災害避難場所としての学校
平成7年(1995)1月17日の阪神淡路大震災から、もう6年になろうとしている。
災害の教訓を生かし、日頃から災害に備えた対策をとることが大事なのだが、先日、ある会議で意外な盲点を指摘され、はっとしたことがあった。そのことについて十分な配慮がなされているならばよいのだが、もし未対応のところがあればということで、老婆心ながら文章にしてみたい。
ほとんどの学校は災害時の避難場所に指定されているはずである。
「ここは災害避難場所です」というようなきちんとした標示がある場合もあるし、地方自治体によっては標示がない場合もあるようだが、避難場所に指定されているかどうかは、地方自治体の防災計画を調べればわかる。(災害対策基本法によって地域防災計画の作成は義務づけられている)
よほど特殊な事情(学校自体が危険な場所にあるなど)でもない限りは、学校は避難場所になっている。
では、地震や水害などの災害が起きた場合、学校は避難場所として対応できるようになっているだろうか。
授業をやっている日中なら問題はないが、休みの日や夜間だとちょっと困る。地域の住民が避難しようにも学校には鍵がかかっていて、すぐには入られないからだ。
実際、災害の際に学校が開かないために、地域の住民が学校のガラスを破って中に入った例もあるそうだ。テレビで情報を得たり、電話をしたりするために職員室に多くの人が入り、水道がとまっているトイレも使われて汚れ放題だったという。災害後に元の状態に戻すのが大変だったということだ。
災害が起きたときすぐに、校長なり教頭なりが学校にかけつけ、校舎の使用について適切な指示を与えられれば問題はないのだが、校長・教頭が必ずしも学校の近くに住んでいるわけでもないので、それができないこともある。
そういう場合にもきちんと対応できるような方法をあらかじめ決めておくことが必要だろう。
学校の近くに住んでいる職員がいるならば、その職員を災害時に学校を開ける係に任命する。そういう職員がいない場合は学校がある地区の町内会長等にお願いして鍵を委託する。
避難場所として使用する区域も前もって決めておく。例えば体育館だけを開放するという方法もあるだろう。
トイレにしても同様である。使用してよいトイレを決め、万一、水道が止まった場合には汚物を流す水をどうするかなどということも考えておいたほうがよい。(プールの水を使うなどの方法がある)
この他にも、停電の場合はどうするか、寒い場合の暖房はどうするか、電話連絡はどうするか、テレビやラジオからの情報入手はどうするか等々、細かい点にわたって綿密な対応策を決めておく必要がある。
本来は、地方自治体等の行政側が、各避難場所ごとに計画・点検を行う(あるいは計画立案を指示する)べきなのだが、それが不十分な場合には、学校を管理する立場の側で準備をしておかなければならない。
名前だけは「災害時避難場所」になっていても、いざというときに全くその機能を発揮できなかったということがないように、ふだんから心がけておくことが大事だろう。管理職が率先して行うべきなのだが、もし気がついていないようであれば、職員が「うちの学校は、この点についてどうなのですか」と確認してみるのもよいかもしれない。
<00.12.09>
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