施行規則ってどう読むの?
学校現場に関係のある法規はいろいろあるが、その中に「学校教育法施行規則」というのがある。よく話題になる「学習指導要領」は、この第25条によって制定されている。
ところで「施行」という部分、どう読んだらいいのだろうか?
私の地域のお役人は、「しこうきそく」と読んでいた。日本語としては、これが正しいと思う。そこで私も長い間、「しこう」と言っていた。
ところが、少し前に、文部省の中央研修に参加したら、そのときに講師として来ていた文部省の人は、例外なく、「せこうきそく」と言っていた。
「ん?」と思い、「聞くは一時の恥」ということで、挙手して質問してみた。
「『施行』を『せこう』っておっしゃっているようですが、私は普段『しこう』って言っているのですけど、本当のところはどうなんですか?」
すると、答えはこうだった。
「たしかに『しこう』とも言いますが、霞ヶ関周辺では『せこう』と読むのが一般的なようです。」
なあるほど、官庁関係では「せこう」って読むのか。よーし、イナカに帰っても私は「せこう」って言うぞ!ということになったのだが、ちょっと根拠がはっきりしない。
そこで、毎度おなじみの、文化庁発行の「言葉に関する問答集」で調べてみた。結果は次のとおりである。
- ○ 問 「施行」は「シコウ」か「セコウ」か。
- 「シ」は漢音、「セ」は慣用音である。したがって、普通には、「シコウ」と読んで、主に公共機関の事業を行うことに使う場合が多い。ただ、法律方面で、「執行」と区別するため、「セコウ」と読む慣用もある。一方、工事を実際に行う「施工(シコウ)」を「セコウ」と読み、「施行(シコウ)」と区別する習慣もある。
- NHKでは、
- シコウ 施行
- セコウ 施工(工事)
- と区別している。
- ちなみに、「せぎょう」と読めば、仏教の用語で功徳のため、僧などのために物を施すことの意になる。
つまり、「せこう」は、本来の日本語から見れば、おかしな読みの、「お役所専門用語」ということになる。文部省の読み方にならって「せこう」と読むか、それとも正しい日本語使いとしてのプライドを持って「しこう」と読むかは、使う人の選択に任されるだろう。(私は、ついつい中央かぶれしてしまって「せこう」と言いがちになるが‥‥‥)
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