電波腕時計使用レポート



 10年ぶりぐらいで腕時計を新調した。今回買ったのは電波時計とソーラー電池機能を持ったものである。その使用感について書いてみたい。



 これまで使っていた腕時計はそんなに高価なものではなかったが、そのデザインや機能については気に入っていた。(下画像)



 しかし、数年前からガラス板にヒビが入り、かなりみっともない状態になっていた。替わりの時計が欲しかったのだが、私には腕時計に求めるいくつかの条件があり、それを満たすものを見つけることができなかったので、長い間、ガラスにヒビの入った時計を使っていたのである。



 私が求めていた条件は、次のようなものであった。


背広を着ることが多いので、時計もそれに合うように、落ち着いて華奢なデザインのもののほうがよい。

一目みたときに時刻がわかるように、針(アナログ)式の時計のほうがよい。(老眼にもなってきたので)

ストップウォッチとして使うこともあるので、その機能もあったほうがよい。

時刻の狂いが少ないほうがよい。

電池も長持ちするほうがよい。



 古い時計は、「1ヶ月に10秒程遅れる」(これはクォーツ時計の許容範囲内)、「内蔵電池が2〜3年で切れる」(これも標準的)ということで、上の4と5の条件を十分に満たすとはいえなかったが、1〜3の条件は満たしていた。



 時刻の狂いについては一般的な許容範囲内とはいうものの、進むのはまだしも遅れるのは好きではなかった。月に1・2度は時刻合わせをしていたが、デジタル表示部分の時刻合わせとアナログ針部分の時刻合わせを別々にしなくてはならず、その作業には数分かかったので、面倒な気がした。

 電池切れに対応して電池交換をしなくてはならないが、費用は千円程度ですむものの、時計店に持って行って交換してもらわなければならないので、これも気が重かったし、電池が切れかかって針の動きが遅くなって来たときの気分は、あまり良いものとはいえなかった。



 しかし、1の条件である「落ち着いて華奢なデザイン」であったし、2の条件の「アナログ針」型でもあった。しかも文字盤下部にデジタル表示の窓があり、ここには日付や時刻(デジタル表示)、ストップウォッチなどを切り替え表示することができた。

 ストップウォッチは、体育の授業やスポーツ少年団の指導で試合の審判をする場合や、正確な時間内にペーパーテストをする場合など、職業柄、使うことが多かった。学級を持たない立場になってからは使う機会も少ないのだが、これまで使った時計には全てついていたので、やはりこだわってしまうのである(^^;)



 アナログ文字盤の一部にデジタル表示があるタイプの腕時計は、昔はかなり多かったようだが、この頃は少なくなっているようで、2〜3千円程度の安価な時計にはまだみられるが、時刻に信頼性の高い価格帯(1万円程度)になると、ほとんどなかった。

 そのために、新しい腕時計を買い求めるのを控えていたのである。



 ところが、私の条件をほとんど満足させるような腕時計を見つけたので、買うことにした。それが下の時計である。



 カシオの電波腕時計で、「WEVE CEPTOR」という製品である。(製品番号は「WVA-310DF-1AJF」)

 職場に業者が持って来たチラシで、このシリーズの製品を知り、インターネット上で最新版製品を探して、注文して取り寄せた。定価は2万8千円であるが、ネット通販だと、送料や消費税を含めて2万1千円程度が相場のようである。



 てもとに届いたのでさっそく使ってみたのだが、私が想像していたのとだいぶ違っている点もあった。使用感を100点満点で採点すると、正直なところ50点ぐらいという感じである。

 使ってみて感じたことを書いてみる。



かなり大きくてゴツイ

 私が求める条件のうち、1として挙げた「背広姿にも合う落ち着いて華奢なデザイン」という点では、あまり条件を満たしているとはいえない。上の写真で見ると「落ち着いて華奢」にも見えるのだが、実際の外観は下の写真のようにかなり大きくて分厚かった。



