敬語カンタン秋田弁


 地方紙のコラムにあったネタなのだが‥‥‥



 高校の運動部。新入部員に上級生がこう訓辞する。

 「いいか、お前ら。高校の部活動は中学校と違って、先輩に対してはきちんと礼儀を守らなければいけないぞ! そのためにはケーゴ(敬語)を使わなくてはならん。まあ、ケーゴといってもそんなに難しくはない。最後に『ス』をつけるだけでいいのだ」



 秋田弁の敬語は、たしかに文末に「ス」をつけるだけでいいようにも思える(^^;)

 「YES」の意味の「んだ」に「ス」をつけて、「んだス」

 「食べない」の意味の「かね」に「ス」をつけて、「かねス」

 ほとんどこのパターンで通用する。



 秋田弁といっても、現在ではきちんと話せる人はほとんどいない。私の祖父母ぐらいの年代の人は、共通語を話すことはほとんどなかったので、その世代までは純粋の秋田弁が残っていたようだが、私などの世代にとっては、「祖父母がこんなふうに話していたなあ」というあいまいな記憶と、自分たちが日常会話で使っている少々怪しい言葉の中に、秋田弁が残っているという状態である。



 祖父母の秋田弁を耳にする場は、全て日常会話の場であった。家族どうしや近所の人どうしで話をするのだから、敬語を使う必要はなかった。

 そういうことで、私が知っている秋田弁に、特別な敬語表現はない。もしかしたら身分の高い人たち(城勤めの人とか豪農とか)の間では、敬語表現の豊かな秋田弁が使われていたのかもしれないが、今では残っていないだろう。



 ということで、少していねいな感じや、耳あたりの良い感じを出したいときは、「ス」をつけるという言い方で間に合わせているようだ。

 相手に「立て」という場合の言い方を、ていねいさの程度によってまとめてみる。

共通語での表現
秋田弁での表現
立て
たで
立ってくれ
たてけれ
立ってくれないか
たてけねが
立ってくれませんか
たてけねスか


 この例では、共通語と大きな違いがあるようにも見えないが、共通語にある「お立ちください」というような表現にあたるものが秋田弁にはないようだ。



 だいぶ前に人気になった連続テレビドラマ「おしん」でも、主人公のおしんが少女時代に奉公に出たとき、奉公先の主人に対して使う言葉は、普通の方言に「ス」をつけただけの言葉だった。

 「おしん」は山形県が舞台だが、どの地方でも、日常語として使われた方言に、あまり敬語表現はなかったのではないだろうか。

 そう考えると、どこの地方でも敬語表現(この場合は丁寧語が主だが)をする場合には、「ス」をつけるだけでOKなのではなかろうか。

(九州鹿児島あたりだと「ごわす」かな? ^^;)

 いろいろ各地の情報をいただければ、ここで紹介していきたい。


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