使えるぞ安価デジカメ



 学校ではデジカメ(デジタル・カメラ)は必需品となってきた。

 学校ホームページを作るときはもちろん、学校行事の記録や、日常の学習活動などで大活躍している。



 普通のフィルムに撮影する光学カメラにも、画像の綺麗さなどの長所はあるが、デジカメの画質も光学カメラに遜色のないレベルになってきたし、写真屋さんに現像・焼き付けなどを頼まなくても、撮ったらすぐに表示・印刷等ができるのが強みだ。

 撮影後に、色調や画質等の修正や微調整もできるし、必要な部分だけをトリミングして拡大することも簡単だ。文字を画面の中に入れたり、複数の画像を組み合わせたりする編集もできる。カラープリンタで大きな画像として引き伸ばして印刷もできるなど、学校現場での活用範囲は無限で、無敵の存在である(^^;)



 ただひとつ、問題があるとすれば、デジカメの価格が高いということだろう。



 うんちく講座No.239「デジカメで簡易プレゼンテーション」などでも紹介しているS社のデジカメなどは、記録媒体にフロッピーディスクを使っていて、撮ったらすぐパソコンに挿入して編集ができるスグレモノで、学校現場でも広く使われているが、唯一の難点は価格が10万円以上するということだった。(最近はオープン価格設定になり、新機種などはかなり安くなったようだが‥‥)



 デジカメ全体が安くなってきているとはいえ、普通レベルの機種を買うとなれば5万円以上になってしまう。

 学校に1・2台準備して教師が使うのならそれでよいのだが、児童生徒に使わせるとなると、この価格はちょっと苦しい。



 生活科や総合的な学習の時間などに、グループごとに見学に出かけて、それをデジカメで記録するなどという場合には、少なくても8台ぐらいのデジカメは欲しい。

 学年全体で出かけるなどとなれば20台ぐらい欲しいということもあるだろう。それに子供に持たせるわけだから、場合によっては紛失や破損のおそれもある。10万円もするデジカメを20台も揃えて、それが紛失しても仕方がないなどという、お金に余裕のある学校は少ないだろう(^^;)



 それは無理なので、子供たちに多量のカメラを持たせる場合は、使い捨ての光学カメラ(レンズ付きフィルム)を持たせることが多いようだ。

 これだとカメラ自体は千円以下だし、紛失してもあきらめがつく(^^;) ただ、そうやって撮影した写真を全て現像・焼き付けするとけっこうな費用がかかる。

 1つのカメラにつき、カメラ代とプリント代で2千円以上というのが相場だろう。8つのグループで使った場合、1万5千円以上はかかる。1回の学習で終わるのならそれでもよいだろうが、これを数回繰り返したら、普通のデジカメを1台買えるぐらいのお金になってしまう。



 デジカメの便利さと、使い捨てカメラの安さを兼ねたようなものはないだろうかと探してみたら、いいものを見つけた(^^;)



 最近、電器店などで見かける安価デジタルカメラである。



 安いものだと5千円ぐらい、ちょっと高くても1万円以下で買えるようだ。

 一般のデジカメのような液晶ディスプレイもついていないし、ズーム機能などもない。画質もどんなものだろうという不安があったが、「ここはひとつハナシのタネに‥‥」と思い、買ってみることにした(^^;)



 どうせ買うなら新しいものをということで、最近(4月20日)発売されたアクシア(富士フイルム)の「ix−1」という機種にした。パソコン教育雑誌等に広告も出ていて、それを見るとかなり期待できそうだった。

 価格はオープン設定になっているが、店頭価格で9千円程度だった。まあちょっとしたオモチャを買うような値段だから、仮に「ハズレ」であってもあきらめがつく(^^;)



 で、これが「ix−1」である。



 詳しいことは「ix−1」公式サイトを参照していただけばわかるが、大きさは携帯電話程度、重さもそのぐらいである。



 性能や使い勝手については後述するが、問題はどの程度の写真が撮れるかということである。まずは、私が試しに「ix−1」で撮影した画像をご覧いただきたい。



 いかがだろうか。私の感じ方では「想像以上のでき!」だった。

 私が撮影したサンプル画像をもう2枚紹介するが、このページが重くならないように、サムネイル表示にするので、ちゃんとしたサイズの画像をご覧になりたい方は、下の画像をクリックしていただきたい。





