ど忘れ五十音検索




 「ど忘れ」という言葉がある。広辞苑によると「ふと忘れて、どうしても思い出せないこと。どう忘れ(胴忘れ、どうは接頭語)」とある。

 この文章を書いている時点で、私は44歳まであとわずかである。若い人には分からないかもしれないが、ここ何年か、「ど忘れ」が多くなってきた。

 「ふと忘れる」のだから、「物忘れ」とか「物覚えが悪い」というのとは違う。

 そのことをすっかり忘れてしまうというのではなく、そのものについて、とてもよく思い出せるのだが、その名前だけが出てこないという状態である。

ど忘れ画像(^^;)


 例えば、自分が前に担任したことのある子の名前。

 その子の顔も思い出せるし、どんな運動部に所属していたかも覚えている。ご両親の顔も職種もわかる。ちょっとしたエピソードまでちゃんと覚えている。それなのに名前だけが思い出せない‥‥‥。

 こんなことがよくあるようになってきた。

 しかしその子の名前を完全に忘れたというのではない。その時に限って「ふと出てこなくなってしまう」のである。別の日だと何の抵抗もなく出てくることもあるし、ど忘れした時でも何かのはずみで、すっと出てくることもあるのだ。

 ただ、「あっ! 名前が出てこない!!」と思うと、パニック状態になって、いっそう思い出せないことが多い。

 前述したように、その子のことを忘れてしまったわけではないから、記憶をコントロールしている部分と、言葉をコントロールしている部分のつながりが悪くなっているのだろう。

うーん!思い出せん‥


 そんなときは、「俺もトシだなぁ!」とあきらめてしまえばよいのかもしれないが、どうも思い出せないと気分が悪い。そこで思い出すために悪あがきを始めることになる。

 私がこういう状態になるのは、通勤のために車を運転しているときに多い。

 なんとはなしに昔の学級のできごとなどを思い浮かべて、「そういえばアイツは今頃どうしているだろうなぁ‥‥」などと感傷にふけろうとすると、そんなときに限って、その子の名前が出てこないのである。

 自分の部屋ででもそうなったのなら、当時の名簿でも開けばすぐにわかるのだが、通勤の車の中となるとそうはいかない。

 名前の最初の1文字でもわかると、突然フラッシュのように名前が出てくることが多いので、五十音順に「あ」からチェックしはじめる。

 「『あ‥‥』じゃないなぁ。『い‥‥』でもないし‥‥」という具合に、順番に考えて行く。

 幸いに「か行」あたりでひっかかってくれればいいのだが、正解が「や行」あたりにある場合は時間がかかる。場合によっては正解が「あ行」にあるのに、うっかり通り過ぎてしまうこともあるので、そういうときは「わ・を・ん」まで行って、もう一度「あ」から2周目に入ることになる(;_;)

 それでも数年前だと、遅くとも2周目ぐらいでフラッシュしたものだが、この頃は4周目に入ってもまだフラッシュしないなどということが多くなってきた。

 この調子だと、自分の名前も「ど忘れ」しそうでコワイ(^^;)

 もっとも教頭になってからは、名前でなくて、「教頭先生」と呼ばれているので、他の人たちは私の名前をど忘れする以前に、名前そのものを知らないのかもしれないが‥‥

 もちろん、私の名前は「ディカプリオ」ではありません(^^;)


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