王・長嶋どちらが人間


 王・長嶋といったら、もちろん「ON」のことである。

 現在はどちらも監督をやっているが、現役時代から二人は対照的であった。長嶋が直情型・開放型であるのに対し、王は理論型・勤勉型というイメージが強い。天分とフィーリングでプレイした長嶋、努力と研究によって世界一の成績を残した王。現在の監督としての采配ぶりもそのイメージの延長線上にあるように思う。

 では、「人間的なのはどちら?」という質問をしたら、あなたは、王・長嶋のどちらと答えるだろうか。

 おそらく「長嶋」と答える人が大半なのではないだろうか。

 ここで矛盾が生ずる。

 長嶋と王を例にとったが、長嶋に限らず、すぐに笑ったり泣いたりと喜怒哀楽を明確にするタイプを一般的には「人間的である」ということが多い。反対に表情をあまりあらわにしないタイプを「人間味がない」などという。

 しかし、人間と動物を区別する最も大きな点は「人間には理性がある」ということである。そうなると理性でコントロールして、あまり表情を露骨に表さない人の方がより動物からかけ離れていることになる。すぐに歯をむき出して怒ったり、大声をあげて泣いたりするという動物的な行動をとる人を「人間的だ」というのは、どうもおかしい。

 もっとも現役時代の長嶋のプレイは「動物的カンを持っている」などと称賛されたこともあるので、そういう見方もあるのだろうが。

 では、長嶋タイプが「人間的」と言われるのであれば、王はなんだろう。「機械的」かな?


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