 写真左側の古い時計の(時計部分の)厚さが8mmと薄手なのに対し、新しい時計の厚さは14mmもある。注文する前からインターネットで仕様を見ていたので、その数値は分かっていたのだが、実際に腕にあててみるとずいぶんと厚い。

 時計バンドもゴツイ感じで、時計全体の大きさは、若い人たちが腕に当てているスポーツタイプの時計(G−ショック等)に近い。カタログ写真ではカタチや色の具合が薄型紳士用時計風に見えるが、実際にはゴツイ時計である。

 しかし、時計の材質はステンレスと樹脂で、とても軽くつくられており、腕にはめてみると重い感じはない。(私の古い時計と同じくらいの重量感である)



見にくい

 腕にはめて時刻を見てみたら、表示がとても見にくいことに気づいた。

 下の画像(このページの2番目の画像と同じ)をご覧いただければわかると思うが、腕時計をちらっと見た瞬間に、針がどの位置にあるかわかりにくいのである。これは時計の各部分の材質や配色が影響しているようだ。



 文字盤がソーラーの受光部になっているのか、暗い藍色で、しかもテカテカしたメタリックな光沢がある。これにステンレスのように見える針がついているのだが、この針も光の具合で黒っぽく見えたりするので、文字盤と針の識別がしにくい。さらに時計周囲の金属部分も鏡面のように光るし、ガラスも光るので、ぱっと見たときに針が指している時刻を見るのが難しいのである。



 上の写真を見ると、右側の古い時計が白い文字盤に黒い針というように見やすいのに対して、新しい時計の針表示が見にくいことがおわかりいただけるだろう。カシオの時計のほうは、文字盤を白くするとか、針を白く塗るとかの工夫・改善が必要だろう。

 また、古い時計のほうは、針の軸位置を中心より上にずらして、針がデジタル表示窓に重ならないように配慮しているのに対して、新しい時計はデジタル表示窓の上を針が通るようになっている。針が窓の上になった場合はデジタル表示が隠れてしまい、これもかなり見にくい。



秒針がないし、長針の動きが変則的 

 ご覧のように新しい時計には秒針がない。正確な秒を知るには、デジタル表示窓の秒表示を見るしかない(老眼の私にはつらい)。また、分を示す長針は、自然に回転するのではなく、20秒ごとにスッと動くようになっている。

 時刻調整を電波によって行うためには、こういう仕組みにしないといけないのかもしれないが、針がスルスルと動く普通の時計に慣れていると、この時計にはかなり違和感を感じる。



 ということで

 私が求めていたものとは、ちょっと違う感じがしたので、私の条件に対して採点をするならば、50点ということになった次第である。

 もちろん、時刻合わせをしなくてもよい(自動設定にしておけば、午前2時・午後2時に調整を行う)ことや、電池交換がずっと不要という魅力も大きい。使い慣れてくれば、この魅力を実感することになるだろう。

 この魅力を重視するならば、この時計は100点に近い点数をつけてもよいだろう。ただ、私としては欲をいえば、私の古い時計と同じようなデザインで、電波時計・ソーラー電池の機能がある時計があればベストであった。



 私の場合は多くの条件を満たすものを探したので、自分としては中途半端な感じのする時計に落ち着いてしまったが、アナログ針にこだわらなければ文字の大きなデジタル表示の電波・ソーラー時計もあるし、ソーラー機能やストップウォッチ機能などにこだわらなければ電池交換タイプでデザインもすっきりしたアナログ時計もある。

 私が買った時計も、トータルとしてみればなかなかよい製品であるし、文字盤まわりの配色が改善され、もう少し薄型になれば私の理想に近づくだろう。



 いろいろ書いたが、この時計の悪口を書くというつもりは全くない。

 時計店に行って現物を見れば問題はないのだが、時計店の価格設定は高いことが多いし、現物がなければカタログ冊子を見て注文ということになってしまう。この頃ではインターネットの通信販売で購入することも多くなっているので、私が実際に使ってみたレポートが、この手の時計を買おうかと思っている人の参考になるのではないかと思い、いろいろと書いてみた次第である。
<03.01.06>

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