歯をみがく人生
30代後半、歯でだいぶ苦労した。それまでのお気楽な生活がたたってか、虫歯や歯周病が多発した。経験のある人には分かるだろうが、歯の痛みはかなり苦しい。
結局、数本の歯は救いようがなく、部分的に義歯のお世話になるはめになった。
私が通院した歯科医は、この辺では有名な完璧主義の方で、治療が完了するまでには、普通乗用車1台分ぐらいの経費がかかるという噂で、事実、歯磨きの指導だけでも5万円近くかかったのであった。
その歯磨きの指導なるものが、実に素晴らしいもので、患者である私は、歯磨きの重要性を痛感し、完璧な歯磨き術を習得した。
おかげで、歯周病の進行はストップし、かなり快適な口内状況が保たれているのであるが、そのために費やす時間は大きなものとなった。
朝は時間もないので5分程度の歯磨きで済ませているが、夜の歯磨きは自分で納得するまでやるとなると、15〜20分、ときによっては30分も磨いていることがある。1日3回、朝昼晩の歯磨き時間を合計すると30分にはなる。これが一生続けば、人生において歯磨きの時間は膨大なものになるだろう。
しかし、もうやめることはできない。きちんと磨かないと不安にかられるし、実際、翌朝の具合がよくない。私の場合は人生(70年だとすれば)の半分程をいい加減な歯磨きで過ごし、数本の歯を犠牲にしてしまったが、もっと早く正しい歯磨きを身につけていれば全て健全な歯で一生暮らすことができたかもしれない。ただ起きている時間のかなりの部分を歯磨きに費やすというのは、なんか割り切れない感じもする。人は歯を磨くために生きているのだろうか?もっとうまいやり方はないものだろうか?
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