インターネットをやり始めて7年程になるが、実生活と同じように私はネット上でも「出不精」なので(^^;)、ネットサーフィンでたくさんのサイトを見て回るということが少ない。
いつも馴染みのサイトを見て、それでおしまいということが多い。
そんなわけで、いつも見に行くお馴染みのサイトの中で、「このサイトは面白いよ」とか、「このプラグインソフトは便利」ということを教えてくれるサイトはありがたい。
私が毎日アクセスしているnobitaさんの「やるときはやります倶楽部」は、そういう有益な情報を教えてくれることが多く、感謝している。今回、私が紹介するサイトもnobitaさんのサイトで紹介されていたものである。
本題に入る前に、「有線放送」のハナシを少々‥‥。
喫茶店などでBGM(バックグラウンドミュージック)を流していることが多いが、「ジャズ喫茶」「ロックパブ」などのような、かけるレコードやCDにこだわる場合は別として、「なんとなく気持ちの良い音楽が流れていればよい」というような場合は、有線放送を使っているところが多いはずである。
「フォークソング」とか「イージーリスニング」とか「演歌」などのジャンル別チャンネルを指定すれば、あとはノンストップで音楽を流してくれる。
利用料は営業目的の場合、月額5千円程度。自分の店でCDを買ってステレオでかけるよりも格安だし、CDをかけかえたりする手間もかからない。
遠い昔(大学生の頃)、アルバイト先の喫茶店で有線放送を聞き、こういうのが自宅にもあればいいなぁなどと思ったことがあるが、個人で有線放送を利用することもできるそうだ。この場合は月額3千円程度である。(この他に、専用の再生機器や工事が必要だが)
自分が聴きたい曲を電話でリクエストすることもできるし、自分の知らない新しい曲もどんどん紹介してくれるので、有線放送を常時聴く時間と、若干の金銭的余裕がある方は、自宅に有線放送を引くというのもよいかと思う。
有線放送についての情報は、こちらのサイトで。
さて、本題なのだが、インターネットでも有線放送の感覚で楽しめるサイトがある。
YAMAHAが提供する「MidRadio」(ミッドラジオ)というサイトである。
このサイトに接続し、聴きたい番組をクリックすると「ミッドラジオプレーヤー」という専用のプラグイン(インストールが必要)が起動して音楽の再生が始まる。実際の作動画面は次のようなものである。
上の画像は「ノンストップミュージック」の「ポップ」ジャンルのものだが、この他に「ジャズ・フュージョン」「ロック」「日本歌謡」「クラシック」「ダンスクラブミュージック」等々たくさんのジャンルがあり、ヤマハが保有する1万曲以上のMIDIデータが提供されている。
以下、特徴を箇条書きにしてみよう。
- データがMIDIなので動作が軽い
- 前述したように、提供されているのはMIDIデータである。生音を録音したWAVデータとは違い、MIDIデータは「音源に対してこのように演奏せよと指示する楽譜のようなもの」であるからデータのサイズが小さい。
- インターネット環境はブロードバンド化が進んで、サイズの大きい動画データなども高速で送受信できるようにはなってきたが、まだ私のように遅い通信環境(ISDN等)でインターネットをやっている人も多いだろう。そういう人にとっては軽く動作するのはありがたい。また、パソコンにも負担が少ないので、ミッドラジオを動作させてBGMに流しながら、他のアプリケーションを複数起動して作業をする際にも全く問題がない。
- それにヤマハのMIDPLUGやSoundVQのように、データを全部ダウンロードしないうちに再生が始まる方式なので、接続後すぐに演奏が始まるのも軽快で気持ちがよい。
- MP3やSoundVQにも対応している
- ミッドラジオという名称からもわかるように、おしゃべりやボーカルが入ったラジオDJのような番組も聴くことができる。この場合はMIDIデータでは無理なのだが、このミッドラジオはMP3とSoundVQにも対応している。一般のネットラジオ番組はリアルプレーヤーやクイックタイムプレーヤーで提供されていることが多いが、このミッドラジオも新しい勢力になりそうな気がする。
- 1曲の演奏時間は1分30秒
- このサイトは無料で利用できるのだが、曲の完全な演奏を録音されたりするのを防ぐこともあってか、1曲の演奏時間は1分30秒以内になっている。好きな曲を最後まで聴けないのは残念な気もするが、実際にBGMで流して聴いてみると、この1分30秒というのはとても良い時間設定である。
- 同じ曲を4分も5分も続けて聴いていると正直なところ飽きてくる。1分半程度で次々に曲が切り替わっていくのは実にいい感じなのである(^^;)一般的な唄ものの曲の場合、1分30秒というと、前奏が終わり、1番の曲もフルコーラス演奏され、2番に入るか、あるいは間奏に入るというくらいの長さである。これが1分以内となると1番も完全に演奏されないうちに終わってしまうので「中途半端に終わった」という感じがするだろうが、1分半だとちょうど飽きてきた頃に曲が切り替わる感じなので、実にうまい時間設定だと思う。
- 1時間聴き続けると40曲になる。カセットテープやMDに録音するとセンスのよい音楽カセット(MD)になる。
