「さしぼ」についての町田さんからの情報


 「さしぼ」について高知県の町田さんから情報のメールをいただきましたのでその内容を転載します。
(町田さんは、秋田県出身で、現在、高知県にお住まいです)


 実は、高知県ではイタドリを食べるのです。しかし、奇妙にも芽は食べないのです。高知に23年も棲んでいますので、四国のことは多少知っているつもりですが、高知県以外の四国の県ではイタドリを食べる習慣がまず間違いなくありません。それでも、高知県で食べるのは茎だけで、芽は食べません。九州、京都、大阪、滋賀、和歌山にも知人が多く、出かける機会は多いのですが、少なくともこれらの地方でも食用にはしていないと思います。
 
 高知県では若い茎を食べます。これには正直たまげました。ゆでてアクを抜き、油揚げ、かしわ、海藻のひじきなどと一緒に煮て食べます。どちらかと言えば、アク抜きした物を塩蔵し、保存食品にした方が好まれていますから、大昔からの伝統的な食品の一つと言えます。土佐の日曜市にも必ず置いてあります。

 味はコレといって無いのですが、どちらかと言えば肉が薄くて、クタビレタ筍のような(余計に判りにくい?)感じです。まあ、歯ごたえを楽しむと言った方が良いかもしれません。塩蔵品でも結構コリコリしてますから。しかし、県民が良く食べるのは事実です。郡部では、正月料理にからなず塩蔵品を使う所があります。特に、四万十川水系の集落に多いようです。スーパーマーケットにも必ずあります(塩蔵品はありませんが)。

 面白いのは、土佐の田舎寿司に使うことです。土佐の田舎寿司とは、山間部に伝わる寿司で、ネタが魚介類ではなく、コンニャク、イタドリ、孟宗竹、ミョウガ(もちろん、全て味付け済み)などの寿司です。これは実に美味しい。

 こんなふうで、イタドリは高知県民には欠かすことのできない食材です。20〜30年ほど前の子供は、イタドリの茎の皮を剥いで塩をつけてはかじりつき、おやつ代わりにしていたそうです。全国的にはスイバ(すかんぽ)をこんなふうにしてかじっていましたね。私もかじった記憶があります。

 なぜ高知県民がサシボを食べないかは、勉強不足で承知しておりません。もったいないことです。それでも、高知県民が徳島県や愛媛県の県境を越えてまでもイタドリを捜しに行くのは事実です。県内では、競争が激烈ですから、それこそ、あっと言う間に採られてしまいます。

 派手に山をうろつくものだから、越境先のあちこちで住民とトラブルを起こしているとか、雑草を食べてくれて住民に感謝されているというのは、嘘か真実か知りませんが(これはどうも嘘くさい。土佐では、こんなほら吹きを「トッポこき」と呼んでおり、愛すべき人と理解されていますから、面白い話にはよく登場します。地方による「ほら吹き」の呼称も面白そうですね・・・・・蛇足でした)。



 町田さん、情報提供ありがとうございました。
もとに戻る