(このページの下のほうで、ソフトのダウンロードができます)
理科の天文の学習で、星や月の観察をすることがある。
星や月は夜にならないと見ることができない。学校での学習は日中にやるので、どうしても学習時間中に天体の様子を見たいとなるとプラネタリウム等を利用せざるを得ない(学校にも簡易プラネタリウムのような装置があることもある)
本物の夜空を観察するために、夜に学校に集まることもあるが、遠距離通学の児童には大変だし、夜間の児童生徒の外出の安全確保問題もあり、かなり難しい。慎重に計画しても、当日の天候が良くなければおしまいである。
そうなると、「自宅で観察するように」と宿題にしてしまうことも多い。
このような場合、指導の教師が天文に詳しければ大丈夫なのだが、そうでないと間の抜けた宿題の出し方をしてしまうことがある。例えば、月の観察なのに月が出ていない時期に宿題を出してしまうとか、星の観察の宿題を満月の頃に出してしまい、星がほとんど見えないなどということがある。
前者のような間違いをすることは少ないだろうが、後者(満月頃に星の観察)という例は意外に多いのではないだろうか。私も実際にそういう例を見たことがある(^^;)
天体の観察は天候にも影響されるので、「今日1日で観察してこい」というやり方をすることははとんどなく、「今週中で条件の良い日に観察するように」という宿題の出し方をするだろうが、その場合でも宿題を出している期間の月齢をきちんと押さえておくことが重要である。
新聞には「翌日の月齢」が掲載されているのでこれをきちんと見ておけばだいたいのところはつかめるが、行事として「星空観察会」などを持つという場合など、前もって1ヶ月先・2ヶ月先の月齢を把握しておかなければいけないということもある。
そのような場合でも、この頃はインターネットで月齢を教えてくれるサイトも多いので、それらを活用するというやり方もある。
しかし、いつでもインターネットで検索できるというわけでもないので、自分で月齢を計算できることも必要だろう。
そこで、本を調べてみたら、理学博士の堀源一郎氏が書いた「宇宙と星99の謎」(株式会社『産報』発行、サンポウ・ブックス86、昭和50年8月刊)の中に、その簡易計算式を見つけた。
その計算方法とは次のようなものである。
1.西暦年から11をひいて19で割った余りを求め、これを「年の数」とする。
- 例えば、2002年の場合、「2002−11」は1991になる。これを19で割ると「104あまり15」となるので、「年の数」は15になる。1954年(私の生まれた年)なら「(1954−11)÷19=102あまり5」なので、年の数は5である。
2.「月の数」は次の一覧表で求める。
月
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
月の数
0
2
0
2
2
4
5
6
7
8
9
10
- この場合、私の誕生日(1954年11月14日)では、月の数は9となる。
3.「日の数」は求めたい日の数字そのものとする。
- 私の誕生日だと、日の数は14となる。
4.「年の数」「月の数」「日の数」を加え、30で割ったあまりの数が、月齢となる。
- 私の誕生日だと、年の数=5、月の数=9、日の数=14となり、これの総計が27。30で割ると「0あまり27」になるので、月齢は27となる。
- この文章を書いている2002年10月19日では、年の数=15、月の数=8、日の数=19で、総計が42。30で割って「1あまり12」で月齢は12となる。
新聞等に出ている月齢は「12.4」などのように端数がついていることが多いが、この月齢はその日の正午のものである。時間がたつとともに月齢も増えていく。例えば、ある日の正午の月齢が「12.4」だと、夕方には「12.7」ぐらいになっているだろうし、その夜の明け方になると、13をこえているはずである。
したがって、上記の計算式で求められる月齢は、「その日のだいたいの月齢」ということで問題はない。正式な月齢を求めるにはとても複雑な計算をしなければならないのだそうだが、簡単な計算だけですむこの方法は、とても便利だと思う。
堀氏の記述によれば、この計算式があてはまるのは「西暦1750年〜2200年」の範囲ということだが、その範囲をカバーできれば実用上は問題がないだろう。
また、この計算式で出る月齢は、新聞に出ている月齢と1日程度違う場合もあるが、2日違うことはめったにないとのことなので、前述したような「天体観測にむいた月齢かどうか調べる」という用途ならば全く問題はないと思う。
上記の計算方法を使って、筆算で計算もできるが、月の数の一覧表を暗記するのも大変だし、計算に時間もかかるので、パソコンを使って計算できるプログラムを作ってみた。
そのプログラムを使ってみたい場合は、下の「ダウンロード」という部分をクリックすると入手できる。
自作月齢計算ソフト→
ダウンロード
うんちく講座No.335「昔のBASIC奇跡の復活物語」でも紹介した「ActiveBasic」で作成し、Windows上で使えるように「EXE」ファイルにコンパイルしてある。(Windows95・98・ME・XP・2000上で動作確認済)
自己解凍型の圧縮EXEファイルにしてあるので、ダウンロードしたら解凍して実行してみてほしい。
ブラウザの設定によっては「ダウンロードするとウイルス感染のおそれがあり危険です」などの警告が出ることもあるかもしれないが、私は悪さをしていないので、信用していただいてダウンロードしても大丈夫である(^^;)
このプログラムを、パソコンのデスクトップにでもちょこっと置いていただければ、いつでも任意の日の月齢を求めることができる。
最初に例にあげたような「宿題を出す日の月齢を調べる」という使い方の他にも、いろいろ面白い使い方ができる。
この文章の中程で例にあげたように、「自分の誕生日の月齢を知る」という使い方や、「歴史に残る日の月齢を調べる」というのも面白い。
小惑星イカルス(16等星)が発見されたのが、1949年6月26日で月齢は「0」(新月)、冥王星(15等星)が発見されたのが、1930年1月23日で月齢は「23」(下弦の月で、真夜中すぎまで月が出てこない)などという興味深いことも、月齢を知ることでわかってくる。(この文章を書く際に参考にした前述の堀源一郎氏の本に書かれていた)
数時間で仕上げた小さなソフトであるが(計算式の部分は数分でできたのだが、2月30日のようなあり得ない日を受け付けない部分の処理に時間がかかった‥‥)気に入って使っていただけたら嬉しい限りである。
ちなみに私の自作ソフトでは、「月齢は12です」というように数値しか表示されない。これはソフトを使う人が既に月齢というものを理解しているということを前提としているためだが、「月齢12ってどんなカタチの月?」という方は、下の図を参照いただきたい(^^;)
<02.10.19>