- 保存はできない
- 提供されているのはヤマハが持っているMIDIデータなのだが、MIDIデータそのものとして配信されているのではなく、暗号化されているようだ。したがって他のMIDIプレーヤーで聴くことはできない。プラグインの「ミッドラジオプレーヤー」を使うことによって再生が可能になるのである。
- ネット上のMIDIデータは「ファイルに名前を付けて保存」という作業で、自分のパソコンに保存できるものがあるし、保存は禁止されていてもパソコンのキャッシュ領域を探せばデータが残っていて、それを保存することもできるのだが、ミッドラジオの場合は暗号化されていることもあって、どのような方法でも保存することはできないようだ。オンラインで聴くことしかできないというわけである。さすがこの方面では専門のヤマハのサイトだと感心した(^^;)
- MIDIの質が高い
- 提供されているMIDIデータは、このミッドラジオのために新たに制作したものではなく、これまでヤマハが商品として作ったデータを使っているようである。実際、私がかつて購入した曲も使われていた。
- 1曲数百円で売られていたデータなので、細かい部分までていねいに作り込まれているから演奏の質は高い。例えばエレキギターの音なども、素人が作曲ソフトで音符を貼り付けて並べたような味気ないものではなく、音色が演奏の中で微妙に変化したり、多様なエフェクトがかけられていたりと、味のあるものになっている。
- MIDIデータなので音質そのものはパソコンが使っている音源に左右される。チープな音源だとそれなりの音しか出ないが、パソコンと高品位の音源を接続して再生したりすればかなりの音質で再生できる。装備さえ整えば街のカラオケボックス程度の音で鳴ってくれるはずだ。
- 主旋律がいまいち
- 上の画像を注意深く見れば、プレーヤーの右下のところに「メロディボリューム」というボタンがあり「オフ・小・中・大」の4つから選ぶことができるのがわかるだろう。
- 実はこのプレーヤーはカラオケマシンなのである。メロディボリュームをオフにすることによって主旋律を鳴らさないこともできる。とても便利な機能なのだが、このことはMIDIの主旋律チャンネルデータが貧弱であるということにもなってしまう。
- 提供されているMIDIデータの大半はヤマハがカラオケ用として制作したもののようだ。あるいは既存のデータをカラオケ用に修正したものかもしれない。
- カラオケ用のMIDIデータは、主旋律(唄用)に特定の1チャンネルが使われているという特徴がある。このチャンネルの音量をオフにすると主旋律が消えてカラオケになるのである。
- MIDIデータを作るとき、表現を豊かにするために1つの楽器に2つ以上のチャンネルを使うことがある。例えばリードギターの音を本物っぽくする場合など、本来のギターのチャンネルの他のチャンネルに、若干ピッチをずらしたり、遅れさせたり、あるいはオクターブ下の音で演奏したデータを入れたりしたものを同時に鳴らして、音に響きや奥行きを加えるというようなテクニックがよく使われる。
- あるいは別のチャンネルにギターの音のデータではなく、モジュレーションとかサステインなどのコントロール情報だけを入れて、これでギターの音に変化を与えるなどという手法もある。
- ところが、カラオケ用のデータを作る場合には、これらのテクニックが使えない。、特定のチャンネルをオフにしてメロディを消そうと思っても他のチャンネルでメロディが鳴っているのではまずいのである。カラオケ用データにする場合、どうしても主旋律のチャンネルデータはプレーンで変化の乏しいものになってしまうが、これはしかたのないことであろう。
さて、このミッドラジオ、様々な使い方が考えられそうだ。私が思いついたものを列挙してみよう。
- パソコンで作業するときのBGM
- まずは一番シンプルな使い方だが、パソコンから音を出す方法である。ミッドラジオの番組を聴くだけでもいいが、ワープロや表計算で作業をしたりするときのBGMとして流しておくのもよいだろう。インターネットを閲覧するときのBGMにも使えないわけではないが、MIDIでBGMを流しているホームページに接続した場合、ミッドラジオとホームページのうち、先にMIDI音源を使ったほうが優先される。
- スピーカーを装備していないパソコンでは聴けない。他のオーディオ装置につないで鳴らしてもよいが、個人的な感覚では、大げさに鳴らすよりも仕事をしているパソコンからさりげなく音楽が流れているという感じが好みである。
- 有線放送のように店舗のBGM等に使う
- 喫茶店・飲食店等でBGMとして使うのもよいと思う。無料サイトの音楽演奏を商売用に使うことに問題があるかどうかわからないが、普通のラジオ放送をBGMに使っている店もあるから、あまり問題はないような気がする。本物の店でなく文化祭の模擬店などで使うのもよいだろう。「グループサウンズ」チャンネルの番組などは私などの年代には「懐かしーい!」と受けるはずである(^^;)
- パソコンの小さなスピーカーから出る音だけでは貧弱なので、パソコンのオーディオ用ラインアウトをステレオ装置等につなぐと良い音で楽しめる。あるいは外部のMIDI音源に接続してもよい。エレクトーン等の電子楽器があれば、パソコンとMIDIコードでつないで楽器本体を鳴らすこともできる。店の一隅に置いた電子楽器が無人演奏をするというのも洒落ているのではないだろうか。
