ペンタブレット試用記
ペンタブレットというものを使ってみることになった。
娘の誕生日プレゼントに、ネット通販で3万円の中古パソコンを買ったのが1年前。(価格の割には程度のよいものだったので買い得だったと思う。現在も快調に動いている)
家庭内LANでルータにつないでいるのでインターネットにも接続しているのだが、小5になった娘はアニメのキャラクター等のお絵描きにはまっている。
ネットで見つけた手描きのアニメキャラクター画像を見るたびに、自分でもそんな絵を描きたいと思うようなのだが、お絵描きソフトでマウスを使って描くのは難しいようだ。
ネット上の作品はほとんど「ペンタブ」という入力機器を使って描いているということを(これもインターネットの情報で)知った娘は、自分もそれが欲しいと言い出した。ちょうど5月が誕生日だったので、そのプレゼントに買ってくれないかと言う。
安く手に入るのなら買ってあげてもよいと思った私は、インターネットで情報を検索した。
パソコンのディスプレイ上に装着し画面に直接絵を描き込むようなタイプ(タッチパネルのようなもの)は、10万円以上もするので、これは問題外だった(^^;)
しかし、マウスのように机上の平面上でペンを操作するタイプは、1万円程度から手に入るようだった。
情報を検索しているうちに、「ペンタブ」の正式名称は「ペンタブレット」だということや、「WACOM」というメーカーの製品に人気があることもわかった。
中でも「FAVO」という製品が一般的らしい。
「F-410」というA6判の製品だと標準価格が12,500円、ネット通販価格で1万円程度で入手できる。それよりひとまわりサイズが大きいB6判の「F-510」というモデルは標準価格が18,500円、ネット価格で1万5千円程度であった。
どちらの製品も、操作用の平面の盤とペンの他に、ホイール付ワイヤレスマウスといくつかのソフト(簡易版が多いが)が附属している。(本格ソフトのアドビフォトショップがついたバージョンはそれぞれ4千円高である)
娘のパソコンは古く、マウスにホイールが付いていなかったので、ホール付きマウスも入手できると考えれば買い得感もある。
アドビのフォトショップはなくとも、使い慣れた「ペイントショップ」があるし、ペンタブに標準添付の「水彩LITE」というソフトでもかなりのレベルのお絵描きができそうだったので、アドビなしのバージョンにした。盤面のサイズは少々奮発してB6判の「F-510」モデルにした。価格はネット通販で諸経費を含めて1万5千円程度であった。
毎年、娘の誕生日プレゼントに万札を数枚使うオヤジは親バカのような気もするが、自分でも使えるものだから‥‥ということで自らを納得させた次第である(^^;)
前書きが長くなってしまったが(いつものことである^^;)これがペンタブレット(WACOM FAVO F-510)である。
B6判とはいうものの、入力読み取り範囲(上の図の内側の四角い部分)がB6なのであって、外形寸法は284mm×241mmとかなり大きい。ちょうどA4判ぐらいのサイズである。
USB接続で、ドライバの設定等は附属CDを使って簡単だった。ペンとマウスを同時に使えるし、前からパソコンにつないでいたマウスも一緒に使えるので、けっこう便利である。(ペン1本でマウスの機能を全て使えるのだが、慣れるまでは少々時間がかかる。私にはマウスも併用したほうが具合がよかった)
さて、その「ペンタブレット」で何ができるのかということなのだが、実際のところ、常用しているのは我が娘であり(かなり使いこなしているようだ)私はこのコンテンツを書くために1時間程度使ってみたに過ぎない(^^;)
それでもなかなかの使用感であったので、その感想を紹介したい。
まずは、マウスよりも細かい操作が可能だということである。
下の画像は、デジカメで撮影した画像の輪郭をなぞって切り取り、別の画像に貼り付けたものである。
左がマウスで行ったもの、右がペンタブで行ったものである。
