授業のヒント(1)少女の涙

 私の学校では、4年生以上は給食をランチルームで食べる。教頭も子供たちの席に入って食べることになっており、普段あまり子供たちとふれる機会がない私には楽しみな時間である。

 給食に出る牛乳は雪○乳業のパック牛乳で、学校給食用ということで印刷のデザインが市販のものと若干異なっており左の写真のような男の子と女の子の絵がパックの側面4つのうち3つの面に印刷されている。

 この絵をよく見ると、日によって若干違いがあることに気づいた。印刷の汚れがあるのだ。それは時によっては、女の子の絵の目の下の涙のにじみのように見えたり、男の子の口の脇のホクロのように見えたりする。

 私の牛乳パックばかりかと思って、給食の時に周囲に座っている児童の牛乳を見てみたら、なんと同じように印刷の汚れがある牛乳がいくつもあった。さらに私の牛乳とは違ったパターンで共通した汚れがある牛乳パックも数組見つかった。

 このことから考えられるのは、パック印刷用の原版に汚れがあり、同じ原版で印刷された牛乳パックは共通した汚れがあるということだ。

 この事実を生かすと、様々な調べ学習のアイディアが浮かんでくる。例えばランチルームで食事をしている全員に汚れのパターンを調べてもらい、共通するパターンを類型化して統計をとる活動。これによって大きな原版から何個分の牛乳パックが印刷されるのかが分かるかもしれない。自分たちが予想した原版のかたちが本当にそうなっているかを、牛乳の会社に問い合わせてみるなどという活動は、かなり面白いし、児童の力をつける活動になりそうだ。

 その活動が何の教科に属する活動になるのかとか、学習指導要領のどこにあてはまるのかとかいう固い議論になると、クリアしなければならない問題もたくさん出てくるが、「生きる力」というのは、こんな活動で育っていくように思う。

 現在、私には授業で実践する機会がないが、どなたか興味を持ったらこれをヒントにやってみていただければ幸いである。私にできるのは毎日、給食の時に近くの子供たちと牛乳パックを見比べることぐらいだが、それでも子供たちのものを見る目は育っているようだ。



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