- 電子楽器に接続する方法はかなり良い音が期待できるのでお勧めなのだが、接続コードが必要なこともある。パソコンのUSB端子と電子楽器のMIDI端子をつなぐ場合、変換コードは5千円程度である。接続の詳しい方法については、このページを参照いただきたい。
- 録音して楽しむ
- 私などはミッドラジオの番組がかなり気に入ってしまったので、これをパソコンがない所でも聴きたいと思ったりする。例えばドライブの車の中で聴くとか、眠るときに寝室で流すとかいう使い方である。私は家事をやることがないのだが(^^;)台所でお料理をするときのBGMにもいいかもしれない。
- その場合にはカセットテープやMDに録音してラジカセ等で再生するのもよいだろう。パソコンのライン出力からカセットデッキ(ラジカセ)等に録音するのが簡単だが、私のパソコンには光オーディオ出力端子があるので、これをMDにつないで録音している。これはかなり良い音質で録音できるのでお勧めである。ミッドラジオの演奏では、曲と曲の間の空白も適切に設定されているようで、MDにそのまま録音しても曲番号を分けて保存してくれる。(74分のMDに50曲程度録音される)
- ただ、カセットに録音する場合もMDに録音する場合も、ミッドラジオの音の他に、アプリケーションソフトの警告音などもいっしょに入ってしまう。例えば、ミッドラジオの演奏を録音しているときにワープロや画像作成ソフトなどを使っていて、ファイルを保存しないで終了しようとしたときなど、アプリケーションが「ファイルが保存されていません。名前を付けて保存しますか?」という警告を出す場合がある。そのときに「ピポッ」などという警告音も出るが、これがミッドラジオの演奏といっしょに録音されてしまうのである。これを避けるためには、食事や入浴など、パソコンの前から離れる時間に録音するようにすればよいかもしれない。
- 宴会のネタBGMに使う
- 上でもちょっと触れたように、グループサウンズとかフォークソングなどの番組で演奏される曲は、40代〜50代あたりの年代には大いに受ける選曲になっている。海外のポップスやロックもそういう選曲である。私ぐらいの年代のクラス会などでは、これらの曲自体がハナシのタネにもなりそうだ。話がちょっと途切れたときに懐かしいメロディが流れてきて、それが次の話題になるということもあるだろう。曲が1分半ごとに切り替わるのも好都合だ(^^;)
- そういう宴会のBGMにも、この番組の演奏は使えると思う。パソコンを持ち込んでBGMにするのはちょっと面倒なので、録音したものを使うのが簡単かもしれない。
- クラス会用に若い頃のヒット曲を集めようと思っても、CDで入手できない曲も多い。仮にCDがあったとしても、それを購入するのは大変だし、編集して1本のカセット(MD・CD)にするのも大変な作業である。また唄入りの楽曲は少々耳障りだとういうこともある。その点、MIDI演奏でセンス良くまとめられているミッドラジオの番組は超オススメである。
以上が私の考えた「ミッドラジオ活用法」だが、工夫次第ではもっと多様な楽しみ方があるかもしれない。
ところで、このミッドラジオ・プレーヤーをインストールしておけば、ヤマハが提供する他のインターネット音楽サービスも活用できる。詳しいことは「MUsic(e)CLUB」というサイトを参照していただけばわかるが、「パソカラホーダイ」というカラオケサイト(演奏の他に歌詞が表示される)や、「ネットで歌本」という伴奏のギターコード譜が表示される(もちろん演奏も)サイトなどがある。どちらも月額600円で使い放題である。試聴(45秒程度)は登録不要なので、ミッドラジオ・プレーヤーをインストールしていれば誰でも可能である。(試してみたがなかなか面白い)
これらのサイトで使っているMIDIデータはほとんどミッドラジオで流れている曲と共用されているようである。前述したようにミッドラジオ・プレーヤーがカラオケ用としても使えるようにしたために、MIDIデータの主旋律が若干貧弱になったという経緯もあるのだが、そのデメリットを挽回するためにも、これらのサイトを使ってみるというのもひとつの手かもしれない(^^;)
ところで、ミッドラジオの番組をいろいろと聴いてみて、ロックとかポップス、ダンスミュージックなども楽しめるのだが、演奏の音質が使用音源によって大きく影響されることや、仕事のBGMにすると若干にぎやかだということもあって、さりげなく聴くとか、癒し系音楽として流すということになれば、ミッドラジオで用意されている「ピアノチャンネル」(ポップス等をピアノ演奏を主にして演奏する)とか、「オルゴールクラブ」(ヒット曲やスタンダードナンバーをオルゴール演奏する)あたりが適当かもしれない。音が優しいだけでなく、ピアノやオルゴールの音は音源による差があまり気にならないこともあるので‥‥。
いずれにせよ、私は大いに気に入ったこのサイト。皆さんへの情報提供としてお役に立てれば幸甚である。
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