ビートルズの怪談
ビートルズの最初のヒット曲「Love me do」が売れ始めたのが、1963(昭和38)年の1月。この年、「Please please me」「From me to you」「She loves you」「抱きしめたい」と立て続けにヒットを飛ばし、ポップス界の頂点にのぼりつめてから、1970(昭和45)年末に事実上の解散状態になるまでの約7年間は、私にとっても9歳から16歳の時期にあたり、洋楽に目覚めた時期であった。
16歳頃からロック少年になった私だが、当時はビートルズよりもローリング・ストーンズがアイドルだった。
ステージに立たないビートルズの音楽は難しくなっていたし、自分で演奏をするときには、ストーンズの曲の方がずっとかっこよかったからだ。
しかし、今になって振り返ってみると、ビートルズがその後のポピュラー音楽に残した功績は大きいと実感する。
まあ、そのことが今回の話題ではないので、これくらいにしておいて(^^;) 今回は、中学生のときに聞いたビートルズにまつわる怪談を‥‥
それは、ラジオの深夜放送で聞いた話題だった。たしか1969(昭和44)年秋のことだったと思う。
当時、中学校3年生だった私は、お約束どおり高校受験のための勉強をしていた。とはいっても、実態は深夜放送を聞きながら遅くまで起きているというだけのものだったが‥‥(^^;)
「オールナイト・ニッポン」だったか「セイ・ヤング」だったか「パック・イン・ミュージック」だったかは定かでないが、突然「ポール・マッカートニーが死んでいるらしい」という話が出たのだった。
この「ポール死亡説」はけっこう有名な話で、私もこの文章を書くためにWeb上で検索してみたら、かなりのサイトがヒットしたので、詳しくお知りになりたい方は、そういうサイトもご覧いただきたい。
話の発端になったのが、1969年9月末に発売されたLP「アビイ・ロード」である。
「カム・トゥゲザー」「サムシング」「オー・ダーリン」「ヒア・カムス・ザ・サン」「ビコーズ」などの名曲が収録されたこのアルバムは、ビートルズのアルバムの中でも最高傑作だと思うが、問題になったのが、そのアルバム・ジャケット写真だった。

上がその画像である。横断歩道上を歩く4人の姿が、ポールの死を意味しているのだという。
まず、ポール本人が裸足で歩いている。これは死者を意味するマフィアのサインなのだそうだ。そして4人の順番は葬列を意味し、白いスーツのジョンは牧師、黒いスーツのリンゴが葬儀屋、ポールが死者で、ジーンズ姿のジョージは墓堀人夫にあたる。
さらに注意深く見ると、ポールは目をつぶっているし、左利きのはずなのに右手に煙草を持っている。
路上に駐車しているフォルクスワーゲンのナンバープレートが「28IF」になっているが、これも「もしポールが生きていれば28歳」という意味で、ポールの死を暗示しているのだそうだ。
当時、ビートルズは既にコンサート活動を中止し、アルバム製作活動に専念していて、公衆の面前に姿をあらわさなくなったことや、1966年11月9日早朝にポールがバイク事故を起こしていることなどから、「ポールはその事故で死亡し、その後、ビートルズはポールの替え玉を立てて活動している」という噂が出てきたものらしい。
1969(昭和44)年末には、アメリカじゅうがこの話題で持ちきりになり、この謎をめぐって、様々な憶測が飛び交ったという。
中でも、1967(昭和42)年6月に発表されたLP「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」(これも最高傑作の1つ)には、ポールの死を暗示する多くの証拠があると言われた。

これが、そのジャケット写真である。
この画像では見えにくいが、中央の4人のメンバーの中で、ポールの頭の上には手のひらの写真がある。これは東洋では死を意味すると言われた。
写真下の花で飾られた部分は墓地であり、黄色い花で囲まれたのがポールが使用しているバイオリン・ベースで、しかもきちんと左利き用になっている。
また最下部中央には4本の腕を持つシヴァ神の像がある。これは死を意味する像であり、その腕はポールを指さしている。
この他にも、ポールだけが他のメンバーと異なる点が多く見つかっているし、裏ジャケットの写真にも「シーズ・リーヴィング・ホーム」の歌詞の「Wednesday morning, at 5 o'clock」の部分が示されていて、これが1966年11月9日早朝(当日は水曜日だった)を暗示し、ポールがバイク事故を起こした時にぴったり当てはまるなどという事実もある。
このような、ポールの死を暗示するサインが、全部で70あるのだそうだが、当時、私が一番ぞっとしたのが、ビートルズのある曲(検索の結果、この曲については諸説があり、わたし自身もはっきり覚えていないので、ここでは「ある曲」としておく。たしか「ストロベリー・フィールズ‥‥」だったはずだが)を逆回転再生すると、「私はポールを埋葬した」という声(もちろん英語だが)が聞こえてくるというものだった。
私が聞いた深夜番組でも、その曲のその部分を再生してみたのだが、かすかな音ではあるが、たしかにそう聞こえて、私は思わず怖くなって布団をかぶって寝てしまったという記憶がある。
その後、ポール自らがマスコミに登場したことにより、「ポール死亡説」は消滅したのだが、私の記憶には、この「死亡説」が鮮やかに残っており、もしかしたら今のポール・マッカートニーは替え玉のままなのかもしれない‥‥という気持ちがまだ残っている。
夜遅く、深夜放送の中で聞いた悪夢のような記憶なので、もしかしたら本当に夢だったのかもしれないとも思ったのだが、今回、調べてみたら、夢ではなく事実だったことがわかって、妙に安心した(^^;)
もう1つ、私が小学校に入る前の幼い頃に、自宅の前でオーロラを見た記憶もあるのだが、これは、夢だったのかどうかはっきりしない‥‥。
<00.03.20>
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