大事な儀式で停電



 「うんちく講座」のNo.109「簡易&高品位な新時代PAが5千円で」でも簡単に触れているのだが、あらためて独立した文章にしてみる。



 入学式・卒業式・創立○○周年記念式典など、学校にとって大きな儀式のときに、停電になってしまったら、どうしたらいいだろう。



 来賓や児童生徒の保護者もたくさん来ている。10分程度の進行の遅れなら仕方がないだろうが、大幅に進行が遅れてしまったら、いろいろな面で支障が出てくる。後日、日をあらためて開催するということもできない。



 照明の面では、あまり夜に開催する行事はないだろうから、照明がつかなくても自然光の中でやるということで、どうにかなるだろう。



 ただ、音響の面では、拡声装置がないことには、かなり苦しい。体育館や講堂で、生の声で話すのでは、あまり聞き取れない。みんなが静かにして、話す人はできるだけ大きな声で‥‥というのも、それなりに感動的ではあるが、雨の日などは屋根に降る雨音などがうるさくなるので、全く聞こえない状態になってしまう。

 校内で電気のブレーカーが落ちた程度の停電であれば、短時間のうちに復旧できないこともないが、落雷などによって、その地域全体で停電が起きてしまった場合などは、数十分も復旧できないことも考えられる。

 大事な儀式の際に、そういった停電が起きてしまうという可能性は、本当に「何万回に1回」という確率だろうが、その「万が一」が、絶対に起きないという保証はない。文字通り「万が一」の場合でも、とりあえず進行が滞らないような準備はしておくべきである。(儀式の音響担当者は心しておくべきことだと思う)


ワイヤレス・アンプ

 交流電源がだめになった場合、使えるのは電池で作動するものだけである。

 No.109「簡易&高品位な新時代PAが5千円で」で書いたようなシステムでもよいのだが、もっと簡単で、しかも出力が大きいのは、上の写真のようなワイヤレス・アンプである。

 この手のものは、たいていの学校に1式はあるはずである。

 ワイヤレス・マイクの他に有線マイクが1〜2本使え、さらにカセットテープレコーダーが内蔵されているのが一般的である。

 これに、きちんと電池を入れて準備しておけば、演壇のマイクと進行係のマイクは使えるし、BGMなどを流さなければならない場合もカセットテープを使うことができる。CDやMD等を使う場合も、電池式のポータブルプレーヤーがあるので、それをワイヤレス・アンプの外部入力端子に接続すればよい。



 これで、とりあえずは、進行を遅らせることなく儀式を行うことができる。完璧な音響ではないが、拡声装置なしで行うのと比べれば天と地ほどの差がある。

 停電になってしまってから、ワイヤレス・アンプを走って取りに行っても、できないわけではないのだが、時間もかかるし、もし電池が切れていたらおしまいである。やはり、前もって準備をしておくのがベストだ。



 せっかく会場にワイヤレス・アンプを準備しておくのだから、停電のときだけ活躍させるのももったいない。

 ピアノ伴奏で歌を歌うような場合は、会場が広いと音の伝達速度が遅いために、ピアノの音が歌う人たちに届くのが遅くなることがある。ピアノの音をマイクで拾って拡声することも多いが、これもスピーカーの位置によっては音が遅れる場合もある。

 そんなときに、ワイヤレス・マイクでピアノの音を拾い、歌う人たちの近くにワイヤレス・アンプを置けばとても歌いやすくなる。

 あるいは逆に、ピアノを弾く人に歌声が届くのが遅れて、弾くときにとても具合が悪いということも、よくある。(ステージ上にピアノを置いた場合などは、ほとんどそうである)この場合には歌声をマイクで拾って、ワイヤレス・アンプをピアノのすぐ近くに置くことで、ピアノを弾く人の耳に歌声が遅れないで聞こえ、タイミングのずれない伴奏をするということもできる。

 停電がない場合は、このような使い方をすることにして準備しておき、万一の停電の場合は、それを拡声用に流用するという使い方が、いちばん合理的かと思う。

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