熱帯性低気圧(台風)が近づき、強い風が吹き始めた田舎道を一人のおじいさんが歩いていた。
このおじいさん、10数年前に脳卒中をわずらい、半身が不自由である。
杖をつきながら、ゆっくりと歩いているのだが、強風にあおられた看板などが飛んでくる道を歩いているのは実に危ない。
それを見かけた近所の人が、おじいさんに声をかけた。
「おじいさーん、台風が来るから、道を歩かないほうがいいよー!」
すると、おじいさんは、むっとしたような顔をして、応えて言った。
「たいふうが通れる道を、中風が通れぬわけがない!」