マウスの作業でもかなり注意深く行ったのだが、どうしても手の動きがぎこちなくなり、線がギザギザになってしまう。ペンタブで行った場合はマウスでの作業と比較して細かい部分までトレースできるようだ。ただ、この作業で私は初めてペンタブを使ったので、まだ扱いが下手なようである(^^;)
輪郭をなぞって切り取る場合には、途中で手を休めることができない一筆書きのようなものなので、ペンタブを使っても作業は難しい感じがする‥‥。
それよりも面白いと思ったのが、下絵をなぞる使い方である。
FAVOの平面部分は厚手の透明なビニール板のようなものでカバーされているが、これは持ち上げることができて、その下に写真や紙などとはさみこむことができる。
ここに自分がなぞりたい画像を置き、その上からペンでなぞるのである。ディスプレイ画面をなぞるのは難しいが、平面上の写真等をペンでなぞるのは、たいして難しくない。そうやって描いてみたのが下の画像である。輪郭線を切り抜く作業とは違って、好きなときに筆を休めることができるので作業は楽である。
週刊誌に載っていた車の広告をなぞったのだが、3分程度で仕上げたにしては、そこそこ感じが出ているのではないだろうか(^^;)
ただ、この下敷きにしたのは、幅5cm程度の小さな写真である。ペンの小さな動きが画像上では大きく反映されてしまう。解像度の設定なども(描画ソフト上で)できるかもしれないのだが、今回のレポートでは不明である。
きちんとした芸術作品として横のサイズが2000ドットくらいの大きな作品を仕上げてプリンタに出力するという場合にはこのぐらいでよいのかもしれないが、ホームページに使うちょっとした画像を仕上げる場合などは、もう少し解像度(反応倍率)が低くてもよいのではないかと思った。(そういう点では、入力読み取り範囲が狭い安価版のほうが使い勝手がよいのかもしれない‥)
何かをなぞるということでなく、自由に手描きしたらどうだろうか。それを試したのが下の画像である。
ちょっと見るとあまり差がないような感じもするが(^^;)マウス入力には慣れていて、ペンタブ入力には慣れていない(初めての操作)私であり、しかも絵も字も下手という私が操作したということを勘案しても、ペンタブで入力したもののほうが良質であるということがわかっていただけるのではないだろうか。(どっちも下手だと感じられた方、申し訳ありません‥‥^^;)
ペンタブレットの製品に標準添付されていた「水彩LITE」というソフトを使うと、けっこう味のある絵を描くことができるようだ。サンプルページをご覧いただくと作品例もあるが、いかにも水彩画という作品を仕上げることができる。
私もちょっと試してみた(^^; 制作時間3分)
もともと絵の上手な方は、こちらのページのように自作の水彩画をイメージスキャナ等で取り込んでホームページに公開したりすることもあるが、ちゃんと水彩画を描くには、もちろん紙や筆も必要であるし、絵の具をパレットに出し、後始末には筆やパレットを洗わなくてはいけない。それに意に合わない線を描いたり色づけに失敗してしまった場合にもやり直しができない。
その点、パソコン上の水彩画ソフトなら、やり直しもきくし、実際に手描きではできないような効果も使うことができる。それに何よりも用具の準備や後始末が不要である(^^;)
最後の方は(また例によって)余談のようになってしまったが(^^;)ペンタブレットというのは、使ってみるとけっこう面白い。
私の(現時点で)18年になるパソコン歴の中で、大きな転機になったのが(MS-DOS時代ではあるが)パソコン通信を始めたことであった。それまで自分の部屋の中だけで動いていた電子機器が外の世界との情報通信機器になるということが大きな前進であった(インターネットはその延長線上という感じだった)のだが、このペンタブという入力機器も人によっては大きな転機になりそうな気もする。(私の場合には購入はしたものの使っているのは娘なので、自分でもう1個購入しない限り変化はないかもしれないが‥‥)
<03.06.15>
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