気になるカタカタ



 文書作成にワープロやパソコンを使う人が増えてきた。学校も例外ではなく、職員室にはカタカタとキーボードを叩く音が響いている。



 子供の声がしたりして学校がにぎやかなうちはそれほどでもないが、放課後など、あたりが静かになると、この音もけっこう気になる。



 キーを叩く音にも、それぞれ個性があるようだ。キー入力の巧拙によって、テンポよくカタカタと叩く人もいれば、とぎれとぎれにポツンポツンと叩く人もいる。

 軽快にキー入力できる人の音は、それなりに心地よくもあるのだが、中にはかなり耳障りな音を立てる人もいる。



 普段はポツンポツンという調子でキー入力をしているのに、突然「カタカタカタカタ!」と連打する音を立てたりするのは、ヒステリックな感じがして、聞いていて感じが悪い。

 よく様子を見てみると、別にイライラしてキーボードにやつあたりしているのではなく、カーソルを行の端に移動させるとか、たくさんの字数の文字を削除しようとするときに、キーを連打しているためのようだ。

 普段のキー入力がたどたどしい分だけ、同じキーを連打するだけで済むような作業のときに急ぐのであろう。



 こういう人にぜひ使ってほしいのが、ショートカットキーである。



 例えば、ワープロで文章を入力中、カーソルが行の真ん中あたりにあったとする。このカーソルを行の先頭もしくは最後尾に移動したいという場合、ショートカットキーの機能を使わない場合には「←」「→」などの矢印キーを連打するしかない。

 ところが、カーソルを瞬時に移動させる機能が既に準備されているのである。使用しているワープロ(パソコン上で動作するワープロであれば、機種やソフト)によって違いはあるが、この機能を備えていないものはないだろう。



 Windowsで動作するワープロであれば、一太郎でもWordでも、「Home」(NEC98シリーズではHOMECLRキー)キーを押すとカーソルが行の先頭に移動するし、「End」(NEC98ではHELPキー)キーで行末に移動する。



 このような機能を持ったキー操作のことをショートカットキーという。ショートカットキーの働きには、このようなカーソルの移動だけでなく、ファイルの保存や読み込み、コピーやペーストの編集など、メニューバーやアイコンで操作できるほとんどの機能がある。(上記の「Home」「End」など1つのキーでやるものは特別な例で、多くは「Ctrl」や「Alt」キーと他のキーを組み合わせて使う)



 Windowsで動くアプリケーションは、メニューバーやアイコンをクリックするだけで、あらゆる操作が可能なので、初心者にも使いやすいのだが、へたをすると、ずっと初心者レベルの操作技術で使い続けることにもなりかねない。



 初心者レベルの操作技術で使ったから悪いということはないのだが、通常、文字キーを打つ動作で文書入力作業を進めるワープロの場合、しょっちゅうキーボードから手を離してマウスを握るのでは効率が悪い。ショートカットキーを使えばマウスを握ることなく仕事を進められるので、文章作成の効率は格段によくなる。



 パソコンワープロでもワープロ専用機でも、取扱説明書には、そのような機能について書いてある。パソコンの場合は説明書を開かなくてもヘルプを参照すればわかりやすく説明してくれる。ところが説明書を読まないで操作する人が増えてきているようだ(最近は私もその傾向があるが‥‥)



 最近のOA機器やソフトはユーザーフレンドリーが売り物になってきて、初心者でもすぐに使えるというのが謳い文句なのだが、初心者でも簡単に使える機能とともに、効率よく作業をするための便利な機能が準備されているのである。

 初めてキーボードに触って、たまに文章を印字して満足するというレベルの使い方であれば、「マウスとアイコンとカタカタ」という技術で十分である。しかし、毎日のようにキーボードに向かい、自分の文書はほとんどワープロで作成するということならば、いうなれば「プロ」である。効率よく仕事を進めるためにもスマートなキー操作をしたいものである。



 と、まあ、このように書いたわけだが、カタカタ操作で何年も通している人は、なかなか切り替えるのが難しい。「自分なりの方法で、けっこう速く操作ができるのだから別にどうでもいいじゃない」と思う方もいらっしゃるだろう。



 ただ、老婆心ながら心配するのは、キー操作の音で、その人の印象までが悪くなってしまうことである。



 「あの人は普段は感じの良い人なんだけど、ワープロに向かっているときは、なんだか意地悪そう‥‥」なども思われても損である。この場合、悪い印象を与える理由の大半は、例の「カタカタカタカタ!」の連打と、必要以上に強く叩くキーの音である。



 カタカタ操作をしないためには、ちょっと説明書を読んでショートカットキー等について知るだけでよい。またキーを強打しないためには、できるだけ指をホームポジションに置いて、指の移動を少なくし、キーを叩くのではなくて押すような感じにするとよい(一般に1本指操作をする人ほど強打するようだ)



 ショートカットキーを使うこともホームポジション操作を行うことも、慣れないうちは面倒である。しかし、どちらも効率的な作業を行うために工夫されてきたものなので、一度身につけてしまうと作業の効率は格段に向上する。

 何事も基礎の練習は面倒なのだが、基礎をふまえていない我流の技術では、ある程度のところから全く伸びなくなる。私の場合、パソコンのキー入力も、楽器の演奏能力もそうなので、自信を持って断言できる(^^;)これから大いに頑張ろうという方は、ぜひ基礎的な努力を大切にしていただきたい。



 というような文章を、かなりいい加減なキー操作で入力している私であった‥‥(^^;)

<00.01.19>


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