やめてよかった健康優良児


 私のいる地域(秋田県本荘由利地区)では、たしか3・4年前にやめたはずだが、それまで長く行われていた学校関係の催しとして「健康優良児の表彰」があった。これは全国どこでも行われていたはずのものであり、もしかしたらまだやっているところもあるかもしれない。

 身体の発育状況・健康状態がよく、学習成績や運動能力が優れ、性格も明朗な青少年を表彰しようという企画である。平均よりも身長・体重等で大きく、目も悪くなく、虫歯もなく、学業の成績も優秀な児童男女各一名を、各小学校が推薦し、郡市でそれらの児童を陸上競技場に集めて、徒競走等の運動能力テスト・医師による健康診断・教師による面接で審査し、総合成績で優秀な児童を「健康優良児」として表彰するといったものであった。

 戦後の欠食児童が多い時代に始められたものかと思うが、人権重視の現代においてはちょっと首を傾げたくなる企画である。「優れた児童を表彰し、そのよさを認める」ということだったのだろうが、見方を変えればは、そうでない児童を差別することにもなってしまう。

 各学校から推薦されて集められた児童は、それぞれの学校においては、ある程度自信をもっている児童たちであるはずである。ところが、その子たちを競わせ、順位をつけることで、自信を傷つけられる子はたくさんいるだろう。しかもその審査基準になるものの多くは、体格・容姿・持って生まれた運動能力など、子供本人の努力ではどうしようもないものである。

 絵の作品など、ある程度、努力や工夫などが反映されるものであれば、それに順位がつけられても、「自分の努力が足りなかった」とでも思えばあきらめもつく。(あまり良いことではないが)ところが人間の存在そのものに順番をつけるような「健康優良児の表彰」は、廃止されてよかったように思う。



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