リコーダー逆利きを防ぐ



 小学校の音楽では、3年生からリコーダー(縦笛)を使う。リコーダーの絵

 この楽器は、右図のように左手を上(口に近い側)にして構えるのが基本だ。

 ところが高学年の音楽の授業を受け持ってみると、右手と左手の上下を逆に構えている児童をかなり見かける。リコーダーの演奏をするだけなら、逆持ちでもそれほど支障はないので、最近の音楽の指導では、無理して矯正する必要はないということになっているが、フルートなどの横笛系への発展を考えると、やはり正規の持ち方にしたほうが具合がよい。

 そこで導入期の3年生での指導が大切になるのだが、そこに問題があって逆利きの児童が増えているような気がする。

 というのは、導入期の練習曲に使われる音が「ソ・ラ・シ」の3音だからだ。リコーダーは低い音を出すのが難しい。穴を全部ふさいだ「ド」の音をきれいに出すには、息の吹き込み方にかなりの技術を要する。
 そこで、息の吹き込み方も容易で、指づかいも片手だけで間に合う「ソ・ラ・シ」の3音で練習を始めるというやり方は合理的なのだが、この時に使うのが左手だけであるということが逆利きの児童を増やす原因になっていると思う。

 右利きの人は、何かを片手でやろうとするときは右手を使うのが普通であろう。リコーダーも最初は片手だけでできるのだから、その際、右手を使うのは不自然ではない。実際、トランペットなどの片手で演奏する管楽器は右手を使う。ところがリコーダーの「ソ・ラ・シ」で使う片手は右手ではなく左手なのである。ここに問題がある。

 まあ、私が「問題がある」などと言っても、リコーダーの奏法がそれで変わってしまうわけでもないから、小学校3年生の児童にとっては違和感があっても(なにしろ、それまで鍵盤ハーモニカは右手だけで弾いていたのだから)、左手を使うことをきちんと身につけさせることが大事である。

 そのための方法として私が思いついたのが次のやりかたである。

指1本でシ
指2本でラ
指3本でソ
 まず、左の図のように、指を1本立てたら「シ」の音を吹く、2本だと「ラ」、3本で「シ」という約束をして、教師が指を立てて、児童がその音を吹くという練習をしておく。(笛の指づかいと同じ指の形であることがミソ)

 次に、児童どうし、2人で1組のペアを組ませる。向き合ってジャンケンをして、勝った方がこの指の形を示し、負けた方がリコーダーでその音を出すというゲームにする。
その際、左手は笛の穴をふさいで持ち、右手でジャンケンをすることにしておく。
 ジャンケンも利き手でやるのが自然なので、児童は抵抗なく右手でジャンケンをし、左手で笛を操作するというようになる。また指の形と音を結びつけることで、「ソ・ラ・シ」の運指も自然にできるようになる。

 この方法は最近思いついて、まだ2回しか試していないので、絶対に効果があるとは言い切れないが、自分の授業で試した範囲では、子供たちもかなり面白がってやっていたので、けっこう良い方法かもしれない。

 ところで、バイオリンやギターなどの弦楽器では、どうして動きの多いフレット側の操作を左手でやるようになっているのだろう。利き手の右手で力のいる撥音側の操作をやった方がリズムを正確に演奏できるということなのかもしれないが、これも最初に楽器に触れるときに教えられた通りに覚えたための慣れなのかもしれないし、逆にしても良さそうな気もする。



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