(サンプル画像は、デジカメで撮ったオリジナル画像(640x480ピクセル)から若干小さめに切り取ってあるのだが、解像度はそのままにしてある)



 高度な芸術写真を撮りたいという方には向かないかもしれないが、学習の記録を残したり、ホームページ用の画像を撮影したりするには十分すぎるぐらいの画質である。



 もちろん、普通のデジカメと比較して劣る部分もある。



 まずは、液晶ディスプレイがないので、撮影した画像を表示して確認することができない。しかし、光学カメラは全てそうなのだから、「これは普通のデジカメではない光学カメラと同じなのだ!」と思いこんでしまえばよいことである(^^;)



 ズーム機能もない。しかし、一般のデジカメでも、ズームアップしすぎると画質が落ちてしまう。「大きく撮りたいものは自分が近寄って撮る」という撮影の基本に従えば問題はない。それに、本体の設定が最初から若干ズームアップしたようになっているので、遠いものでも比較的大きく撮れるようだ。

 またピント調節機能もないが、光学式の使い捨てカメラでもけっこうきちんとした写真が撮れるように、これも十分我慢できる範囲である(^^;)



 フラッシュもないので、夜間や暗いところでの撮影はできない。しかし試してみたら、電灯がちゃんとついている部屋での夜間の撮影は大丈夫であった。



 撮影した画像データを1枚だけ特定して消去する機能もない。(全部一括して削除はできる)まあ、撮影した画像を表示するディスプレイがないのだから当然なのだが、これも光学カメラと同じだと思えばしかたがない(^^;)



 しかし、良い点も多い。



 まずは、撮影後の記録スピードが速い。撮影したデータは本体内のメモリに保存されるので、スマートメディアやフロッピーディスクなどの媒体に記録する機種と比較すると問題にならないくらいの速さである。1枚撮影した直後に2枚目の撮影が可能である。この速さを生かして、シャッターを押しっぱなしにして連写し、後で動画を作成するというスグレモノの機能も備えている。



 パソコンとの接続はUSBを使っており、画像データの転送などが快適である。転送速度も速い。USB接続中はパソコン側から電源が供給されるので電池の消耗がない。USB接続状態で撮影も可能で、USBコードが電源アダプターの役割も果たしている。



 1万円もしないデジカメのわりに附属ソフトが豊富である。CDで添付されているソフトには、画像取り込みの機能だけでなく、画像処理機能も豊富で、一般のフォトレタッチソフト並みの機能がある。画像から動画を作成する機能や、アイコラのようなものを簡単に作成する機能などもあり、添付ソフトだけでも5・6千円分の価値があるように感じた。



 添付ソフトのネットミーティング機能を使えば、本体がテレビ電話用カメラとしても使える。その際にパソコンディスプレイの上に本体を置くためのスタンドも小さいながらよくできていて、セルフタイマー撮影(これもスグレモノ)の際のスタンドとしても活用できる。



 記録できるのは、通常画質(640×480)の場合26枚、低画質(320×240)で107枚。ホームページ用に使うのであれば、後で画像を縮小したりする必要のない低画質モードのほうが便利かもしれない。これで100枚以上の撮影・記録ができるのだから、校外学習などの記録道具としては理想的である。

 電源は単4電池2本だが、多くの電気量を必要とする液晶ディスプレイやモータードライブ・フラッシュ等がないので、かなり長持ちするようだ。



 話は最初に戻るが‥‥(^^;)



 この価格ならグループ活動用に8台揃えても7万円程度。普通のデジカメ1台分の値段である。しかも使い捨てカメラを使ったときのような「その後の現像・焼き付け等の費用」はかからない。撮影データの編集や印刷も簡単である。

 それでいて、性能的には十分満足できるレベルなのだから、学校でこれを使わない手はない。

 学校で多くの台数を使う場合には、添付CDは1枚あれば十分なので、できればメーカーさんのほうで、本体10台+添付CD1枚のようなスクールパックを5〜6万円程度で発売してくれば、もっとありがたいのだが‥‥(^^;)

<01.05.05>


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