ふるさとは祭りの日の気持ち


 子供の頃の祭りの日の気持ちを覚えているだろうか。見慣れたはずの街並みが輝いて見え、近所のおじさんやお兄さんたちが英雄のように見える。囃子の笛太鼓の音に体が浮き上がるような気がし、自分がこのまちにいることが嬉しくなってしまう。あの気持ちががふるさとそのものである。

 ふるさと教育が重要視されている。神社などの歴史を調べたりすることも一つの有効な方法ではあるが、もっと大切なのは祭りの日の気分をじゅうぶんに味わうことであり、さらに祭りだけではなく様々な活動にそのような要素を取り入れていくことである。

 最近いろいろな学校で増えてきた「○○小まつり」「○○フェスティバル」のようなイベントもその一つの取り組みであろう。ただ、それが教師のお仕着せの企画であったり、マンネリ化した行事になったりすることには注意しなければいけない。

 まず、自分たちのいる場所の現在と未来を見極めること。例えば、「あと30年たったら、この町に住む人は半分になるかもしれない」とか、「森の木はなくなりゴミであふれる町になるかもしれない」とか、「近くの市や町と統合して、その市の一部になったとき、自分の地区の特徴として生かせるものはあるだろうか」などという視点から見ると、今、子供たちがなさなければならないことは、おのずと見えてくるはずである。

 そのために調べたいことや、みんなで協力して進めていきたいことなどを子供たちの活動にうまく結びつけていくならば、その活動は単なる社会科のお勉強や、子供たちのおまつりごっこではなく、地域をもまきこんだ大きなムーブメントになっていくだろう。(リサイクル運動なども、このように未来と環境を考える立場で進めていきたいものだ)

 祭りの気分をじゅうぶんに味わわせるとは、そういうことであると私は考える。こうやって育つ子供は、心からふるさとを愛し、それを次の世代にも伝えたいと考え、たとえふるさとを離れても、ふるさとと自分の住む場所を愛せる人間になっていくに違いない。


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