てこズルッ
刑事ドラマなどで、犯人がやっと自供すると、刑事がつぶやく。
「このヤロー、さんざんてこずらせやがって!」
この「てこずる」という言葉、ワープロで変換すると、「手こずる」となる。
じゃあ、手を「こずる」って、どんな動作なのだろうと思っていたが、いろいろ調べてみると、必ずしも、「手」をどうしたこうしたというものでもないことがわかった。
ある本によると、語源は「梃子(てこ)」が「摺る(する・ずる)」であるとする説があるらしい。

重い物を動かそうとして、テコを使うが、それがずれてしまってうまくいかない。それから、「始末に困る」「もてあます」という意味に使われるようになったというハナシである。
手の甲を摺り合わせるという「手甲摺る」という書き方もあるが、私は「テコ」の方が好きである。
「梃子摺る」も当て字であるという説もあるが、テコがズルッとずれる感じは、なかなか面白い。
刑事が、一生懸命にテコで重い物を動かそうとしているところに、こっそり犯人がやってきて、支点に使っている石をずらそうとしている様子などを想像すると、なかなか笑える。
ただ、そうなると、「てこずる」が自動詞、「てこずらす」が他動詞という分け方も、「てこずらされる」あたりになると、何が主語で、何が目的語なのかこんがらがってくる感じもするが‥‥‥。
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