文化の日、秋の叙勲があるが、そのニュースなどを聞いていると「緑綬褒章」とか「紫綬褒章」などと色がつく名称がある。
はたして、それらの色に上下はあるものだろうかと気になり、色について色々と(^^;)調べてみた。
勲章関係でわかったことはあとで書くことにして‥‥(^^;)
まずは色というものが区別される原因だが、物理の講義でもないので簡単に書くと、こんな具合になる。
光の波長に関するエネルギーの差を感じる視覚が「色覚」(人間の目の話です)
可視光線には種々の波長が含まれるが、物体がそれを吸収したり反射したりするため色が決まる。
これだと波長の長いものから順に次のようになる。
赤
橙
黄
緑
青
藍
紫
これは虹の七色と呼ばれるもので(私は『せき・とう・おう・りょく・せい・らん・し』と覚えたが)、上の写真のようにプリズムで分解すると見えてくる。虹の場合も空気中の水滴がプリズムのはたらきをしするので、この色の順になる。目に見えない部分は、赤よりも波長が長いものを赤外線、紫よりも波長が短いものを紫外線という。
パソコンで色を扱う場合は、光の3原色が基準になる。
これだと「R・G・B」(赤・緑・青)がもとになる。今はそれぞれの光源を256段階に調節して混合できるので16万色以上の色を表現できるようになったが、パソコンで色を表現できるようになった初期の頃は3原色のON・OFFだけで色を表現していたので8色だけであった。それぞれに色番号があり次のようになっていた
番号
0
1
2
3
4
5
6
7
色
黒
青
赤
紫
緑
水
黄
白
内訳
0
1
2
1+2
4
1+4
2+4
1+2+4
内訳の欄をご覧いただければおわかりになると思うが、基本になるのは青(1)・赤(2)・緑(4)の3つで、他の色はその数値を合計したもので表現される。(黒は全部の色が発色しないので0である)
以上の2つの例は、自然の光線が波長によって分けられたり、パソコンの機構上そうなるというものだったりするので、色による上下の区別はない。
身分の上下と色の関係がありそうなもの‥‥と考えてみたら、聖徳太子が定めた「冠位十二階」というのがあった。
これは事典によると次のようになっている。
- 冠位十二階(かんいじゅうにかい)
- 徳・仁・礼・信・義・智を大小にわけて12階とし、それぞれにあう冠をさずける。位階の違いは徳の紫以下、青・赤・黄・白・黒の色であらわし、大小の冠の違いは色の濃淡で表現され、身分の差がひと目でわかった。
これを図示すると次のようになる。
(大と小の違いは色の濃淡で区別したそうだが、ここでは省略)
順位
1.2
3.4
5.6
7.8
9.10
11.12
官位
徳
仁
礼
信
義
智
色
紫
青
赤
黄
白
黒
こうなると「紫」が高貴な色ということになるのだろう。「青」がそれに続き、「黒」は最下位である。ただ、これは役人が使う色ということなので、本当に身分の高い人間が使う色というのは別にあったのかもしれない。
私の大好きな競馬も枠順によって色が決まっている。騎手はこの色のヘルメットを着用する。ここでは競馬新聞の例にならって、右側を1枠として表記する。
枠順
8
7
6
5
4
3
2
1
色
桃
橙
緑
黄
青
赤
黒
白
これはあまり規則性がないようにも思える。まず「しろ・くろ」にして、次が「あか・あお・きいろ」、残ったところを「みどり・だいだい・ももいろとしたような気がするのだが。
さて、ずいぶんと最初の話題を出すのをひっぱったが、勲章の場合の色はどうなっているのだろうか?
実は、「紫綬褒章」などというのは「勲章」とは少し違うものだった。
勲章が「国家の功労者に対する名誉の表彰」であるのに対し、褒章は「広く民間の各種善行者に授与される栄典」となっていた。しかも、「種類による区別はあるが、等級の差はない」ということである。
色の違いは種類の違いを表すもので、それに上下はないという結果だった。
種類と色について一覧にしてみる。(全部で6色ある)
色
褒章の種類
善行の内容
備考
紅
紅綬褒章
人命救助
1881年から
緑
緑綬褒章
徳行卓越
〃
藍
藍綬褒章
公益・教育
〃
紺
紺綬褒章
私財寄付
1918年新設
黄
黄綬褒章
業務精励
1955年新設
紫
紫綬褒章
学術・芸術
〃
参考までに、勲章は次のような体系になっている。
種 類
等級と名称
授与対象と備考
菊花章
大勲位菊花章頸飾
大勲位菊花大綬章
上は1888年制定,既にに大勲位菊花大綬章
受章者に特別に与えられる。
下は1876年制定,いずれも皇族,外国元首
に授与される場合が多い。
旭日章
勲一等旭日桐花大綬章
勲一等旭日大綬章
勲二等旭日重光章
勲三等旭日中綬章
勲四等旭日小綬章
勲五等双光旭日章
勲六等単光旭日章
勲七等青色桐葉章
勲八等白色桐葉章
多年の功労が認められた者に授与される。
1875年制定。勲一等旭日桐花大綬章は
1888年に追加された。
授与の対象は瑞宝章と同じだが同勲等なら
旭日章が上位
宝冠章
勲一等〜勲八等
功労ある婦人に授与される。
1888年制定
瑞宝章
勲一等〜勲八等
多年の功労が認められた者に授与される。
1888年制定。
最初は男子のみに限られていたが1919年か
ら女子にも授与された。
文化勲章
等級なし
科学・芸術など文化の発達に卓絶した功績
のある者に授与される。1937年制定
- この他に功績のあった軍人に授与される「金鵄勲章」(1890年の紀元節に制定)があったが、1947年廃止された。
- 第二次大戦後、金鵄勲章の廃止とともに、文化勲章以外は故人・外国人のみに与えられるものとなったが、1964年以降、生存者叙勲が再開された。
と、こんな具合である。勲章等を見ると、あまり色の上下はないようにも思えるが、上位の勲章につく綬(章を下げるリボン)の色は赤系統が多い。(見た目の派手さもあるのだろうが)
文化勲章の綬は紫なので、やはり紫などは高い地位の色なのかもしれない。反対に白とか黒は低いようだ。
私が勲章をもらうこともなさそうなので、ここはひとつ、競馬の「菊花賞」でご褒美をいただきたいものだ(^^;)