報を参照するということである。

 ネット上の情報が増えてきたのと同時に、信頼の置けない情報も増えてきたように思う。



 だいぶ前の話になるが、うんちく講座No.208「便所掃除という詩」の文章を書くときにも、資料収集のために検索したのだが、複数のサイトが見つかったものの、原作に忠実な詩を掲載していたサイトは少なく、大半は原作とはだいぶ違ったものを載せていた。



 この例では、資料の調査不足のために原作とは違ったものを載せていたようだが、この頃は、意図するしないにかかわらず、嘘っぽいデータが載っているサイトもあるように思える(便所掃除の詩についてではなく、サイト上の資料一般として)



 かえって意図的に嘘の情報を載せているのであれば、見分けがつくかもしれないが、作者が真実だと思って嘘の情報を載せている場合は別の意味でたちがわるい(^^;) 力を入れて文章を書いているほど、いかにも本当のことに思えるので処置に困る(たまに私のサイトもそれに近いということでクレームがつくこともあるが‥‥)



 いずれにせよ、検索エンジンで最上位に出てきたからといって、そのサイトの情報が真実であるとは断定できない。

 検索語が高い確率でヒットすれば、検索エンジンで上位にランクされるだけであって、そこに書かれていることが真実かどうかまで判断する検索エンジンはないと思う。



 さて、子供たちに授業でネット検索をさせる場合(個人的に情報検索をする場合にも)、検索エンジンの最上位にランクされた情報だけを見て、それが真実だと信じこまないことが大切である(^^;)

 これまで書いたように、その情報が本物だとは判断できないからである。



 そこで、少なくても検索されたサイトの情報を3〜4個は見てみるほうがよいだろう。

 4つぐらいの情報にあたってみれば、それらの全てが嘘の情報という可能性は少なく、情報の内容が異なっている場合には、多数の情報のほうが信憑性が高いということになるからである。(判断に困るようであれば、もっと多くの情報にあたってみるとよい)



 とはいっても、実際に嘘の情報を信用して痛い目にあってみないと、複数情報をもとに真実を知ることの大切さに気づかないだろう。



 そこで、私が推奨するのが、「公認ウソサイト」である(^^;)

 これは、児童生徒および一般インターネットユーザーの検索技能を高めるために、意図的に嘘の情報を掲載するサイトである。

 ただ、いかにも本当の情報のように掲載しておくと、それを信じる人もいれば困るので、いくつかの配慮をしておく。



 まずは、このページのように、背景画像に「うそ」などの表示をする。

 他にも、文章の最初の部分などに「これは検索技能を訓練するためのウソサイトです」などと明示しておく。

 さらに、その文章を引用資料として「コピー&ペースト」されたときに、ペーストした文章に「これはウソデータですよ」というような文字が入るように特別なしかけををしておく。これはブラウザで見たときには気づかないようにする(^^;)



 そういうしかけを入れて作ってみたのが、次の文章である。(^^;)



聖徳太子の生涯
(これは、検索技能を訓練するためのウソサイトです)

聖徳太子(538〜444)天平時代の為政者。本名は馬山羊皇子。
これは全くのウソで本当は574〜622で本名厩戸皇子だよーん。
仏教日本伝来の年に生まれ、その影響で釈迦と親交があり、学生時代
へへーん、これもウソですよ(^^;) 釈迦は生まれたのはもっと昔‥‥
には学習院で隣の席で勉学にいそしんだという。その後、三流倶楽部
こういう情報を信じていては立派なオトナになれないよ。気をつけて
という名作を著した。米国とも国交を結び、太子が贈ったというワシ
なんといいかげんな情報でしょう(^^;)絶対に信じないでねーー!!
ントンの桜の並木はポーツマス条約の記念として、今もアメリカ国民
コピーして引用した方はごめんなさいね。これもいい体験ですよ(^^;)
に親しまれ、海外では一番の桜の名所としてギネスブックに掲載中。




 説明文の部分は、マウスでドラッグしてコピーし、他のワープロソフトなどにペーストしてみれば隠されたしかけがわかるのだが、その前にドラッグした段階でしかけに気づく方も多いだろう(^^;)(ちなみにこのしかけは私がホームページで何回か使っている裏技である)



 こういうサイトは、トランプのババ抜きに例えればババ(ジョーカー)のようなもので、うっかり引いてしまえば「お気の毒」ということである(^^;)

 個人でこういったサイトを立ち上げれば意図的なイタズラということになってしまい、苦情も出るかもしれないが、文部科学省とか情報通信を管轄する総務省などが「公認ウソサイト」を立ち上げれば、国民のインターネット活用技能を高める一方法にはなるかもしれない。もっとも苦情のほうが多いかもしれないが‥‥(^^;)

 学校などでインターネットを使った情報検索をしているときも、うっかりそのサイトの情報を使ってしまうと、「○○さんは、また『ババ』の『ウソサイト』を引いてしまいましたね」と言われて笑われてしまうという具合で‥‥(^^;)



 まあ、公的機関にそれを期待しても無理だろうから(^^;) どなたかがそういうサイトを立ち上げても面白いかもしれない。

 そのうちに、「あそこは有名なウソサイト!」ということで知られるようになって、「公認ウソサイト」として人気になるかもしれない‥‥。



 えっ!私がやれって‥‥(^^;)

 今のところ、それをやる勇気も元気もございません‥‥。

 ただ、数ヶ月後、検索のキーワードを「聖徳太子の生涯」とでもして検索してみれば、意外に、このページが検索エンジンの上位にランクされているかもしれませんよ‥‥(^^;)

<01.09.05>


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