私が小学生から中学生の頃、グループサウンズが大流行した。
当時の2大グループといえば、「ジャッキー吉川とブルーコメッツ」(「ブルーシャトー」で有名)と、「田辺昭知とザ・スパイダース」(「夕陽が泣いてる」などが有名)であった。
どちらも最初にリーダー(と思われる)の個人名があり、その後にグループ名が続いている。
この手の名前としては「加瀬邦彦とザ・ワイルド・ワンズ」などがあり、その後に起こったフォーク・ブームでも「はしだのりひことシューベルツ」などに引き継がれている。
グループサウンズでも、少し後にデビューした「タイガース」「テンプターズ」「オックス」「ビレッジ・シンガーズ」などは、リーダー名なしでバンド名だけで呼ばれている。
最近のロック・グループは、「ミスター・チルドレン」とか「ラルク・アン・シエル」「ルナ・シー」「グレイ」などのように、頭に個人名がつくものはないので、やはり「○○○と△△△△」というようなバンド名は古いパターンということになるだろう。
私は、子供の頃、「ジャッキー吉川とブルーコメッツ」などというグループ名を聞くと、「ジャッキー吉川は、ブルーコメッツの一員なのだろうか? それともブルーコメッツとは別なのだろうか?」と、いつも疑問に思っていた(^^;)
ジャッキー吉川も田辺昭知も、他のメンバーと同じ服を着ているし、インタビューなどでは「ブルーコメッツのジャッキー吉川です」などと言っていたような記憶もある。しかし、二人とも担当の楽器はドラムであったので、なんだか他のメンバーとは別な存在のようにも思った(^^;)
海外では、ドラムの人が特別扱いをされる例として「アート・ブレーキーとジャズ・メッセンジャーズ」などもあったし、日本でも「ハナ肇とクレージー・キャッツ」などもあったから、「ドラムの人だけが名前を呼ばれるのかもしれない」などと、考えたこともあった(^^;)
でも、「加瀬邦彦とザ・ワイルド・ワンズ」では、加瀬邦彦はドラマーではなく、リード・ギタリストである。やはり、これは、担当する楽器の種類ではなく、リーダーの名前が前につくと考えたほうがよいのだろう。
そこで、再び問題になるのが、リーダーとして名前をあげられた人は、グループの一員なのかどうかということである。
「原信夫とシャープス&フラッツ」とか「ダン池田(今は三原綱木だが)とニュー・ブリード」などのように、ビッグ・バンド・スタイルのバンドだと、名前が前に出ている人は指揮者で、他の楽器演奏者とは違う存在であるということがわかる。
しかし、「ジャッキー吉川とブルーコメッツ」の場合は、ジャッキー吉川がメンバーの一員なのかどうなのかが、よくわからない。
ここで、貴重な手がかりになるのが、バンド名に数字が入っているグループである。
リーダー名がついていて、バンド名に数字が入っているグループとなると、一番に思いつくのが「内山田洋とクールファイブ」である。
このグループは、グループサウンズやロック・グループではなく、「鶴岡雅義と東京ロマンチカ」や「和田弘とマヒナスターズ」のような、ムード・コーラス系のグループだが、今回の問題を考える上ではわかりやすい(^^;)
そこで、メンバーの人数が何人だったか思い出そうとしてみたのだが、なかなか記憶が確かではない。
はっきりしているのが、リーダーの内山田洋さんで、この人は「コント55号」の坂上二郎さんのようにタヌキっぽい顔をしている。
あとは、後にソロ歌手になった前川清さん。この人は、話題の宇多田ヒカルのお母さんの藤圭子の前夫でもある。
それに額の広い宮本さん、モミアゲが特徴的な小林さん‥‥と、ここまでは思い出せるが、あとはイメージが薄い。ちょっと細面の髪の長い人がいたような気がして、全部で5人だったかなぁと、私は思っていた。
それでも、確かな証拠がないといけない。レコード店(CD店)に行って、当時のレコードを探してみたが見つからない。CD化されたものもなかった。
それでも、インターネットで、やっと見つけたのが、下の画像である。
なんと、イメージの薄い人が2人いたのだった(^^;)
ということで、「内山田洋とクールファイブ」の総人数は6人。となると、「内山田洋」プラス「クールファイブの5人」という図式になり、リーダーの内山田洋さんは「クールファイブ」の5人の中には含まれないということになる。
ところが、新しい問題も出てきた。
このレコードジャケットの文字をよく見てみると、「内山田洋とクールファイブ」の文字の下に、「唄:前川清」とある。考えようによっては、前川清そのものが、「内山田洋とクールファイブ」とは別の存在と見ることもできる。
さらに、それを裏付けるように、別のホームページで見つけた「前川清の経歴」では、「プレスリーの曲などを直立不動で歌っていた前川清は、地元に既にあった『クールファイブ』にスカウトされ、歌手として上京した」とある。
だとすれば、前川清は「内山田洋とクールファイブ」の一員ではなく、「内山田洋とクールファイブ」は、リーダー内山田清を含む5人という見方もできることになる(^^;)
どうも、この「と」という言葉のとらえ方が難しい。
「ヒデとロザンナ」「Kとブルンネン」のようなデュエットの場合は、問題がない。(最近の「ジュディ&マリー」は別だが‥)
「ピンキーとキラーズ」(これは「マンチェスターとリバプール」のヒットで知られる「ピンキーとフェラース」の真似だと思うのだが‥)もわかりやすい。
外国だと、メンバーの名前を全部並べた「エマーソン・レイク&パーマー」とか「クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング」などというグループもあり、覚えにくいが意味ははっきりしている。
ところが前述のような日本のグループは、はたして個人名が出ている人がグループのメンバーなのかどうか、わかりにくいことが多い。
学校の修業式などでは、読み上げをするときに、学級の人数が32名で、代表が「阿部一郎」君だという場合に、「阿部一郎ほか31名」と言う。
バンド名の場合も、「内山田洋ほかクールファイブ」とか「内山田洋含むクールファイブ」などと言ってくれれば、私がこんなに悩むこともなかったのだが‥‥(^^;)