「タメ」と言っても、「アッと驚く為五郎」のことではない(^^;)
ちなみに「アッと驚く為五郎」については、若い方はご存じないかもしれないが、次のような言葉である。
日本テレビで昭和44年(1969)に放送を開始した「巨泉・前武ゲバゲバ90分」(この番組はかなり私の精神構造に影響を与えている。最近、この番組で使われた音楽を集めたCDが発売されたそうで、その中の『ゲバゲバ90分のテーマ』が、ホンダのHR−VのCMのBGMで使われている)の中で、クレージーキャッツのリーダーの、今は亡きハナ肇が、ヒッピー姿に扮して、ポータブル・テレビ(これも今は死語となった)を見ながら絶叫するヒットギャグである(^^;)
ここで扱う「タメ」は、「タメ口」(ためぐち)とか「タメ年」(ためどし)というときの「タメ」である。
特に「タメ口」は最近よく耳にする。
「ずっと年上の人にも平気でタメ口をきく最近の若者」とか、「そんな他人行儀にならないでタメ口で話していいですよ」とかいうように使う。要するに同格の立場で話す口調のことを「タメ口」と言うのだ。若い人の間で流行ってきた言葉なようだ。
「タメ年」は、私も昔、使ったことがある。「俺とアイツはタメ年だ」という具合に使う。これは「同い年」という意味である。
これは何が語源になっているのだろうと興味を持ち、調べてみたが、いろいろな国語辞典を見ても、それにあたる表記はなかった。
漢字で「為」と書く「ため」には、次のような意味がある。
- 1.利益。利得。幸福。
- 「世のため、人のため」
- 2.(利益を期する意味から)目的。
- 「子供の教育のために貯蓄する」
- 3.その身の上にかかわること。
- 「自分のためには大切な恩人」
- 4.因果関係を表す。ゆえ。せい。‥によって。
- 「事故のために亡くなった」
この他に慣用句として「ためになる」(人間としての成長に役立つ)も載っているが、どれも、「同格」とか「同い年」にはつながらない。
別に「溜め」もあって、これは「肥溜め」のように使われるが、これも違うようだ。
そこで、例によって、インターネット上で検索してみた。
ところが、なかなか決め手となる情報がなかった。かろうじて2つの情報を見つけた。
1つは、言葉関係の情報でよくお世話になっている「言葉のよろずや」さんのこのページである。しかし、これだけだと、若者の間で「タメ口」が使われていることや、「タメ年」はかなり前から使われていたことはわかるが、肝心の語源についてはわからない。
そこで、やっと見つけたのが、これもいつもお世話になっている「福井大学岡島先生」のHPの、このページであった。
ここに、語源と思われる記述があった。それによると、「博打(ばくち)用語」で、同じ目を意味する「同目」(どうめ)から生まれた「タメ」であるというのである。
たった1つだけの資料なので、これが正解とは言い切れないかもしれないが、「タメ」という響きが、なんとなく昔風の、しかも下卑た感じがすることから、私にはこの説が正しいような気がする。
いかがだろう。少しはためになっただろうか(^^;)