この文章は私もお手伝いしているメールマガジン「中年やっちゅうねん」に掲載する私の文章を転載したものです。
夜9時過ぎ、食卓でひとり遅い夕食をとっている夫に妻が言う。
「来月の第3日曜日、マサヒコの小学校の親子ハイキングなんですって。あなた行ってね」
「なんだって。来月の日曜で休めるのはその日しかないんだぞ。たまにはゆっくりしたいと思ってるんだ。おまえが行けよ」
「私はこの日、クラス会があるのよ。たまにあなたが学校の行事に行ったっていいじゃない」
「マサヒコの学校のことは全部おまえにまかせているじゃないか。だいたい休みの日に行事をやるなんておかしいよ。学校の先生や子供は次の日に代休をとるんだろうけど、おれたちは次の日も仕事なんだぞ」
「そんなこと言ったって、学校で決めたんだからしかたないでしょ。よそのうちのお父さんたちだってみんな参加するのよ」
「とにかく、休みの日には行事をもたないでほしいって、PTAに行ったら言っておけよ」
「そんなこと言えるわけがないでしょ。あなた、一度もPTAに行ったことがないんだから、今度のPTAにはあなたが行って、そう言えば」
「おれの役目は働いて稼ぐこと。マサヒコの学校のことは、家にいるおまえの役目だろう!」
一般に嫁と姑の間になって板挟みの辛さを味わうのはダンナの方だが、上のような場合には夫と学校の板挟みになるのが奥さんになってしまう。
夫の仕事は激務だが稼ぎが良いので奥さんは専業主婦などという場合には、前述したようなことがよくあるのではないか。
11月4日、政府の「男女共同参画審議会」は「男性も家族の一員として等しく責任を分かち合うべきだとして『家族的責任』の明記を柱とする『男女共同参画社会基本法』の制定を求める」という答申を提出した。
その答申があったからというわけではないのだが、夫が妻に学校への不満を家庭で言うのは、けして良い結果を生まない。
奥さんは、夫から言われた不満を、学校に行って直接言うわけにもいかず、学校からの家庭への要求との板挟みになって苦しむ。
そんな様子を子供が見ていれば、次第に子供の心の中に、学校に対する不信感も生まれてくる。夫が学校や担任に対する不満を口にしたとしたら特にである。また「うちのお父さんとお母さんは仲が悪いんじゃないかな」と不安にもなる。
確かに、学校で進めていることについて、保護者が不満を持つこともかなりあると思う。(学校行事だけでなくスポ少行事なども)
その場合、家の中で奥さんにぐちを言うだけでは事態は少しも良くならない。忙しいだろうが父親も積極的に子供に関する行事や会合に顔を出して、自分の考えを反映させていくべきだろう。それが「男女共同参画」ということになると思う。
スポ少なども含めて、学校行事等がおかしな方向に進んできたのはお父さんたちが自分で乗り込んでいくことを避けてきたせいかもしれない。今こそ「父親の感覚」を子供をとりまく環境に反映させていかなければならない時期だろう