さんとくん


 とある中学校の教室。
 若い女性英語教師がさっそうとしたスーツ姿で登場。教科書をひろげ、生徒を指名する。

「アキラくん、テキストの42ページから読んでください。」

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 テレビドラマなどでよくありがちな場面だが、私としては、ちょっといちゃもんつけたい。
「アキラくん」ではなく、「アキラさん」と言ってほしいのだ。

 個人的な好みの問題ではなく、根拠がある。

 ちょっと古い資料になるが、昭和27年に国語審議会の建議として「これからの敬語」という文書が出された。その中では、
  1.「さん」を標準の形とする。(以下2,3,5略)
  4.「くん(君)」は男子学生の用語である。それに準じて若い人には用いられることもあるが、社会人としての対話には
    原則として「さん」を用いる。

 これに従うとなると、男子に対しても女子に対しても「さん」付けで呼ぶのが基本になる。言葉の使い方については、教師自身が生きた見本になるのだから、授業などの改まった場では、正規の使い方をするべきであろう。(児童生徒と個人的に話をする場合などは「くん」とか愛称でもかまわないが)

 ただ(男女差別だと批判もあるかもしれないが)、男性の教員の場合は男子を呼ぶ場合「くん」も許容されるようだ。(女子に
対しては「さん」)女性教員は男子・女子ともに「さん」で呼ぶのがよい。

【余談その1】
 テレビ朝日のニュースステーションの久米さんが、視聴者に対しては「ただ今、秋田支局の佐々木と電話がつながっています」と言いながら、いきなり、「佐々木さん、いかがですか。そちらは」などど「さん」づけするのはなんか変。
【余談その2】
 「もののけ姫」のヒロインの名前は「サン」。ではその子が私の学校に転校してきたら(^^;)、「サンさん」と呼ばなければいけないのかな。



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