野菜の身分
野菜と果物の区別になると、けっこう持論がある人がいて、ややこしい。
スイカは野菜だというのが定説なんだそうだが、なんだか今ひとつ納得できないような気もする。まあ、ここで話題にするのは、そのことではないので、つっこまないでおこう。
ここで触れるのは、日本語での、野菜と果物の、明確な身分差別のことである。
果物は言葉としては、けっこうイメージがよい。「オレンジ娘」「リンゴの頬」「水蜜桃の微笑み」など、果物を例えに使った表現は良い印象を与える。「あなたは葡萄のような感じがする」と言われても、あまり不愉快になる人はいないだろう。
その点、野菜はヒドイ!
「あんたはイモ!」「大根役者!」「ぼけナス!」「おたんこなす!」「ゴボウのような娘!」「カボチャ男!」。どれひとつとして、良い印象のものはない。
野菜も果物も大事なビタミンの供給源として、人間にとっては欠かすことのできないものなのに、言葉としての扱いに、こんなに差があっていいものだろうか。
あまり野菜を粗末に扱うと、そのうちに叛乱が起きるかもしれないと心配しているのは、私だけかもしれないが。
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