形便?


 音便(おんびん)というのはご存じのことと思う。文法などで習った記憶もあるかと思うが、もとの読みの音が長い間使われているうちに変化した読みになったもので、イ音便(書きて→書いて)、ウ音便(歌ひて→歌うて)、撥音便(頼みて→頼んで)、促音便(取りて→取って)のように4つの音便がある。

 ところが、この頃、「形便」とでもいうような現象が起きている。

 具体的には、漢字の形による言葉の変化が起き、それが日本語に影響を与えているのだ。

 ただし、漢字のもともとの成立の大きな原因である「形声文字」とはかなり異なるものである。(形声文字については説明省略)

 あるスポーツ新聞のコラムで読んだことなので、ご存じの方もおられるかと思うが、最近、若い人の間で流行って(?)いるのが「棒の手紙」なのだそうである。

 内容的には「不幸の手紙」と全く同じである。ただ一つ違うのが、書き出しが「これは『棒の手紙』です。あなたはこの手紙を○時間以内に○人の人に‥‥」となっている点である。

 なぜ、「不幸の手紙」が「棒の手紙」になったか?。それは単なる文字の書き写し違いが理由なのだそうだ。

 右の画像を見ていただきたい。横書きで文章を書くのが普通になっている若い人達が、「不幸」という文字を書くときに、二つの文字をくっつけて書いてしまい、それを読んだ人が2文字を1文字に見間違え、「棒」という字にしてしまったのだろう。

 笑い話のようなことだが、実際に「棒の手紙」という事実が生まれた以上、これもひとつの社会現象である。こんなことが、これからは多く発生してくるのかもしれない。その場合、「形便」という言葉の発案者は私であることを、この文章をお読みになった方は記憶しておいていただきたい。(^^;)

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