ホームページの墓場



 インターネットで情報を検索していたりすると、ごくまれにだが、2年近くも更新されていないホームページに行き当たることがある。



 ホームページの管理者が更新をさぼっているとか、運営していく気がなくなったというのが主な理由なのだろうが、「もしかして管理者に何かあったのでは‥‥」と心配になったりすることもある。


 実際にそうなのかもしれない。例えばホームページ管理者が病気で長期入院をしているとか、最悪の場合は亡くなってしまったとか‥‥‥



 ホームページが盛んに作られるようになって、もう3・4年になる。製作者が全て健在であるとは言い切れないだろう。もしかしたら急死した人もいるかもしれない。その場合、誰かが然るべき対応をしてくれてホームページの削除等を行えば別だが、そうでない限りは、主の無いホームページがいつまでも放置されることになる。

 作者が死亡した場合でなくても、ホームページは作ってみたものの、その後、やる気がなくなり放置しているという例もあるかもしれない。またはパソコンが壊れてインターネットをやめてしまったとか、長期出張などでインターネットができない環境になってしまったということもあるのかもしれない。

 このようなホームページが、今後、どんどん増えていくような気がする。



 私の契約しているプロバイダの契約規約を調べてみた。



 「公序良俗に反する内容の場合は使用をお断りする場合がございます」という規約はあるが、「○年以上、更新がない場合は‥‥」という規約はない。



 作りっぱなしで全く更新されていないホームページであっても、サーバの使用料が払い込まれている限りは、ずっとインターネット上に存在し続けるのである。仮に作者が死亡したとしても、銀行口座振替などで料金が支払われる場合などは、銀行口座が解約されたり残高がなくならない限り、プロバイダでも気づかないということもあるかもしれない。



 今後、ホームページの数は、どんどん増えていくだろうが、同時にこういった全く更新のないホームページも増えていくだろう。



 中には、更新しなくても、インターネットで情報を検索するときに資料となるものもあるだろうが、ほとんどはゴミのようなものである。個人の自己紹介的なホームページは、その人がインターネット上で元気に活動しているから存在価値があるのであって、何年も更新されず、その人宛にメールを出しても返事がないようなら、それは墓標に等しい。



 そこで提案なのだが、各プロバイダは、ホームページ用サーバ提供の契約の中に、「特別な申し出がない限り、ホームページ内のファイルが1つも更新されずに1年を経過した場合には、契約を破棄し、ファイルを削除する」いう項を加えたらどうだろう。

 1年たってすぐに削除というのが厳しいとすれば、1年経過で通告をし、通告後3ヶ月を経過しても反応がない場合は削除というようなものでもよい。



 本来は、本人が削除すべきなのだが、事情によっては本人が作業できない状態になることもあるだろう。

 私の場合は、家族でそのような作業をしてくれる者がいるが、多くの人は、自分がホームページを管理できなくなったら、それっきりなのではないだろうか。



 中には、ホームページの作者が亡くなったけれども、その内容は遺作として残しておきたいとか、長期出張あるいは長期入院でしばらく更新ができないが、復帰後に再開したいとかいうこともあるかもしれない。

 そういう場合は、プロバイダにその旨を申し出ることによって、削除対象にしないということにすればよいだろう。申し出がなければ自動的に削除すればよい。



 おそらく近いうちに、そのような対応をするプロバイダも出てくるとは思うが、多くのプロバイダできちんと対応していかないと、インターネット上に廃墟のようなホームページがごろごろしているという事態にもなりかねない。
<00.02.24>


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