名前の切り貼り



 「アナグラム(anagram)」というものがある。簡単に言うと「文字の綴り変え」である。

 例えば、「紅蜥蜴」(べにとかげ)を、「壁に棘」(かべにとげ)のように、元の言葉の文字(音)を並べ替えて、別の意味の言葉にするものである。

 日本には「いろは歌」という偉大なアナグラムがある。日本語で使う基本的な文字(47文字)を一つも重複させずに全部使って文章(歌)にし、かつ哲学的な意味(釈迦が悟った教えだという)を持たせた「いろは歌」は、奇跡的ともいえる出来上がりだ。

 これに対抗するようなものを作るのは、ちょいと無理だが、これに似たような言葉遊びをしてみるのもけっこう楽しい。





































 これを名前でやってみる。

 例えば「阿部 真弓」
    「畑中 静男」
    「佐々木 彰」という3人の名前を使い、俳句風にすると右のようになる。

 「雪な朝 おかずはサラミ 飽きました」

 ちょっと苦しいが、取りあえず意味は通じる。余った1文字の「べ」は、最後に「ベー!」とでも言えば、格好がつく(^^;)



 俳句の「5・7・5」の17文字だと割と楽だが、短歌の「5・7・5・7・7」の31文字なるとかなり手ごわい。

 ここらへんで、「作りやすい都合のいい名前だけでやっているんじゃないか?」と思われてもシャクなので(^^;)私のホームページの「リンク・コーナー」でリンクしている方で実名を公開している方の名前を借りて挑戦してみる。








































































 これもかなり苦労したが、どうにか意味が通じる(?)ものができた。

「若い日や 空しく秘密 終わろうと

   酔わす顔立て 肩揺らすだけ」 『お!』

   である。(^^;)

 なんだかトレンディ・ドラマの一場面にでも出てきそうな情景が浮かんでくる。作者の青春時代の荒んだ日々が感じられる秀歌である(^^;)


 このやり方はけっこう使える。

 レクリエーション・ゲーム講習会などで、グループになったメンバーの名前を使ってやると、初対面の人どうしでも、すぐに名前を覚えられる。ただし、上の2つの例のように、文字の余りをほとんど出さないで作ろうとすると無理があるので、5・6人のメンバーであっても作るのは俳句の長さということにすると、けっこう面白い作品ができる。(うちの娘みたいに「ささきさき」なんていう名前の人ばかり集まると苦労するが、こじつけめいた作品も、それはそれで面白い)ただし、これはグループの共同作業として行うような性質のものではない。個々の名前のデータを与えたらあくまでも個人の作業として行わせるべきであろう。個人の作業の結果をグループで考察するのはよいのだが。


 私が実際によく使うのは「忘年会のだしもの」である。うちの地区では、どういうわけか、忘年会の幹事は、その年に赴任したメンバーでやることが多い。その際に余興の皮切りに幹事がだしものをやることも多いのだが、そのときにこれ(名前の切り貼りアナグラム)を使うのである。

 まずメンバー(幹事)の名前でアナグラムの短歌(俳句)を作るのが第1の作業。これは、メンバーの中でその才能がある人に任せよう。それができたら、メンバーの名前を1文字ずつにしたカードを作る。(手書きでもよいが、ワープロなどで大きなフォントにしたカードを作れる人がいたらその人に任せる)。で、宴会が始まったら、口のまわりのいい人に適当な口上を言わせて、名前の通りに貼ってあった文字のカードを短歌(俳句)の順番に並べ替えると拍手喝采という次第。

 歌ったり踊ったりしなくてもけっこう受けるので、これはお勧め。うまく作れない方は、1週間程の期間があれば製作請け負いますので、メールください(^^;)



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